Windows Server クライアントのライセンス

ライセンスとコスト
 

 
 
StandardエディションとDatacenterエディションでは、サーバー側のコアライセンス以外に、クライアント側にアクセス・ライセンスが必要になる。
 
クライアント側からのアクセス・ライセンスは二種類ある。
CAL:クライアント・アクセス・ライセンスと、EC:エクスターナル・コネクタの二種類である。
 
クライアント側に与えるアクセス権は二つの属性を持っている。
一つ目は、ユーザーORデバイス属性
二つ目は、クライアントORサーバー属性である。
 
この「属性」という説明は私独自の説明だが、この表現の方が分かりやすいだろうと考えてのことである。
 
クライアント・ライセンスはユーザー(アカウント)に対して与える物と、タブレットなどデバイスに対して与える物がある。
これの区別を「ユーザーORデバイス属性」と呼ばせてもらう。
 
また、クライアント・ライセンスは、クライアント側のユーザー(アカウント)やデバイスに登録する形式の物と、物理サーバー側に登録する形式の物がある。
これの区別を「クライアントORサーバー属性」と呼ばせてもらう。
クライアント側にライセンスを登録する物をCALと呼び、物理サーバー側に登録するライセンスをECと呼ぶ。
CALとECの詳細は後で説明する。
 
クライアント・ライセンスは、この二つの属性を必ず持つ。
つまり、クライアント・ライセンスは二つの属性の組み合わせにより、以下の4種類に分かれる。
 
ユーザー&クライアント登録ライセンス
デバイス&クライアント登録ライセンス
ユーザー&サーバー登録ライセンス
デバイス&サーバー登録ライセンス
 

ユーザーORデバイス属性

ユーザーにアクセス権を与える

社内ユーザーなどの場合に、ユーザーアカウントに対してアクセス・ライセンスを与える。
 

デバイスにアクセス権を与える

タブレットやPOS端末のように、利用するユーザーが定まっていないが、機器は定まっている場合、そのデバイスにアクセス・ライセンスを与える。
 

クライアントORサーバー属性

クライアントに登録する(CAL)

クライアントのアクセス権をクライアント自身に登録する。
この方式をCALと呼ぶ。
 
クライアント側がライセンスを保有するので、サーバー側が複数あるとき、どのサーバーに対してもアクセスする事ができる。
サーバーの数が増えたからと言って、新たにクライアント側のライセンスを購入しなくても良い。
 

物理サーバーにアクセス権を登録する(EC)

クライアントのアクセス権を物理サーバーに登録する。
この方式をECと呼ぶ。
 
サーバー側がライセンス情報を保有するので、取引先など一時的に関与する外部ユーザーのように、自身がライセンスを持たないユーザーに対してもアクセス権を与える事ができる。デバイスでもこれは同様である。
ただし、アクセスできるのはそのサーバー機だけで、他の社内サーバー機などにはアクセス出来ない。
 

ライセンス方式利用例

ユーザー&クライアント登録ライセンス

社内ネットワークに複数のサーバー機がある場合、社員ユーザーアカウントに対して、ライセンスを与え、ユーザー側にライセンスを持たせる「ユーザー&クライアント登録ライセンス」方式が良い。
 

ユーザー&サーバー登録ライセンス

同ネットワークで、取引先ユーザーが一時的に社内の特定サーバー機にアクセスする場合は、そのサーバー機自体に取引先ユーザーのライセンスを登録しておけば、特定サーバーだけにアクセスを許可できる。
「ユーザー&サーバー登録ライセンス」方式が良いだろう。
 

デバイス&クライアント登録ライセンス

POS端末から会計サーバー機へ接続する場合、そのPOS端末に会計サーバー機へのアクセス・ライセンスを持たせた方が良いので「デバイス&クライアント登録ライセンス」が良いと思う。
クライアント側にライセンスを持たせる理由として、POS端末を別の店舗に移動した場合、ライセンスを移動しなくても良いからである。
 

デバイス&サーバー登録ライセンス

VPNなどで接続する業務用タブレット端末の様に、接続先のサーバー機は決まっており、タブレットを利用するユーザーが定まっていない場合は、サーバー機側にデバイスのライセンスを登録しておく「デバイス&サーバー登録ライセンス」が良いだろう。
 

アクセス・ライセンス一覧表

 
 

CAL(Client Access License)

CAL:クライアント・アクセス・ライセンスは、ユーザー(アカウント)か又はデバイスに対してアクセスライセンスを与える方式である。
サーバー側にアクセス権を登録するわけではない。
クライアント側にアクセス権を与える
 
そのためライセンス的には、サーバー機が複数存在する場合でも、CALを保有しているユーザーやデバイスは、その複数サーバー機へユーザーやデバイスがアクセスする事ができる
 
