高速通信環境とストリーミングサービスの未来について

2020年11月12日木曜日

閑話 未来の妄想

t f B! P L

今日は技術とサービスの関係について、日頃思っていたことをメモ代わりに書いて起きたいと思う。

役に立つノウハウや知識のたぐいではないので、興味のある方だけご覧ください。

 

ストリーミングサービスが登場した理由

私は普段から Youtube, Netflix, Amazon Prime などストリーミングサービスを視聴している。

これらのストリーミングサービスは要するに mp4 等の圧縮された動画ファイルをダウンロードして手元の端末で再生しているサービスだ。

 

昔は、単純に動画ファイルをダウンロードして手元のメディアプレーヤーなどのアプリで再生して視聴していた。

 

しかし、昔は通信速度が遅く、90分の映画や、60分のドラマなど全てダウンロードするには時間が掛かった。

ADSLが登場した頃の通信速度は 8Mbps ぐらいだったと思う。

当時はHD動画ではなかったので、動画の解像度は 320×200 ぐらいだったと思う。

解像度が低いので通信速度は 8Mbps でも動画の視聴はできた。

しかし、やはり動画を全てダウンロードしてから視聴するのは、時間か掛かって不便だった。

動画の最初の方だけ見て面白いか判断する事ができないので、ダウンロードした時間が無駄になってしまう。

 

そういった不便を解消する為に登場した技術がストリーミング技術だ。

 

動画の圧縮方法を工夫して、全てのファイルが揃わなくても、動画ファイルの先頭の部分だけダウンロードできたら、再生できる動画圧縮方式だ。

ダウンロードできた部分だけ視聴できて、視聴している間に続きのダウンロードが出来るので、動画ファイルのダウンロードが完了するのを待つ必要が無い。

 

実はこのストリーミング技術はADSLが登場する前から存在し、ダイヤルアップ回線でも使用できた。

ただ、さすがにダイヤルアップ回線では画質が悪く実用的では無かった。

ストリーミング技術が実用的になったのは、ADSLが登場した後のことである。

 

ADSL後の動画配信は全てストリーミングサービスになった。

 

Youtube や ニコニコ動画など、初期のストリーミングサービスは、WEB画面の中で動画再生しているように見えるが、実際は mp4 など動画ファイルをただダウンロードして、Flashプレイヤーなど手元端末に予めインストールしているコンポーネント(ソフトウェアの部品の事)によって、再生していた。

Flashプレイヤー等、動画再生コンポーネントは全てストリーミング技術に対応している。

 

しかし、やがてテレビ放送されたアニメなどを中心に著作権侵害の違法アップロードが数多く行われるようになり、その対策がストリーミングサービスを提供する動画プラットフォーム側に求められた。

 

その対策の一つは、人力で違法アップロード動画を削除する。

違法動画の発見は動画プラットフォーム側で監視したり、善意のユーザーの通報によって行われた。

 

もう一つの問題として、動画ファイルをただダウンロードして再生する仕組みだと、ダウンロードした動画ファイルが視聴者の手元端末に残ってしまい、その動画ファイルを違法アップロードされてしまう事を防げない。

 

そこで、ダウンロードした動画ファイルが手元端末に残らずに消滅する仕組みが採用されるようになった。

 

現在のストリーミングサービスは全て、動画が手元端末に残らない仕組みで稼働している。

 

高速化する通信回線

昔は通信速度が遅かったので、動画配信にストリーミング技術が必要とされた。

しかし現代の通信回線は劇的に高速になった。

今は自宅やオフィスなどの固定回線の場合、実行速度でダウンリンク 200Mbps , アップリンク 100Mbps ほどの通信速度が出る。

 

少し遅い回線でも光ファイバーなら、ダウンリンク 40Mbps , アップリンク 10Mbps ほどになる。

 

4G なら 168Mbps~299Mbps 程度なので大体、高速の固定回線と同じぐらいだ。

https://www.nttdocomo.co.jp/area/premium_4g/

 

遅い格安スマホでも ダウンリンク 30Mbps ぐらいはでる。

少し遅い光ファイバー回線ぐらいの速度は格安スマホでも出る。

 

圧縮された動画ファイル

動画はコーデックと呼ばれる圧縮規格によって圧縮されて小さくなっている。

データの圧縮率はコーデックによって異なり、動画のサイズは単純に時間では算出できない。

だだ、大凡の目安は出せる。

 

IPhone で動画を撮影した場合を基準とすると、

動画ファイルのサイズは、20分のHD動画の場合は 800MB ほど、フルHDで 1200MB 程度になる。

40分なら、HD動画の場合は 1600B ほど、フルHDで 2400MB 程度だ。

80分なら、HD動画の場合は 3200MB ほど、フルHDで 4800MB 程度だ。

https://media.tebiki.jp/031

 

30分アニメでCM等抜くと実質20分ぐらい、60分ドラマで実質40分ぐらいだ。

映画は通常80分ぐらいだろう。

 

動画ダウンロードの所要時間

ダウンリンク 200Mbps は、バイト換算にすると 25M byte 毎秒 になる。

ダウンリンク 40Mbps は、バイト換算にすると 5M byte 毎秒 になる。

 

