疲労とは何か - うつ病の原因は活性酸素(酸化ストレス)

2019年10月20日日曜日

健康管理 道徳常識

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私は十年以上前に超過労働と事実上のパワハラでバーンアウトして一時働けなくなったことがある。
その間は傷病手当金を受給して、生活していた。

バーンアウトというのは疲労やストレスが身体の耐久限界を超えて、身体が理性の指令を拒否して、まるでブレーカーが落ちたように身体機能を半停止状態にして強制休養する身体の機能だ。
うつ病と同じ物である。

うつ病の中で明らかに超過労働が原因であることが明白であるものをバーンアウトと呼ぶ。

うつ病経験者の方々なら会社や世間一般の人々のうつ病への理解が、呆れるほど欠如していることを身をもって経験していると思う。

世間一般の人々は「うつ病」どころか「疲労」の意味すら理解できないほど無知であり、どんなに説明してもうつ病を理解できない。
今でも「うつ病は怠け者のいいわけだ」と認識している情弱は呆れるほど多い。

今回は「うつ病」の解説以前にまず「疲労」を説明することから始める。
「疲労」が理解できなければ「うつ病」など理解できるわけがないからだ。

世間一般の人々は「うつ病」を理解するための基礎知識としての「疲労」を知らないのだ。

正確に言えば「科学的な疲労のメカニズム」を理解していない。
これが分かれば「うつ病のメカニズム」も理解が容易になる。

脳の構造(大脳新皮質と大脳辺縁系と脳幹)

人類を含む哺乳類の脳は3層構造でできている。

脊椎に直接つながる「脳幹」。

「脳幹」の上に傘のように覆い被さる「大脳辺縁系」。

「大脳辺縁系」の上にさらに傘のように覆い被さる「大脳新皮質」の3層である。

これらは脊椎動物の進化の過程で脳幹→大脳辺縁系→大脳新皮質の順に出来上がっていった。

最初は原始的な最初の魚が身体の各部とコントロール中枢とを神経で結ぶために、一本の神経管を発達させたのが初まりである。

最初はほとんど運動制御を司る小脳だけで、脳はその先の僅かな膨らみに過ぎなかった。

やがて神経が視覚・聴覚・味覚・嗅覚などそれぞれの機能ごとに役割分担するようになり、それぞれの神経をモジュール分割するようになった。
眼球や耳や舌・鼻などである。

神経モジュールと小脳が接続する部位ができ、現在の「脳幹」が出来上がった。

脳幹の役割は生命の維持であり、単純な内臓による食物の消化や血圧・体温の維持などを行う。
別名「爬虫類の脳」と言われている。

その後、さらに感覚器官を統括する神経モジュールが発達し、視覚・聴覚・嗅覚などの感覚情報を統合的に活用できる「視床」や、初期の記憶装置である「扁桃体」や「海馬」、摂食行動、性行動、攻撃行動、睡眠といった本能行動の中枢である「視床下部」などが脳幹の上に形成された。
これを「大脳辺縁系」と呼ぶ。
別名「哺乳類の脳」である。

感情の発生源はこの「大脳辺縁系」である。

「視床下部」は分類の仕方により「脳幹」に分類されることもある。
体温調節の機能は哺乳類になってから発達したので「視床下部」は「哺乳類の脳」だが、基本的な生命の維持が機能なので「脳幹」に分類したほうが良い。
この記事でも「視床下部」は「脳幹」に分類する。

「視床下部」は食欲・睡眠・体温調節などをコントロールする。

哺乳類に進化した後も神経細胞の発達は続き、大脳辺縁系を包むように薄い皮質が発達していった。

人類に進化する段階になるとこの皮質が非常に多くなり、脳容積の大半を占めるほどに膨らんだ。
これが「大脳新皮質」である。

意識や理性、長期記憶や思考・計画・組織化・意思疎通・言語などの機能は「大脳新皮質」の機能である。

脳の3層の簡単な役割

話を分かりやすくするため、要点だけ説明すると、

脳幹は生命維持を、
大脳辺縁系は感情を、
大脳新皮質は意識や自我・計画や社会性と、コミュニケーションを司る。

「疲労」を理解するために重要なのが、脳幹の視床下部の機能である。

視床下部の自律神経

視床下部には自律神経が存在する。
自律神経は体温調節や食欲、睡眠を制御する。
自律神経は交感神経と副交感神経の2回線に分かれており、片方が機能しているとき、もう片方は休んでいる。

