本来、業務システムは業務担当者とIT担当者の協力により開発するもの

2020年10月4日日曜日

システム開発 システム業界問題

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 先日の東証のシステム障害の記者会見で、経営層、特にCIOがシステムやコンピュータのことを熟知していて、その丁寧な説明に世間のITエンジニアの絶賛の声が多数上がっている。


しかし、会見で質問していたメディアの記者達の質問が、あまりにもシステムやコンピュータに無知で、逆にブーイングの嵐が吹いている。


私もメディアの記者達はあまりにもITに無知すぎると思うが、今はその話がしたいわけではない。


SNSではこのメディアの記者達に対する批判の声に対して「記者はITの素人なのだから知らないのは当然だ」という反論が多少出てきている。


メディアの事は置いておいて、私はこの「素人なのだからITを知らないのは当然だ」という意見に対して反論しておきたい。


全ての企業はIT企業になる


今後、全ての企業は自らソフトウェアを開発し、その機能や機能によって実現するサービスを販売するようになるときが来る。


これは私の意見ではなく、同様のことはかなり昔から様々な人々が主張している。


そもそも人間の業務は決まった手続きで決まった作業を行う「手順」である。


コンピュータのソフトウェアも決まった手続きで決まった作業を行う「手順」である。


前者は人間が「手順」を回し、後者はコンピュータが「手順」を回しているだけで、本質的に同じものである。


ITが発達し企業間の競争が激化すれば、生産性向上の為に人間が行っている「手順」をコンピュータにやらせようと誰でも考える。


ただ、コンピュータにもまだまだ出来ない事が多いので、全てがIT化する事はないが、ITが進歩するほどIT化は進む。


コロナ禍の影響やデジタル庁による改革で益々その動きは加速するだろう。



業務システムはITエンジニアだけでは開発できない


ITシステム開発をよく知らない人は、システム開発はITエンジニアに丸投げにするもので、開発依頼する業務担当者は何もしなくて良いと思っている。


しかし、この「丸投げ」がシステム開発の失敗を誘発し、依頼者に大きな損害をもたらす。


どうして開発社ではなく依頼者が損害を被るのかと言えば、受託仕事は発注者には発注者の責任があり、発注者がこの発注者の責任を果たしていないと、裁判などで有罪になってしまう。

よくあるのが、業務について十分に説明していない、何度も何度も要件を変更する、納期間近に仕様変更を要求するなどだ。


つまり、ITをよく知らずに業務システム開発をIT担当(ITベンダー)へ「丸投げ」にする行為は、発注者の大きな損失になると言うことだ。



別の側面からも説明しよう。


業務システムは、先に説明した業務の「手順」を、ソフトウェアで遂行できるようにしたモノだ。


業務の「手順」にもっとも精通しているのは、業務担当者である。


当たり前だ。


さらに業務システムの開発を行うIT担当者(ITエンジニア)はITの専門家であって、業務は素人である。


従って、当たり前のことを当たり前に、常識的に考えれば、業務システムは業務担当者とIT担当者(ITエンジニア)の互いの協力によってでしか開発できないのだ。


言い換えると、業務担当者が業務ITシステムの開発に参画しなければ、業務ITシステムは開発できない。


業務担当者が参画しなければ、一体誰が業務知識をシステム開発者に提供するのだろう ?


IT担当者(ITエンジニア)は業務については原則素人である。少なくとも本職ではない。


ITコンサルタントなどが執筆した書籍などを読んでいる人なら理解していると思うが、以下の図で示したように、業務システムの開発は業務担当者とIT担当者(ITエンジニア)が経営担当の直下で、対等の立場で互いに協力関係を作って、業務システムを開発するのが、正しい体制なのだ。





業務担当とIT担当の意見が割れたとき、経営担当が両者の話を聞いて裁定を下す。


東証の記者会見が絶賛されているのは、経営層がシステムやコンピュータに詳しいCIOを抱えており、明らかに富士通を含めて正しい体制でシステムを開発していることが推測できるからだと思う。


素人はITを知らなくて良いのか


メディアの擁護論にある「素人なのだからITを知らないのは当然だ」という理屈は、「素人は専門外の知識を知らなくて良い」という事を意味する。


業務システム開発においては、業務担当者はITの素人なのだからITシステムの事を知らなくて良いことになる。


同時に、IT担当者(ITエンジニア)は業務の素人なのだから、業務の事を知らなくて良いことになる。


これで、いったいどうやって業務システムを開発するのだろう ?


ハッキリ言ってこの体制では業務システムは開発できない。


現実には、業務担当者は出来る範囲でITとシステムの知識を持ち、IT担当者(ITエンジニア)は出来る範囲で業務の知識を持つ努力を、お互いにすることで、初めて業務システム開発が実現できるのだ。



先に説明したように、いつか全ての企業は自社の中核業務知識と手順をソフトウェアシステムに落とし込み、その製品か、製品の機能をサービスとして売るようになる。


全ての企業はIT企業になる。


そして業務システムはITエンジニアだけでは開発できない。


業務担当者との互いの協力が必要だ。


ITエンジニアには業務知識が必要だ。


同様に業務担当者にはIT知識が必要だ。


そうでなければ互いに協力などできない。


「素人は専門外の知識を知らなくて良い」という理屈は間違っている。


それでは業務システムは開発できない。


従って、「素人なのだからITを知らないのは当然だ」というメディアの擁護も間違っていると言わざる得ない。


IT素人の業務担当者のみなさんは、東証を見習って、意識を変えた方が良いと思う。


2020年10月29日追記>

日経新聞に良い記事が掲載されたので共有します。


官のIT人材、1%に届かず 投資も民に見劣り


「IT人材が働く業種を国勢調査などをもとに推計すると、約7割はソフトウエア業や情報処理・サービス業などのIT関連産業だった。主要先進国はこの割合が35.5~46.6%と分散しており、官民様々な分野で活躍している様子がうかがえる。」


「人材がIT企業に集中すると、システム開発がいびつになってしまう面もある。日本のシステム開発はIT企業による受託が中心で、委託する側に適切な人材がいないと、効率的な投資や運用が難しくなる。白書では『委託側と受託側の情報や知識の非対称性を小さくする必要がある』とし、委託する側にもITの知見を求めている。」


参考文献


私の話だけでは理解も納得もできないだろうから、本職のITコンサルタントの書いた著書を紹介する。


「会社のITはエンジニアに任せるな」


奇抜なタイトルに見えるが、この本はIT素人向けに業務ITシステムの正しい開発への取り組み方について解説された本だ。


「エンジニアに任せるな」とは「エンジニアに丸投げにするな」という意味だと考えて欲しい。


ITに弱い業務担当者や経営者の方々はぜひ、こういう常識を身につけて欲しい。


こういったことを知らずに大きな損害を被るのは、システム開発の失敗で大損害を被る、業務側なのだから。


失敗と損害は避けて行きましょう。





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オッサンです。実務経験は Windows環境にて C#,VB.NET ,SQL Server T-SQL,Oracle PL/SQL,PostgreSQL,MariaDB。昔はDelphi,C,C++ など。 趣味はUbuntu,PHP,PostgreSQL,MariaDBかな ?基本無料のやつ。

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