それぞれの動画のダウンロード所要時間は以下のようになる。

動画.時間ファイルサイズ40Mbps回線200Mbps回線
HD.20分800MB160秒(2.7分)32秒(0.54分)
HD.40分1600MB320秒(5.4分)64秒(1.07分)
HD.80分3200MB640秒(10.7分)128秒(2.1分)
フルHD.20分1200MB240秒(4分)48秒(0.8分)
フルHD.40分2400MB480秒(8分)96秒(1.6分)
フルHD.80分4800MB960秒(16分)192秒(3.2分)

 

高速固定回線の場合

固定回線ならHD動画のアニメなどは、32秒ほどでダウンロードできる。

フルHDでも 48秒 程度である。

途中のCM区切りで二つにファイルを分割すれば、前半と後半を半分の時間でダウンロードできる。

HD動画なら 16秒、フルHDで 24秒 ほどだ。

 

40分のドラマでも、CM区切りで三つ四つにファイルを分割すれば、同様の単時間でダウンロードできる。

 

昔、通信速度が遅かったときは、ダウンロードが完了するのに何十分も何時間も掛かった。

 

しかし、今の通信速度なら、動画を視聴するのに精々か16秒から48秒程度しか待つ必要がない。

 

同時に五本ぐらいの動画をダウンロード開始の操作をしている内に、最初のダウンロードが完了しているぐらいの時間しか待たされない事になる。

 

80分の映画を全部ダウンロードしてもHD動画で 2.1分 、フルHDでも 3.2分 しか掛からない。

 

むろん、プラットフォーマー側の通信速度が十分に確保できると仮定した場合の話ではあるが、サーバー側の通信速度も年々向上している。

 

こうなると特にストリーミング技術でダウンロードしなくても良さそうな気がする。

もちろんストリーミングは即時に動画を視聴できる価値はある。

しかし「必須」とは言えない価値だ。

 

低速回線の場合

40Mbps 程度の速度なら、20分HD動画で2.7分 、半分に分割して1.4分待たされる。

フルHDなら、4分、半分に分割して 2分待たされる。

これならストリーミング技術は「必須」である。

 

5Gの場合

最近サービスが始まった「5G」の場合は、最大で 10Gbps 、将来は 20Gbpsまで向上すると言われている。

10Gbps なら、20分HD動画で 0.64秒、フルHDで 0.96秒である。

フルHDの80分動画なら 3.84秒でダウンロードできてしまう。

20Gbps ならその半分の時間だ。

 

こうなるとストリーミング技術は全く必要無い。

 

ボトルネックになるとすればサーバー側の通信速度だ。

 

必要性を失うストリーミング技術

つまり、ストリーミング技術は元々通信速度の遅い回線でも、快適に動画を視聴できるように開発された技術なので、「5G」のような高速回線が実用化すると、必要の無い技術になってしまうのだ。

 

将来的には光ファイバーの固定回線も高速化する。

既にストリーミング技術はその必然性を失いつつある技術なのだ。

 

現在の Netflix, Youtube, Amazon Prime などストリーミングサービスは、ストリーミング技術が必要だからこそ成立するサービスである。

 

現在のストリーミングサービスの価値は何か

少なくとも光ファイバーの高速固定回線では、ストリーミング技術の価値は「必須」とは言えない状況にあり、「5G」においては、完全に無用の長物となっている。

 

では、この高速回線時代においてストリーミング技術の価値はどこにあるかと言えば「著作権保護」と「有害情報の削除」にあると言える。

 

ストリーミングサービスが必須の社会では、配信したい動画コンテンツは全てストリーミングサービス提供業者のサーバーに格納されている。

ダウンロードされた動画ファイルをコピーできないようにしておけば、動画コンテンツを不正に複製されて配布される事はない。

動画コンテンツの「著作権保護」の役に立つ。

また、「児童ポルノ」や「反社会的言論」などの「有害情報の配信」もストリーミングサービス提供業者の支配下に置かれるため、提供業者の裁量で「有害情報の削除」が出来る。

 

つまり、ストリーミング技術本来の目的とは異なり、動画コンテンツ配信をストリーミングサービス経由でしか行えないため、ストリーミングサービス提供業者によって「治安の維持」を行う事ができる。

名誉毀損や侮辱、有害な嘘や逆情報などのコントロールや削除もできる。

 

つまり、現在のストリーミングサービスの価値は「動画配信の秩序と治安の維持を外注できる」ことにある。

 

そして、ストリーミングサービスが価値を持つことで副次的に生じる価値は、ストリーミングサービスに資金が集まり、独自コンテンツを制作できるようになる点である。

Netflix, や Amazon Prime はその価値を生かしている。

 

超高速回線で起きる秩序の崩壊

かつて、Winny というファイル共有ソフトが日本で開発された。

P2P(ピアツーピア)という分散ネットワーク技術で開発された、情報共有ソフトで無数のサーバーとサーバーが繋がり合い、どこかのサーバーが登録したファイルを他のサーバーから参照複製できる機能を有していた。

