Windows Server のサーバーライセンス体系

ライセンスとコスト
 

 
 

Essentials(エッセンシャル)エディション

最初に最もサーバーライセンス体系の簡単な Essentialsエディションについて解説する。
 
Essentialsエディションは、Windows Server の利用できる規模に上限があり、その上限の範囲内では自由に Windows Server の機能を使用できるエディションである。
 

Essentials 利用条件

その上限の範囲は以下のようになっている。
全ての論理積(AND)だ。
 
Windows Server を利用するユーザー数は25人以内。
 
Windows Server に接続するデバイス数は50個以内。
 
サーバー機に搭載されるプロセッサの数は、2プロセッサ以下。
 

Essentials 利用可能な機能

Essentials 利用条件を満たしていれば、以下のEssentialsエディションの機能を使用できる。
 
Windows Server の主要機能を使用できる。
 
使用できるOSEは一つだけである。
 
もし、物理OSEを使用する場合は、仮想OSEを使用することはできない。
 
逆に、仮想OSEを使用する場合は、物理OSEを使用することはできない。
仮想OSEを使用している場合、物理OSでは仮想環境の管理だけを行う事ができる。
つまり、ホストWindows ServerのHyper-Vマネージャは使用する事ができる。
また、この場合起動できる仮想環境はゲスト一つだけである。
 

備考

Essentials はサーバーライセンス方式なので、CPUの物理コア数に基づく、コアライセンスの概念は無い。
 
クライアントからのアクセス権も上限として25人・50台までと定められているため、上限までは、CAL(クライアント・アクセス・ライセンス)を購入する必要が無い
サーバーライセンスだけを購入すれば、ユーザーとデバイスの上限数まで、自由にクライアントからアクセスできる。
 
上限を超える場合は、Standard(スタンダード)エディションを購入する必要がある。
 
 

コアライセンスの解説

DatacenterエディションとStandardエディションは、
サーバー側ではコアライセンス方式を採用している。
 
両者ともクライアント側では、CALを購入する必要がある
つまり、サーバー側とクライアント側で、それぞれライセンスを購入する必要がある。
 
コアライセンス方式について解説する。
 

コアライセンスとは

 
コアライセンスとは、CPUの物理コアごとに必要とするWindows Serverのライセンスのことである。
物理コア一つごとに、コアライセンスを一つ購入する必要がある。
( 1物理コア = 1コアライセンス )
 
昔のCPUライセンスをマルチコア時代に合わせて拡張したライセンス方式だ。
仮想コア(論理コア/CPUスレッド)は関係無い、無視して良い。
 
物理コアが分からない人には、以下の記事で物理コアと仮想コアについて解説している。
ここで解説している「物理コア」がコアライセンスと対応する。仮想コアは関係無い。
 

コアライセンスの販売条件

 

2コア単位の偶数で販売する

現代PCのCPUは全てマルチコアなので、コアライセンス方式でも「1つのCPUには最低でも2つの物理コアがある」という前提で、2コア単位の偶数でコアライセンスを販売している。
従って、1コアライセンスとか5コアライセンスのように奇数で購入することはできない。
 
販売ライセンスのCPUコア数には、さらに「最低これだけ買って貰わなくては困るよ!」という条件があり、「これだけ」より少ないコアライセンス数は購入できない。
 
その「これだけ」の条件は、以下のようにプロセッサ基準とサーバー機基準の二つがある。
 

プロセッサ基準の最低販売数

 
 1プロセッサあたり、最低8コア分のライセンスを購入する必要がある。
 

サーバー基準の最低販売数

 
 サーバー1台あたり、最低16コア分のライセンスを購入する必要がある。
 

全ての条件を満たすこと

 
(プロセッサ基準)と(サーバー基準)の両方を満たしていなければならない。
 
(プロセッサ基準) AND (サーバー基準)
 
そしてコアライセンスの販売数は偶数でなければならない。
 

2コアパックと16コアパック

 
用語解説でも解説したが、Windows Server のコアライセンスの販売SKUは二種類しか無い。
2コアパックと16コアパックの二つである。
 
2コアパックとは、2個のコアライセンスをパックしたライセンス製品である。
16コアパックとは、16個のコアライセンスをパックしたライセンス製品である。
 
例えば、8コアライセンス必要な場合は、2コアパックを4つ購入することになる。
32コアライセンス必要な場合は、16コアパックを2つ購入することになる。
24コアライセンス必要な場合は、16コアパックを1つと、2コアパックを4つ購入することになる。
 
ライセンスを購入するときは、必要なライセンス数を算出した上で、最適な2コアパックと16コアパックの組み合わせを選ばなければならない。
 
結構、面倒くさいのだ。
 

コアライセンスの具体例

コアライセンスを理解するのは意外と難しいので、以下に具体的にCPU数が1個から4個まで、1CPUあたりの物理コア数が2個から20個までのケースにおける、コアライセンス数を表で表しながら説明する。
条件を一つずつ加えながら、順番に説明する。
 

