日銀の金融政策に残された手段は少ないらしい - 長期金利国債の購入だけ ?

2019年10月10日木曜日

経済政策

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この動画の安達誠司さんの金融緩和に関する解説はとても勉強になる。

日銀量的質的緩和は限界?!マイナス金利深堀りで逆イールドが解消するか!? 安達誠司のマーケットニュース 江崎道朗【チャンネルくらら】

非常に多くのことを解説しているのでここでその全てを紹介することはできない。
直接動画を見た方が良いと思う。

ただ、これから時々この動画で解説されている金融緩和に関する話を、私の言葉で簡潔に書いていきたい。

安達誠司さんの金融と財政に関する認識は、一般のリフレ派の認識と少しだけ異なる。

リフレ派は量的緩和の拡大と財政出動の補助的拡大を主張している。

日銀に対しては金融緩和が不十分と認識していて、緩和不足の点で黒田総裁とそれを批判しない安倍総理に対する不満や批判の声を上げている。

しかし、安達誠司さんは「現在の日銀に残された金融緩和の手段は少ない」と考えているようだ。

今日は安達誠司さんの金融緩和に対する考え方と現状の日銀が取れる手段について簡単に書いてみたい。

質的緩和とは


質的緩和とは日銀が新規発行通貨で国債やETF(上場投資信託)などを購入して通貨を市中に流出することで、通貨価値を引き下げる緩和政策だ。

貨幣をマネーストック広義流動性で定義すると、貨幣には通貨(日銀債)と国債や外債(米国債など)が含まれる。

広義流動性の貨幣視点から、質的緩和を見ると市中の貨幣の中の国債と、新規通貨を交換する行為になる。

貨幣の総量は変わらない。

一見、無駄なことをしているようだが、国債には金利が付くので通貨の価値と国債の価値は異なる。

国債金利が1%なら100万円の国債は翌年には金利が付いて101万円になる。

つまり国債+金利の価値は、通貨よりも高い。

国債金利が1%のとき、市中貨幣の国債と通貨を交換することは、貨幣の価値を引き下げる操作になる。

これによりインフレ率が上昇する。

マイナス金利では質的緩和は逆効果となる


しかし、国債金利が、マイナス1%だったら100万円の国債は翌年には金利を引いて99万円になる。

貨幣の中の国債と通貨を交換する操作は、「価値の低い国債」と通貨を交換するので、貨幣価値が上昇してしまう。

現在の日銀の取る金利政策はYCC(イールドカーブコントロール)と言って、5年で償還する5年物国債の金利を -0.1% にし、10年物国債の金利が 0%になるように20年物30年物などの長期金利国債を買い入れていくものだ。

従って10年物未満の短期国債はマイナス金利となる。

広義流動性の貨幣で、マイナス金利の短期国債と通貨を交換した場合、貨幣の価値は上昇してしまう。

つまり、政府が短期金利国債を発行して、日銀に引き受けさせても、緩和効果は出ないどころか、金融引締めになってしまう。

これも、最近、政府が赤字国債の発行額を絞っている理由の一つかも知れない。

安達誠司さんは質的緩和を実施するなら金利がプラスの長期金利国債を買うべきだと主張している。

低金利政策は逆効果になる


現在の日本でさらに低金利政策を拡大すると、逆効果になると言う。

現在は短期金利マイナス金利、10年物が 0%で長期金利はプラス金利である。

これを全ての金利を均等に引き下げて、30年物あたりが 0%になるようにすると、質的緩和するほど貨幣価値が上昇する状態になる。
質的緩和が効かなくなるのだ。

通貨よりマイナス金利国債の価値が低いからだ。

だから、緩和加速の為にさらに低金利政策を進めるのは愚策ということになる。

量的緩和の効果は不明確


動画では安達誠司さんは「量的緩和はその効果が不明確」とだけ触れており詳しいことは解説していない。

これは私の意見です。

現在、企業への市中銀行の融資は順調に拡大している。

つまり、金利政策は成功しており貨幣の市中への流出は順調に推移している。

この状態で、量的緩和を加速して日銀当座預金の残高を増やして、市中銀行の融資が拡大するだろうか。

誰が借りるのだろう ?

国内企業で融資を受けている企業はほとんど受けていると思う。
企業も必要以上の融資は受けられない。

量的緩和を拡大しても預金が積み上がるだけではないだろうか ?

預金が積み上がると市中銀行の経営を圧迫する。
下手に地銀などが倒産しても良くない。

もしかしたら株式運用などに回り、株価高騰の方向に行くかも知れないが、本当に未知数だと思う。

裏技として金利引き上げ


やや大胆な手段として、国債発行と同時に金利を引き上げて、それを全部日銀が買い上げてしまうというやり方もあるそうだ。

確かに金利を引き上げれば、質的緩和で貨幣価値(広義流動性)が下がる。

ただこれをやると、問題がある。
特別会計法42条で「国債総額の1.6%を一般会計から返済しなければならない」と定められており、
現在政府の一般会計予算から24兆円を国債の返済に充てている。
利息9兆円、元本15兆円である。
金利が上がるとこの予算の9兆円部分が増額する。

予算の再分配の割合が減り、国債を返済するという「貨幣消滅」のペースが増える。

長期的には逆効果ではないだろうか。

まとめ


つまり、現在の日銀が取り得る金融緩和の手段は「長期金利国債の購入だけ」ということになる。

長期金利国債は市中に400兆円も存在するので、新規発行する必要はない。
(発行するな、という意味ではない)






安達誠司さんが新刊を出したそうだ。

私も読みたいが、今は時間が無い。

残念。


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オッサンです。実務経験は Windows環境にて C#,VB.NET ,SQL Server T-SQL,Oracle PL/SQL,PostgreSQL,MariaDB。昔はDelphi,C,C++ など。 趣味はUbuntu,PHP,PostgreSQL,MariaDBかな ?基本無料のやつ。

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