「マネタリーベースが減少した」というニュースが相次いでいるが、それがそんなに問題だろうか ?

2019年9月5日木曜日

経済政策

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少し前から経済報道で「マネタリーベースが最低水準まで減少した」という内容の報道が繰り返されている。
最近だとロイターのこの報道だ。

8月末マネタリーベースは515.9兆円、2カ月連続減=日銀

お金の量の数え方にはいくつか種類がある。
金融政策の効果を確認するとき見る「お金の量の数え方」には以下の5つがある。

マネタリーベース
マネーストックM1
マネーストックM2
マネーストックM3
マネーストック広義流動性

それぞれの定義はちょっと難しいので詳細は日銀のサイトで確認して欲しい。
簡単に説明する。

マネタリーベースとは日銀が発行した通貨の総量である。
この中には中央銀行と市中銀行の預金を含むが、信用創造によって増加した貨幣は含めない。

マネーストックとは中央政府と中央銀行と市中銀行の保有する通貨を含まない貨幣の総量で、主に企業や家計と地方公営企業の保有する貨幣の総量である。
マネーストックは市中銀行の投融資による信用創造によって増加した貨幣を含める。

私もあまり詳しくないが、マネタリーベースとマネーストックの関係には次の数式が成り立つそうだ。

マネタリーベース × 貨幣乗数 = マネーサプライ
(マネーサプライは昔使われていた言葉。現在はマネーストックという用語を使う。定義も少しだけ違う)

貨幣乗数は信用乗数とも呼ばれ、準備金比率によって値が変化する。
準備金比率が少なければ信用創造による貨幣の増加率が上昇し(貨幣乗数が増える)、多ければ下落する。

日銀が直接制御出来るのはマネタリーベースと金利と準備金比率である。
マネーストックは日銀は直接操作できないので、間接的に制御する。

マネーストックは M1,M2,M3,広義流動性の 4種類有る。
詳しい解説は日銀のサイトに載っているのでここでは簡単に説明する。

M1=現金と預金通貨(当座・普通預金など)

M2=現金と預金通貨と準通貨(定期預金・定期積立・外貨預金など)と譲渡性預金の内、国内銀行にあるものだけ。

M3=現金と預金通貨と準通貨(定期預金・定期積立・外貨預金など)と譲渡性預金の全て。

広義流動性=M3と投資信託・銀行社債・国債や外債など含む(要するに貨幣と有価証券すべて)

マネタリーベースの解説

マネーストック統計の解説


これらの値は日銀のサイトで集計し公開している。

マネタリーベース

マネーストック

マネタリーベースは減っているがマネーストックは増えている


2018年8月の段階でのマネタリーベースの平均残高

マネタリーベース=498兆円

同月のマネーストック

M1= 759兆円
M2=1006兆円
M3=1337兆円
広義流動性=1782兆円


2019年7月の段階でのマネタリーベースの平均残高

マネタリーベース=516兆円

同月のマネーストック

M1= 797兆円
M2=1031兆円
M3=1365兆円
広義流動性=1813兆円


一年前と比較したらマネタリーベースもマネーストックも増えている。


2ヶ月前の
2019年6月の段階でのマネタリーベースの平均残高

マネタリーベース=529兆円

同月のマネーストック

M1= 801兆円
M2=1029兆円
M3=1362兆円
広義流動性=1801兆円

マネタリーベースは1ヶ月で529兆円から516兆円に減った。

8月が512兆円なので2ヶ月で17兆円減少した。

しかし2018年8月と比較すると512兆円-498兆円=14兆円増加している。

2ヶ月連続で17兆円減少というのは確かに減り方が早いので驚く。

しかし マネーストックを見ると。

(7月-6月=増加分)
M1=  797兆円 - 801兆円 = -4兆円
M2= 1031兆円 - 1029兆円 = +2兆円
M3= 1365兆円 - 1362兆円 = +3兆円
広義流動性= 1813兆円 - 1801兆円 = +12兆円

というように信用創造分は増加している。
(M1はほとんど預金なので減る)

またマネタリーベースで減少しているのは主に日銀当座預金の残高で、日銀債+貨幣流通量は5兆円増えている。

金融緩和の低金利政策で預金が減るのは当たり前


つまり、マネタリーベースの日銀当座預金の残高だけが減少し、 マネーストックが増加していることになる。

金融緩和というのは低金利政策で市中銀行から企業への投融資を増やして、市中貨幣の量を増やして貨幣価値を下げる政策なので、マネーストックが増加しているということは、金融緩和が成功している証拠である。
順調に貨幣量は増加している。

低金利政策で融資金額が増えれば、預金が減るのは当たり前である。
マネタリーベースが減少するのは、金融緩和が効いている証拠であり、ここ2ヶ月の日銀当座預金の残高の急な減少は、市中貨幣が増加していることを意味する。

日銀当座預金の残高はまだ400兆円もあるのですぐに不足する状況ではない。

日銀がここ2ヶ月で金融緩和を加速したとは聞いていないので、これは企業への銀行融資が急に増加したのでは無いだろうか。

もしそうなら、企業活動の活発化が起こっており、景気が上向いていることになる。

むしろマネタリーベース減少のニュースは朗報かも知れない。

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オッサンです。実務経験は Windows環境にて C#,VB.NET ,SQL Server T-SQL,Oracle PL/SQL,PostgreSQL,MariaDB。昔はDelphi,C,C++ など。 趣味はUbuntu,PHP,PostgreSQL,MariaDBかな ?基本無料のやつ。

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