日銀が長期金利国債買い入れのジレンマに陥っているように見える

2019年10月29日火曜日

経済政策

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とりあえず以下の参考記事を読んで見て欲しい。

コラム:日銀による追加緩和、その課題と枠組み再調整の行方=井上哲也氏


以前、このブログで安達誠司さんの金融緩和の解説を紹介した。

日銀の金融政策に残された手段は少ないらしい - 長期金利国債の購入だけ ?


それによれば、日銀が金融緩和を加速する場合、その手段として量的緩和の効果は未知数で確実性に欠け、質的緩和については短期金利国債の買い入れは緩和効果が薄く、効果が期待できるのは長期金利国債の買い入れだけ。
低金利政策は逆効果になる可能性がある。

質的緩和は価値(金利)の高い国債を、価値の低い通貨(日銀券)で買い入れて、貨幣(マネーストック広義流動性)全体の価値を引き下げる金融政策だ。
(マネーストック広義流動性は通貨と国債と外債を全て含む貨幣の数え方です)

国債の金利が高ければ国債の価値は高く、金利が低ければ国債の価値は低くなる。

日銀が金利の高い国債を通貨により買い入れれば、貨幣(マネーストック広義流動性)の価値は下がる。
これは金融緩和の効果を生む。

日銀が金利の低い国債を通貨で買い入れれば、貨幣の価値は上がってしまう。
これは金融引締め効果を生む。

現在、日銀はYCC(イールド・カーブ・コントロール)を採用しており、10年物未満の短期金利国債は低金利(マイナス金利)で、10年物以上の長期金利国債はやや高金利(プラス金利)である。

これは、先の安達誠司理論によれば、短期金利国債を日銀が買い入れても緩和効果は薄く、金利の高い長期金利国債を買い入れなければ、質的緩和は効果が無いことになる。

現在、YCCはフラット化(水平化)しつつあり、短期金利と長期金利の差が縮まりつつある。
日銀はこれをスティープ化(垂直化)したいと考えている。
つまり、短期金利と長期金利の差を広げたい。

スティープ化するには、短期金利国債の買い入れを拡大(加速)し、長期金利国債の買い入れを減少する必要がある。

先の安達誠司理論によれば、金利の高い長期金利国債の買い入れぐらいしか緩和加速の手段が見られない。

つまり、スティープ化するには「長期金利国債の買い入れ削減」をしなければならず、緩和を加速するには逆に「長期金利国債の買い入れ拡大」をしなければならない。

私は日銀は質的緩和のジレンマに陥っているように見える。

金利を更に引き下げると、質的緩和は引締め効果を生む可能性がある。
短期金利を引き下げるようだが、短期金利を更に引き下げて、YCCスティープ化の為に短期金利国債を買い入れ拡大すれば、その操作は貨幣価値を引き上げて金融引締め効果を生む可能性がある。
価値の低い短期金利国債と価値の低い通貨を交換しても緩和効果は低いか、逆効果になる。

現在のFRBがこれに陥っているそうだ。
FRBの金融緩和は効果がなく、トランプ大統領はいつもFRBを非難している。
「もっと金利を下げろ、緩和を進めろ」と。

低金利政策もダメ、長期金利国債の買い入れもできない。
こうなると日銀には量的緩和ぐらいしか手段がない。

安達誠司さんも量的緩和を否定しているわけではない。
その効果を疑問視しているだけだ。

ただ私は低金利政策と連動しない量的緩和に効果があると思えない。

黒田総裁はまだ緩和余地はあると言っているが、そうは見えない。

幸いなことに、現在の日本経済はコアコアCPIもゆっくり上昇していて、消費もゆっくり伸びていて、FRBの緩和が上手く行かないため、対ドル為替も108円程度で安定している。

緊急に金融緩和の加速が必要な状況にない。

その点では、悲観的な状況ではないのが救いである。


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