選択的夫婦別氏制度と戸籍の関係について

2020年10月10日土曜日

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夫婦別姓「前向きに検討」 橋本男女共同参画担当相

https://news.yahoo.co.jp/articles/797bc63b39e3ab8e2e9f71efe8fe734e7343aa5a

 

「橋本聖子男女共同参画担当相は9日の記者会見で、選択的夫婦別姓について「国民がどう望んでいるのか前向きに検討することは、非常に前進だと感じてもらえる」と述べ、導入に向けた議論に取り組む姿勢を示した。」

 

選択的夫婦別姓についての議論が与党の中で再び始まりそうだ。これまでも選択的夫婦別姓については議論されてきたようである。

 

詳しくは以下の法務省のサイトで確認してください。

 

選択的夫婦別氏制度(いわゆる選択的夫婦別姓制度)について

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji36.html

 

「選択的夫婦別べつ氏うじ制度とは,夫婦が望む場合には,結婚後も夫婦がそれぞれ結婚前の氏を称することを認める制度です。なお,この制度は,一般に『選択的夫婦別姓制度』と呼ばれることがありますが,民法等の法律では,『姓』や『名字』のことを『氏うじ』と呼んでいることから,法務省では『選択的夫婦別氏制度』と呼んでいます。」

 

という事なので、この記事では「選択的夫婦別氏制度」と呼びます。

 

法務省では平成8年と平成22年に「民法の一部を改正する法律案要綱」により選択的夫婦別氏制度の導入が提言されたが、国会に提出するには至らなかったようだ。

 

民法の一部を改正する法律案要綱

http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi_960226-1.html

 

政府や与党内部でどんな議論があったのか分からないが、「選択的夫婦別氏制度」はかなり長い間政府内部で議論されてきたようだ。

「民法の一部を改正する法律案要綱」の中身を見る限り、法改正は家族法だけで、戸籍法の改正は含まないようだ。

「選択的夫婦別氏制度」の一番の問題点は、その制度改正が、やり方によっては戸籍制度の改悪、又は破壊に繋がる可能性がある点にある。

 

先の法案を見る限り戸籍法の改正は含まないが、この法案で「選択的夫婦別氏制」の家族法と「家族同一氏制」の戸籍法を同時運用できるのか、疑問である。

「出来ない」と断言するつもりもないが、パスポートなど身元や国籍の証明の手段である戸籍謄本を「家族同一氏制」で運用しながら、家族法だけ「選択的夫婦別氏制」して、各種届け出や契約書の名義などは、どちらを基準に「氏名」を既定するのか、良く分からない。

 

この矛盾に対して明確に説明して貰わなければ、「選択的夫婦別氏制度」を素直に肯定できない。

 

「民法の一部を改正する法律案要綱」の氏に関する家族法改正案は以下のように記載されている。

 

第三 夫婦の氏

一 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫若しくは妻の氏を称し、又は各自の婚姻前の氏を称するものとする。

二 夫婦が各自の婚姻前の氏を称する旨の定めをするときは、夫婦は、婚姻の際に、夫又は妻の氏を子が称する氏として定めなければならないものとする。

第四 子の氏

一 嫡出である子の氏 嫡出である子は、父母の氏(子の出生前に父母が離婚したときは、離婚の際における父母の氏)又は父母が第三、二により子が称する氏として定めた父若しくは母の氏を称するものとする。

 

 

戸籍法の氏に関する法律では次のようになっている。

 


第三章 戸籍の記載

第十三条 戸籍には、本籍の外、戸籍内の各人について、左の事項を記載しなければならない。


一 氏名

二 出生の年月日

三 戸籍に入つた原因及び年月日

四 実父母の氏名及び実父母との続柄

五 養子であるときは、養親の氏名及び養親との続柄

六 夫婦については、夫又は妻である旨

七 他の戸籍から入つた者については、その戸籍の表示

八 その他法務省令で定める事項



第十四条 氏名を記載するには、左の順序による。

第一 夫婦が、夫の氏を称するときは夫、妻の氏を称するときは妻

第二 配偶者第三 子

○2 子の間では、出生の前後による。

○3 戸籍を編製した後にその戸籍に入るべき原因が生じた者については、戸籍の末尾にこれを記載する。



第十六条 婚姻の届出があつたときは、夫婦について新戸籍を編製する。但し、夫婦が、夫の氏を称する場合に夫、妻の氏を称する場合に妻が戸籍の筆頭に記載した者であるときは、この限りでない。

○2 前項但書の場合には、夫の氏を称する妻は、夫の戸籍に入り、妻の氏を称する夫は、妻の戸籍に入る。

○3 日本人と外国人との婚姻の届出があつたときは、その日本人について新戸籍を編製する。ただし、その者が戸籍の筆頭に記載した者であるときは、この限りでない。



第十七条 戸籍の筆頭に記載した者及びその配偶者以外の者がこれと同一の氏を称する子又は養子を有するに至つたときは、その者について新戸籍を編製する。第十八条 父母の氏を称する子は、父母の戸籍に入る。

○2 前項の場合を除く外、父の氏を称する子は、父の戸籍に入り、母の氏を称する子は、母の戸籍に入る。

○3 養子は、養親の戸籍に入る。



第十九条 婚姻又は養子縁組によつて氏を改めた者が、離婚、離縁又は婚姻若しくは縁組の取消によつて、婚姻又は縁組前の氏に復するときは、婚姻又は縁組前の戸籍に入る。但し、その戸籍が既に除かれているとき、又はその者が新戸籍編製の申出をしたときは、新戸籍を編製する。

