消費者物価指数がマイナスに転落した

2020年9月19日土曜日

経済政策 時事

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総務省より8月の消費者物価指数が公表された。

2015年基準 消費者物価指数 全国 2020年(令和2年)8月分 (2020年9月18日公表)


2015年100基準
指数
前年同月比
前月比
総合
 102.0
 0.2%
0.1%
生鮮食品を除く総合
 101.3
▲0.4%
0.4%
生鮮食品及びエネルギーを除く総合
 101.6
▲0.1%
0.5%

という数字だった。

直近の消費者物価指数とGDPデフレータ


消費者物価指数は英語で CPI(Consumer Price Index) と表されるが、上記の三つの指数はそれぞれ以下の略称で呼ばれる。

総合 = CPI
生鮮食品を除く総合 = コアCPI
生鮮食品及びエネルギーを除く総合 = コアコアCPI

CPIは、財・サービスの価格の全体の変異を見たもので、「消費」視点から一般物価の上昇率を見た値である。

三つのCPIの内、本当の物価上昇率を表しているのは、コアコアCPIである。
生鮮食品は天候の影響で物価が変動してしまう。
エネルギーは海外の石油やガスの需要と国際情勢の影響で変動してしまう。
この二つを取り除いた物価が国内の経済活動の状況を表している。

通常このCPIは一般物価の変動を見る事で、鏡合わせにある「貨幣価値」の変動を見ている。
一般物価が上がるということは、貨幣価値が下がっているという事。
一般物価が下がるということは、貨幣価値が上がっているという事。
貨幣価値が上がっていると、人々は貨幣を預金に回してしまう。
その為、貨幣が消費に使われる量が減り、消費の合計である GDP が減少してしまう。
貨幣価値が下がっていく状況では、人々は貨幣を別のモノに交換して資産を守ろうとする。
消費も増え、投資も増え、雇用も増える。

GDPデフレータ


似たような値に「GDPデフレータ」というのがあり、内閣府GDP統計で四半期ごとに公表される。

2020年4月から6月期のGDPデフレータ季節調整値は 104.2 だった。
2019年4月から6月期のGDPデフレータ季節調整値は 102.7 なので、前年同月比 1.01 になる。

GDPデフレータは、名目GDP ÷ 実質GDP × 100

で算出する。

名目GDPはその時点の物価水準で価格を評価した付加価値の合計。
実質GDPは基準時点の物価水準で価格を評価した付加価値の合計となる。

現在の内閣府GDP統計の基準時は平成23年基準(2008SNA)だ。
平成23年のGDPデフレータは100となり、物価上昇率はゼロになる。


2020年4月から6月期の

名目GDPは年率換算で、5,053,918億円
実質GDPは年率換算で、4,848,378億円

なので、

GDPデフレータは、5,053,918億円 ÷ 4,848,378億円 × 100 = 約104.2

となる。

GDPデフレータは国内で生産された財・サービスの価格であり、消費者物価指数は国内で消費された財・サービスの価格である。
輸入品の価格は消費者物価指数に含まれるが、GDPデフレータには含まれない。

インフレ率はこの二つの値を示すことが多い。


消費者物価指数は2015年基準、GDPデフレータは2008年基準なので、両者を直接比較する意味はない。

しかし、長期的変化の傾向は掴める。

CPIの減少の中身


全国(品目別価格指数)の月次を見ると、どの品目が下がっているのか分かる。

前年同月比(2019年8月との指数差)で物価下落の大きい順で見ると、以下のようになる。

類・品目
前年同月比
授業料等
-16.7
他の諸雑費
-12.7
他の光熱
-12.3
教育
-10.7
教育関係費
-8.2
教養娯楽サービス
-6.0
エネルギー
-3.6
諸雑費
-3.1
教養娯楽
-2.6
電気代
-2.5
教養娯楽関係費
-2.4
光熱・水道
-2.0
自動車等関係費
-0.9
飲料
-0.9
生鮮魚介(再掲)
-0.8
油脂・調味料
-0.7
魚介類
-0.3
上下水道料
-0.3
乳卵類
-0.3
保健医療サービス
-0.2
穀類
-0.1

幼児教育無償化と、エネルギー価格の下落の影響が大きいのが分かる。

その他の教育関連費も下落している。

これは総合指数だが、コアコアCPIにも幼児教育無償化の影響は直接反映する。
エネルギー価格も生産郵送コストを圧縮するので物価に影響する。



前月比(2020年7月との指数差)で物価下落の大きい順で見ると、以下のようになる。

類・品目
前期比
シャツ・セーター類
-3.5
教養娯楽サービス
-2.9
シャツ・セーター・下着類
-2.5
教養娯楽
-1.6
寝具類
-1.5
教養娯楽関係費
-1.3
被服及び履物
-1.1
電気代
-1
衣料
-0.9
洋服
-0.9
教養娯楽用耐久財
-0.8
家庭用耐久財
-0.7
肉類
-0.6
油脂・調味料
-0.4
菓子類
-0.4
酒類
-0.4
穀類
-0.4
和服
-0.3
履物類
-0.3
家具・家事用品
-0.3
医薬品・健康保持用摂取品
-0.3
身の回り用品
-0.3
生鮮食品を除く食料
-0.2
乳卵類
-0.2
光熱・水道
-0.2
他の被服
-0.2
保健医療用品・器具
-0.2
通信
-0.2
補習教育
-0.2
持家の帰属家賃を除く住居
-0.1
ガス代
-0.1
保健医療
-0.1
飲料
-0.1
設備修繕・維持
-0.1
室内装備品
-0.1
家事雑貨
-0.1
教育
-0.1
授業料等
-0.1
教育関係費
-0.1

前月からの物価下落を見ると、被服・寝具・履物と教育娯楽関連サービスの物価下落が大きい。

次に、電気代・耐久財・肉・酒・油・穀類の物価が少し下がっている。

これを見ると、7月に比べて物価が下がった原因は、どう見ても「リモートワーク」の影響である。

価格が下がったのは需要が落ち込んでいるからであり、被服・寝具・履物の需要下落の原因は、在宅勤務でスーツや高価な革靴を履かなくなったからと思われる。

教育娯楽関連サービスは良く分からない。
在宅学習の影響で教材など買わなくなったのだろうか。
劇場などへ遊びに行かなくなったのかも知れない。

電気代は石油価格の下落の影響と、リモートワークによるオフィス冷暖房の減少による需要減の影響だろう。

耐久財は6月までに購入してしまったから、売れなくなったのではないか。

肉・酒・油・穀類は外食が減少したため、飲食店消費が減少した影響だと思う。


どんな経済対策が必要か


幼児教育無償化は、消費者の可処分所得を増加するので、問題ない。

エネルギー価格はむしろ下がった方が、エネルギー輸入国の日本には都合が良い。

しかし、「リモートワーク」の影響なら、この影響は恒常的なもので、政府の経済対策で需要拡大政策が必要である。

政府は感染症対策でリモートワークを積極的に進めている。

その影響で物価が下がるのは、難題である。

家計の貯蓄は増加しており、給付金で消費が伸びるのか、疑問もある。

どうやって需要増加させれば良いのか、私には思いつかない。


今回の消費者物価指数の値は結構深刻な問題になるのではないだろうか ?

2015年比ではまだプラスではあるが。

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