生命維持の機能を休ませることはできないので、交感神経と副交感神経が交代で休むのだ。
必ずどちらかが機能している。

疲労とは自律神経の疲労である

後で紹介する大阪市立大学大学院医学研究科疲労医学講座特任教授の梶本修身さんの著書によると、疲労の原因は自律神経の中枢に蓄積する活性酸素(電子の欠けた酸素)だそうだ。

自律神経は身体の中でもっとも活発に活動している部位で、身体の疲労も脳の疲労も全ては自律神経が最初に疲労して、生命維持のため休息を必要とするから「疲労」という警告を出しているのだそうだ。

疲れの原因は脳の疲労 ミトコンドリアが「さびる」

身体は空気中から取り込んだ酸素を全ての細胞に送り、ミトコンドリアにより糖や脂肪酸をATPと呼ばれる生体エネルギー物質に分解する。
真核細胞はこのATPを直接取り込み生体活動をする。

ミトコンドリアがATPを生成する過程で酸素を消費し、その一部が電子の欠落した「活性酸素」になる。
自律神経は単純に活動量が多いから活性酸素が蓄積しやすい。

身体には活性酸素を分解する「抗酸化物質」と呼ばれる酵素が存在する。
「抗酸化物質」は体内で合成されたり食物から取り込んだりする。
「抗酸化物質」は身体よりも、より「酸化しやすい物質」で活性酸素と接触すると細胞より優先的に酸化されることで活性酸素を消滅させてしまう。

抗酸化物質の供給能力には限界があり、活性酸素の生成速度が速すぎると抗酸化物質の供給が追いつかず、活性酸素が蓄積してしまう。

活性酸素が細胞を酸化すると、錆びた自転車のチェーンのように、細胞が正常に機能しなくなる。

活性酸素が蓄積すると老化・動脈硬化・シミ・シワ・ガンなどの症状が起きるようになる。

年を取るほど抗酸化物質の供給能力は弱くなるので、哺乳類は老化していく。

「疲労」は「これ以上活性酸素が脳中枢に増えると危険だ」という自律神経のサインである。

「発熱」や「痛み」のように生命維持の為の危険信号なのだ。

前頭葉には大脳辺縁系の要求を抑制する機能がある

人類は社会性動物として自然界の生存競争を勝ち抜いてきた種だ。
この社会性という武器を獲得するために、大脳新皮質の前頭葉に大脳辺縁系や脳幹からの欲求を抑制する機能が備わっている。
チームの秩序を維持するために、食欲や性欲を抑制したり、「チームで獲物を捕縛」や「戦争」の最中は恐怖の感情や疲労感を抑制する機能がある。
この疲労感を抑制する機能を連続して働かせすぎると過労死したりバーンアウト(うつ病)したりする。
過労死やバーンアウトするのは社会性動物の人類だけである。
社会性という武器を手に入れた副作用でもある。

他の動物は疲れたら休むので過労死することはない。
そもそも疲れを抑制する機能がない。

悪質な根性論より、科学的な疲労への対処を

日本社会は悪質な「根性論」により、本来身体が疲労から回復するのに必要な休養を取らせずに働かせようとする慣習が根強く浸透している。
初めから深夜残業ありきで業務計画を立てたり、予期せぬトラブルや遅れへの対処の度に徹夜労働する、させるのが当たり前になっている。

歪んだ「勤勉の美徳」により、要領よく仕事を早く終わらせるよりも、毎晩遅くまで残業していることが「優秀」で「誠実」と評価する。

私も二十代三十代はそんな働き方が当たり前だと思っていた。
しかし、身体の耐久性から考えてそのような働き方が長期にわたって続けられるわけがないのだ。
三十代末期の私の自律神経は活性酸素でボロボロに錆び付いていたのではないかと思う。

梶本修身さんによると、マラソンなどの運動による疲れも、頭脳労働による脳の疲れも、寒暖差など環境ストレスによる疲労も、全ての疲労は自律神経が最初に疲労しているそうだ。

スポーツする時は心肺機能を活発化して血圧を上げて血管を拡張し、血液を筋肉に大量に送り込むために、自律神経が身体を制御する。
頭脳労働なら、脳に大量の酸素と糖を送り込むために、自律神経が働く。
脳は身体の消費するブドウ糖の20%を消費し、25%の酸素を消費する。
脳を活動させることは身体にとっての大仕事なのだ。
その分、自律神経の負担も大きい。

寒暖差など環境ストレスがかかれば、哺乳類は体温調節機能をフル稼働しなければならず、汗をかいて血管を拡張して体温を下げたり、逆に汗の汗腺を閉じて血管を収縮して筋肉を震わせて体温を上げたりする。
このコントロールを行っているもの自律神経である。