○2 前項の規定は、民法第七百五十一条第一項の規定によつて婚姻前の氏に復する場合及び同法第七百九十一条第四項の規定によつて従前の氏に復する場合にこれを準用する。

○3 民法第七百六十七条第二項(同法第七百四十九条及び第七百七十一条において準用する場合を含む。)又は同法第八百十六条第二項(同法第八百八条第二項において準用する場合を含む。)の規定によつて離婚若しくは婚姻の取消し又は離縁若しくは縁組の取消しの際に称していた氏を称する旨の届出があつた場合において、その届出をした者を筆頭に記載した戸籍が編製されていないとき、又はその者を筆頭に記載した戸籍に在る者が他にあるときは、その届出をした者について新戸籍を編製する。



第二十条 前二条の規定によつて他の戸籍に入るべき者に配偶者があるときは、前二条の規定にかかわらず、その夫婦について新戸籍を編製する。
第六節 婚姻第七十四条 婚姻をしようとする者は、左の事項を届書に記載して、その旨を届け出なければならない。

一 夫婦が称する氏

二 その他法務省令で定める事項

 

戸籍法

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=322AC0000000224#J

 

 

両方の法律を見る限り、「選択的夫婦別氏制度」を導入しても、バスポートには戸籍の氏を使わなければならないし、各種身元保証も同様になるように思える。 戸籍法を変更する事なく「選択的夫婦別氏制度」を導入する事など可能なのだろうか。 また、このような中途半端な家族法改正は、「旧姓を完全にどこでも使用できるようにする」改正と何が違うのだろうか。

家族法改正案と戸籍法の矛盾についての議論があまりにも不十分に思える。 だから平成8年から議論しているのに法案提出にすらたどり着けないのではないだろうか。

 

戸籍はなぜ必要なのか

 

戸籍法を全部読んで見れば、これが何のためにあるのか分かると思うが、「戸籍」というのは明治初頭からの家系の記録である。「戸籍」を過去に遡れば、日本国民の先祖が誰なのかを確認することができる。

そしてこれは、その人が日本人であることの証明でもある。

だからパスポートを取得する時は、戸籍謄本を提出する必要がある。 では、なぜ戸籍が日本人の証明として使用されているのだろうか。 「日本人の定義」について考えてみて欲しい。

 

「日本に住んでいる」

「日本語を話す」

「大和民族の遺伝子を持つ」

 

これぐらいしか思いつかないのではないだろうか。

少し考えてみれば、これらは全て外国人でも満たすことができる条件である。

 

永住権を持っていれば「日本に住んでいる」条件を満たす事ができる。

日本語を勉強すれば「日本語を話す」条件を満たす事ができる。

「大和民族の遺伝子を持つ」については、そもそも大和民族の遺伝子をどうやって定義するのか不明である。

大和民族は複数の渡来人が混血を繰り返してできた、混血民族であり、特定の人種や民族で構成される民族ではない。過去二千年・三千年遡ればアメリカのような移民の國と変わりない。

 

このように考えると「日本人の定義」を定めるのは難しいと分かるはずである。

 

しかし、移民反対論を聞けばわかるように、大量移民を受け入れれば、現在の日本人の為の日本国は事実上解体してしまう。

だから、「日本人の定義」を定めて、過剰に外国人が流入する事を防ぐ必要がある。

 

だから戸籍が必要になる。

 

戸籍制度から導き出される「日本人の定義」は、「先祖が日本人の人」である。

先祖を確認するには、家系を遡って先祖が誰か確認できるように、記録を残す必要がある。

だからパスポートなど日本人の証明には戸籍謄本が必要なのだろう。

 

戸籍制度が導入されたのは明治初頭である。

伝統とは関係無い。

江戸時代は鎖国に近く、海外との往来がほとんど無かったため、日本列島に住んでいる人は全員日本人と考えて問題なかった。

 

しかし、明治以降はアメリカの要求により、開国したため、国民の海外との往来が活発になる。 したがって、日本人の為の日本国を維持する為に、外国人と日本人を明確に区別する必要がある。 だから、明治時代から平民にも「氏」が定められ、「戸籍制度」が制定されて「家系」の記録を残すようになったのだろう。

 

争点は「夫婦別姓」ではなく「戸籍の維持」

 

現在の世間で議論される選択的夫婦別姓の議論は、全て家族法の枠内の議論であり、保守派もどうでも良い議論をしているように見える。

この「選択的夫婦別姓」の問題点は戸籍制度を維持して、「日本人の定義」と移民の流入を防いで、「日本人の為の日本国」を守り続ける事ができるかどうか、という点が重要な争点だと思う。

 

その意味で、私は「選択的夫婦別姓」と「戸籍法」に関するマトモな議論を聞いたことがない。

「戸籍法」は維持できるのか。 という点で十分に議論して頂きたい。

 

現在の法案は家族法改正案と戸籍法の矛盾についての議論があまりにも不十分だ。

 

 

世間には「戸籍制度の廃止」を訴えている政治勢力も存在する。

 

これは事実上、「日本を移民の国」にする政策で、とても賛成できない。 日本が移民の国になれば、中国など人口大国から大量に移民が殺到して、日本は人口大国の植民地のようになってしまうだろう。

 

「選択的夫婦別姓」と「戸籍法」の議論は、その視点に立って慎重に議論して欲しいと思う。 この議論をしている人達に国防の認識があるように見えない。

 

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