企業内ネットワーク環境において、業務システム用サーバー機がたくさんある場合、社員アカウントにCALを与えておけば、その社員は複数のサーバー機へアクセスする事ができる。
もちろんサーバー機側で社員アカウントを受け入れるセキュリティ設定をしていることが前提である。
タブレット機などデバイスでも同様である。
 

EC(External Connector)

EC:エクスターナル・コネクタとは、物理サーバー機ごとに付与するクライアントからその物理サーバーへのアクセス・ライセンスである。
ユーザーごと、あるいはデバイスごとにアクセス・ライセンスを与える。
個々の物理サーバーごとにクライアントからのアクセス権を与えるので、その物理サーバーのECを保有していても、他の物理サーバーにはアクセスできない
サーバー側にクライアントからのアクセス権を付与する方式である。
CALはクライアント側にアクセス権を与えるが、ECでは逆にサーバー側にアクセス権を与える。
 
ECは物理サーバーに対してアクセス権を与えるので、その物理サーバー上にある仮想環境へのアクセスは無制限となる。
これはコンテナでも同様だ。
 

ベース・ライセンスと追加ライセンス

Microsoftのサーバーソフトウェアには、Windows Server 以外にもExchange Server や Skype for Business Server などいくつもの製品がある。
CALを必要とするサーバーソフトウェアでは、1つのベースCALと、1つ以上の追加CALが供与される。
ECについても1つ以上のベース・アクセス・ライセンスが存在し、追加ライセンスを付与する事ができる。
 
CALもECも初期状態で1つのベース・ライセンスが存在し、それに追加する形で、追加アクセス・ライセンスを取得(購入)する形式になる。
 
また、CALには、Windows Server へのアクセスを行うCALもあるが、他のサーバーソフトウェアにアクセスするCALもある。
他のサーバーソフトウェアを購入すると、「追加CAL」と呼ばれる追加のアクセスライセンスが付与される。
例えば Windows Server だけ購入した場合は、Windows Server CAL だけがベース・アクセス・ライセンスとして付与されているが、他のサーバーソフトウェアを購入するとサーバーソフトウェアのアプリケーションのCALと別に、Windows Server の追加機能を使用するCALが付属する。
Windows Server Remote Desktop Services CAL や
Windows Server Active Directory Rights Management Services (RMS) CAL
などが、それに該当する。
リモートデスクトップとアクティブディレクトリはどちらも Windows Server 標準装備の追加機能である。
 
例えば、Exchange Server を購入すると、Exchange Server CAL と一緒に、Remote Desktop Services CAL が付属するという具合だ。
 
サーバーソフトウェアを使用する為に必要な Windows Server の関連CALが付属する。
 
 

CAL/ECを購入するサービス

以下の機能はCALとECのどちらでもアクセス・ライセンスを導入できる。
 
Windows Server 主要機能 (ベース・ライセンス)
Windows Server Remote Desktop Services (追加ライセンス)
Windows Server Active Directory Rights Management Services (追加ライセンス)
Microsoft Identity Manager (追加ライセンス)
 
 
通常、Essentialsエディションでは CAL を購入する必要が無いのだが、Windows Server Active Directory Rights Management Services においては、高度な機能にアクセスするユーザーアカウントには CAL を取得する必要がある。
 
Microsoft Identity Manager は、ID情報の発行または管理を行うすべてのユーザーに CAL または EC が必要である。
 

旧バージョンへのアクセス権

CALとECのバージョンが、Windows Server のバージョンと同じであれば、当然アクセス可能だ。
CALとECのバージョンが、Windows Server のバージョンより新しければ、そのサーバーにはアクセスできる。つまり、CAL・ECの方が新しければサーバーにはアクセス可能だ。
CALとECのバージョンが、Windows Server のバージョンより古い場合は、そのサーバーにはアクセスできない。つまり、CAL・ECの方が古ければサーバーにはアクセスできない。
 
ちなみにCALとECの2008バージョンは、Windows Server 2008 と Windows Server 2008 R2 のどちらにでもアクセス出来る。
他は、CALとECのバージョンが Windows Server のバージョンと一対一で対応しているので、上記の法則が成り立つ。
 
社内ネットワークなどで、社員ライセンスにCALをメインに利用している場合、新しいバージョンの Windows Server を導入したら、社員CALのバージョンを新しいバージョンにアップグレードしなければ、新しい Windows Server へアクセスできなくなってしまう。
この点は注意が必要だ。
 

次へ続く

 
以上が、クライアント・ライセンスの解説。
 
次にライセンス価格についての解説に進む。
 
 
 
 
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