だから疲労を回避したり、また疲労から回復したりする為には、自律神経が疲れないように行動すれば良い。

自律神経の疲労を回避し早く回復する方法

梶本修身さんの著書「『疲れリセット』即効マニュアル」には、
疲労の科学的メカニズムの平易な解説と、
自律神経の疲れを回避したり、疲労から早く回復するために有効な、仕事や生活、休養の取り方が解説されている。

以下にその概要だけ説明する。

梶本修身さんは、
疲労に対処する上で根本的に重要なことは「第六感」だという。
無意識から「なんとなく浮かんできた感覚」が重要なのだそうだ。

先ほど説明したように人類の前頭葉は大脳辺縁系の欲求を抑制する機能を持つ。
前頭葉は理性を司る部位で、大脳辺縁系は感情を司る。
脳幹の生命維持の欲求はまず大脳辺縁系に伝わり感情や「なんとなくの欲求」や「第六感」として前頭葉に伝えられる。
理性が強すぎるとこの大脳辺縁系の欲求が抑制されてしまうので、疲労を無視して無理をしてしまう。
その結果、健康を損なってしまう。
「第六感」には脳幹からの差し迫った生命維持のアラートも含まれている。
だから「第六感」を大事にしようと呼びかけている。

昼間・仕事中の疲労への対処

「『疲れリセット』即効マニュアル」の最初には、仕事中の自律神経の疲労への対処法が解説されている。
ざっくり概要だけ解説すると、

(1)仕事は一定の時間が来る度、仕事の区切りに関係無く、小刻みに休むのが疲れにくい。
 1時間に一度イスから立ち上がって休憩を取るのが良い。

(2)ビルの中の人工的な規則性を持つ環境にいると疲労するので、
風が入ってきたり緑が視界に入るような自然の「ゆらぎ」に触れる環境で働くとリラックスして副交感神経優位になり自律神経が疲れにくい。

(3)寒暖差を減らす為に空調は付けっぱなしが良い。
自律神経の体温調節機能の負担を減らす為である。

(4)食事は抗疲労分質を摂取する。
抗疲労分質は4つしかないという。
鶏胸肉に多く含まれる「イミダペプチド」、
いわしに多く含まれる「コエンザイムQ10」、
リンゴの「リンゴポリフェノール」、
柑橘類や酢や梅干しなどに含まれる「クエン酸」の4つである。
実験の結果疲労回復効果があったのはこの4つだけだそうだ。
しかし他にもトマトなど抗酸化分質は存在するが具体的効果が確認されていない。

(5)仕事中の飲料は少量のコーヒーと甘酒が良い
コーヒーには「クロロゲン酸」という抗酸化物質が含まれている。
カフェインが良いわけではない。
甘酒は栄養価が高いので栄養補給に良い。

(6)目が疲れたら窓の外の遠くを眺める。

(7)イスに座るときは背筋を伸ばし脊椎がS字を形成するように座る。
背筋がC字になる姿勢は疲れやすいそうだ。

(8)仕事は集中して一気にやらずに、飽きたら違うことをやるようにして、脳の同じ部位ばかり使い続けないようにする。

(9)仕事休憩(昼食など)は一人になれる場所や状況をつくり人疲れを防ぐ。

(10)20分ぐらいの浅い昼寝をする。

(11)仕事のスケジュールは硬直したものを作らずに、その日の体調に合わせて変更できるようにする。


帰宅後の休養の取り方

(12)暑い風呂に浸かると自律神経が体温調節で疲労するので温めのシャワーだけで簡単に済ます。

(13)睡眠は就寝してからの3時間が重要なので、この時間帯の睡眠の質を良くすることが重要。
就寝前数時間には照明を暗くする。(スマホは明るすぎるので見ない)
寝る3時間前に食事を取らない。
できれば寝る3時間前に酒を飲まない。

(14)いびきをかく人は横向きに寝る。
いびきは就寝中の呼吸困難の表れなので、横向きに寝て気道を確保して眠ると就寝中の呼吸が楽になり、いびきも弱くなる。
いびきをかくと自律神経を酷使していることになり良く休めない。