 

P2Pは現代ではブロックチェーンに利用される技術だ。

 

その Winny のようなファイル共有ソフトは他に、海外にも多数存在し、世界中で様々なファイルが共有されていた。

 

これらのファイル共有ソフトには致命的な欠陥がある。

「共有したファイルを削除出来ない」

「ファイル共有を禁止する事ができない」

という点である。

 

これらファイル共有ソフトはCDなどの音楽データの共有に使われ、一時期は音楽産業の崩壊寸前まで行ってしまった。

また、ゲームソフトや映画などデジタルデータに著作権の有るデータが、無断複製される温床になってしまった。

児童ポルノなど有害情報の拡散を止める事もできなくなった。

これらが国境を超えて拡散複製されるので警察の力だけでは防げないのだ。

 

Winny の開発者は日本人で、京都府警察ハイテク犯罪対策室によって「著作権法違反幇助・公衆送信権の侵害」の容疑で逮捕されてしまった。

開発者自身は著作権法違反など犯罪行為は行っていないのだが、ファイル共有ソフトを開発し配布した事を「罪」とされて逮捕された。

この裁判は最終的には Winny 開発者が最高裁で「無罪」を勝ち取る。

 

しかし、コントロールできない「情報共有拡散を可能とするソフトウェアやサービスを提供する」ことの、社会的責任とリスクを顕在化した事件だった。

Winny 開発者に「罪は無い」と私も思うが、では誰がこの「違法なファイル共有」を防ぐのかという問題が解決できない。

 

デジタルデータの配布には社会的責任が生じる

5G やそれに匹敵する超高速回線はいずれ、日本中に普及する。

超高速回線が社会に普及すると、動画ファイルなど大きなデジタルデータなど、ファイルサーバーのような簡単なサーバーや Winny のようなP2P方式のファイル共有ソフトで簡単に、配信拡散できてしまう。

今のところは、まだ Netflix, Amazon などプラットフォーマーを経由しなければ、ファイルの共有拡散は難しい。

Winny のようなやり方では「課金」できないという問題もありプラットフォーマーを皆利用する。

 

技術的には今の技術とネットワーク環境でも「マンガ村」のような違法なファイル共有や拡散は可能である。

 

今のところは、「マンガ村」事件のように明確な制度によって、違法又は有害な情報の拡散を防ぐ体制はない。

国境を越える問題なので、防ぎようがない。

プラットフォーマーが居るからどうにか秩序を維持できているのが実状だ。

 

超高速回線の世界への普及に備えて、法的制度的な違法又は有害な情報の拡散を防ぐ体制を作る事が必要である。

また、技術的・ビジネスモデル的な対策も必要だろう。

 

TPPやEPA・RCEPなどでは国境を越えた知的所有権の保護を推進する協定が結ばれている。

各国政府レベルではある程度、将来を見越した対策が進められている。

 

民間でも同様の対策が進められる事になると思う。

 

今後、ストリーミングサービスは必要か

 

私は今後はストリーミングサービスが必要なサービスではなくなると思う。

ストリーミング技術自体が必要無くなる。

Netflixなど、現在のストリーミングサービスのプラットフォーマーは「コンテンツ制作者」と「コンテンツ販売課金業者」として付加価値を生むので消滅する事はないと思う。

 

しかし、ネットワーク外部性の特権を獲得できなかったただの配信業者や、これから動画コンテンツの配信だけを行う業者は、サービスを発展させるのが難しいと思う。

 

今後は超高速回線を生かし、単純簡単な仕組みでデータやファイルを配信する者が沢山あらわれると思う。

ただファイルを配布するだけ、課金代行するだけでは、価格競争で勝てないだろうし、このぐらいなら個人個人が自分で配布するようになると思う。

 

フリーソフトなど個人のサイトから各自配布しているように、動画も個人のサイトから配布するようになると思う。

動画自体がソフトウェアになってライセンスを買わないと再生できないようにして、

且つ買った本人以外は再生できないようにすれば、販売も可能である。

他にもライセンスや課金の管理方法は沢山あるだろう。

 

問題は誰でも簡単にファイル配信できるとしたら、その秩序は誰が管理するのかという問題である。

「児童ポルノ」や「無断複製したアニメやマンガ」の販売をどうやって防ぐのか。

正攻法なら違法行為を働いた者を警察が個別逮捕すべきだが、配信者は海外にいるかも知れない。

 

ストリーミングサービスなどのプラットフォーマーの存在価値は、やはり「秩序と治安の維持」のため、必要とされるかも知れない。

それはストリーミングサービスではなく、秩序を維持するプラットフォーマーの存在価値である。

 

そして、そのあたりに今後求められるビジネスモデルの種があるのではないかと思う。

 

 

終わり。

 

長い文章をここまで読んでくれてありがとう。

 

 

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オッサンです。実務経験は Windows環境にて C#,VB.NET ,SQL Server T-SQL,Oracle PL/SQL,PostgreSQL,MariaDB。昔はDelphi,C,C++ など。 趣味はUbuntu,PHP,PostgreSQL,MariaDBかな ?基本無料のやつ。

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