(コア数は偶数)

 
コアライセンスは3つの条件が重なるので、最初は「コア数は偶数」の条件だけの表で説明する。
以下の表は、行がCPU数(1から4個)を、列がCPUのコア数を表す。
例えば、CPU1個で、コア数が8個なら、必要なコアライセンスは8個になる。
CPU3個で、コア数が4個なら、必要なコアライセンスは12個になる。
CPU4個で、コア数が8個なら、必要なコアライセンスは32個になる。
 

 

AND (1プロセッサあたり、最低8コア分のライセンス)

 
次は、上の表に「1プロセッサあたり、最低8コア分のライセンス」を加えて表にすると下の表のように変わる(黄色に彩色した部分が変わる)。
1CPUで最低8個のコアライセンスが必要なので、CPU1個の2コアでも8個のコアライセンスが必要になる。
CPU2個の2コアなら、8×2で16コアライセンスが必要になる。
 

 

AND (サーバー1台あたり、最低16コア分のライセンス)

 
次に、上の表に「サーバー1台あたり、最低16コア分のライセンス」を加えて表にすると下の表のように変わる(ピンクに彩色した部分が変わる)。
CPUが1個でも、サーバー1台なので、16コアライセンスが必要になる。
 
これが、
(コア数は偶数) AND
(1プロセッサあたり、最低8コア分のライセンス) AND
(サーバー1台あたり、最低16コア分のライセンス)
の3つの条件を満たす、
 本番のコアライセンス数 を表している。
 

 
 

Standard(スタンダード)エディション

Standardエディションは、サーバー・ライセンスとクライアント・アクセス・ライセンスを両方購入しなければ使用できない。
 
サーバー・ライセンスは先に説明したコアライセンス方式を採用しており、物理コアの総数で必要なサーバー側のコアライセンス数が決まる。
 
必要なコアライセンス数とCAL:クライアント・アクセス・ライセンスを購入すれば、何人でも使用できるので、Essentialsのようなアクセスできる人数やデバイス数の利用制限が無い。
 
ただ、利用できる機能数には制限があり、その制限により中小規模サーバーに相応しいエディションとなっている。
 
CALについては後の別記事で解説する。
 

Standard 利用可能な機能

コアライセンスのルールにより、物理コアの数だけコアライセンス数を購入したサーバーをライセンス・サーバーと呼ぶ。
このライセンス・サーバー一台につき、使用できるOSEは2つだけになる。
これは物理OSEが仮想OSEかは問わない。
物理OSEが仮想OSEかはユーザーが自由に選択できる。
しかし使用できるOSEは2つだけである。
もし3つ以上のOSEを使用したければ、ライセンス・サーバーのライセンス(筐体ライセンス)を追加購入しなければならない。
 

使用できるOSEは2つだけ

もし、物理OSEのWindows Server 主要機能を使用したければ、使用できる最大のOSEは、物理OSE一つと仮想OSEが一つの合計2つだけである。
 
もし、仮想OSEを2つ使用するなら、物理OSEは使用できない。
但し、物理OSEのHyper-Vマネージャは使用できる。
仮想OSEを2つ使用する場合、物理OSEは仮想OSEを管理する為だけに使用することが許される。
しかし、物理OSEの主要機能の大半は使用できない。
 
もし、OSEを3つ以上使用するなら、必要なOSE数の半数を切り上げた数の、筐体ライセンス(ライセンス・サーバー)が必要だ。
 
表で表すと以下のようになる。
 
もし、高性能の一台のサーバー機で4つのOSEを運用したいのなら、筐体ライセンスが2つ必要になる。
 
たくさんOSEを必要とするなら、Datacenterエディションを購入した方が良い。
 
 

Datacenter(データセンター)エディション

Datacenter エディションは、サーバー・ライセンスとクライアント・アクセス・ライセンスを両方購入しなければ使用できない。
 
サーバー・ライセンスは先に説明したコアライセンス方式を採用しており、物理コアの総数で必要なサーバー側のコアライセンス数が決まる。
 
必要なコアライセンス数とCAL:クライアント・アクセス・ライセンスを購入すれば、何人でも使用できるので、Essentialsのようなアクセスできる人数やデバイス数の利用制限が無い。
 
ここまではStandard エディションと同じである。
 
Standard エディションと違い、使用できるOSE数は無制限である。
これは使用できる仮想環境の数も無制限という意味でもある。
 
Datacenter エディションの利用制限は、実質的にメモリ容量やストレージ容量といったマシンリソースの限界が、利用制限と言える。
 
 

DatacenterとStandardのどちらを使用すべきか

DatacenterとStandardのどちらを使用すべきかを考えた場合、
Datacenterエディション 固有の機能を使用しないのならば、
必要なOSE数を満たしたとき、どちらが安くなるかで判断することになる。
 
 

次へ続く

 
以上が、サーバーライセンス体系。
 
次に仮想環境のライセンス数についての解説に進む。
 
 
 
 
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