(15)寝れない時はベッドから起き上がり、明るい光には触れないように、好きに過ごす。
無理に寝ようとしない。

(16)爆音の目覚まし時計で起床しないで、朝日で自然にゆっくり目覚めるようにする。

(17)朝食は起床1時間以内にとり、抗疲労分質や抗酸化物質を摂取する。
抗酸化物質は野菜や果物、コーヒーなどです。

(18)一般のサプリは効かない、抗疲労分質とビタミンCの摂取が効く。

(19)当たり前だが、食事は栄養バランスの取って摂取する。

(20)和食中心に肉も魚も豆腐も食べる。

(21)ゆっくりよく噛んで食べる。

休日

(22)寝だめは効かないので、普段通り朝起床する。

(23)ランニングなどしないで汗をかかない程度にヨガなどをする。

(24)休日はゴロゴロして過ごす。

(25)屋外ではサングラスで紫外線を防ぐ。

よいコンディションの維持

(26)要点を把握してそこだけ頑張る。集中しすぎない。

(27)要領よく手抜きをする。

(28)強さを誇るより弱さを受け入れる。

(29)悩み事は可視化して数値化して具体的に考える。
よく分からない曖昧な状態で感情と思考能力を無駄に浪費しない。

(30)一生頑張ることは無理なので、人生の要点の3年だけ頑張る。

以上です。
この本は科学的な疲労のメカニズムと対処法についてとても分かりやすく解説しています。
従来の疲れへの民間療法が間違っていることを医学的に丁寧に説明しています。
ぜひ多くの人に読んで欲しいと思います。


疲労(活性酸素)はうつ病の原因


うつ病とは脳内神経伝達物質のセロトニンが欠乏して起きる病気である。
しかし、長い間「なぜセロトニンが欠乏するのか?」は分かっていなかった。

しかし、近年「疲労」の研究が進むにつれ、うつ病のメカニズムも明らかになってきているらしい。

以下の記事に疲労とうつ病の関係について医学的に解説されている。

「疲労物質=乳酸」はもう古い|「疲れ」はどこから来るのか

一部引用、
「疲労感と脳内の「セロトニン」と呼ばれる神経伝達物質の枯渇は密接に関係しているとされます。脳細胞が酸化ストレスによりダメージを受けることでセロトニンが枯渇してしまい疲労感が増します。うつ病では、このセロトニンの低下がうつ状態の主因と考えられており、セロトニン神経伝達部位でのセロトニンを薬剤によって増やすとうつ状態が改善されることが知られています。」

この記事には疲労によって生じる自律神経中枢の活性酸素がどのように作用して、うつ病の原因と思われている「セロトニンの欠乏」に結びつくのか解説されている。

自律神経中枢に活性酸素が過剰に蓄積することによって、セロトニン分泌が低下し、活性酸素を除去する為にインターフェロンの分泌が増加する。
インターフェロンの分泌はさらにセロトニンの分泌を抑制してしまうので、セロトニン減少の負のスパイラルに入ってしまう。

従来のうつ病治療はセロトニンを薬で補充するやり方だったが、原因は活性酸素の方にあるので、薬を飲んでセロトニンを補充しながら、我慢して働き続けることは、ますます脳中枢に活性酸素を蓄積する行為なので、非常に危険なことをしていることになる。
薬は必要だが、同時に自律神経を休めなければ、活性酸素の分解はできない。
いずれ、重篤なうつ病になり、回復に何年も要することになる。

薬物によるセロトニンの補充が必要になった時点で、仕事を休職して、自律神経に休養を与え、活性酸素を分解しなければならない。

セロトニンの補充はあくまで「応急処置」である。

日本人は旧来型の精神論マネジメントを捨て、疲労の科学を受け入れるべき


世界的に「疲労の科学」が目覚ましい進歩を遂げているので、この科学の成果を受け入れて、従来の根性論や「精神論マネジメント」を見直し、「疲労の科学」に即した、計画やマネジメントを再考すべきだと思う。

科学の成果を無視する「反ワクチン」派や、「反原発」派や、「非科学的環境論」派・「緊縮財政」派のような「反科学」とも呼べる考え方には何の実りもない。

最近は「血液クレンジング」などという危険な健康法まで、流行りつつある。

マイナスイオンや水素水、「米は太る」論などインチキが沢山流布さているが、
これらのインチキはある物は「政治的思惑」によるものであり、それ以外はインチキ商品を売りつけるための「商業的思惑」によるものだと思う。

マイナスイオンや水素水・血液クレンジングは「商業的思惑」によるものであり、
反ワクチン・反原発・化石燃料による地球温暖化説・緊縮財政論は「政治的思惑」によるものたろう。

「疲労の科学」はブラックなマネジメントをやりたがる企業や経営者にとっては都合の悪い「科学的成果」である。

おそらく企業や経営者層は「疲労の科学」を否定するだろう。

「うつ病は怠け者」という概念を執拗に吹聴する者の中に経営者層やマネジメント層は多い。

疲労の科学は「うつ病はマネジメントの失敗」であることを半ば証明している。

反科学などという非生産的なことは止めて、科学の成果を素直に活用すべきだと思う。




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