「家を買ってはいけない」論に対する反論 - 家は負債だが、固定資産には必ず便益がある

2019年9月26日木曜日

閑話 時事

t f B! P L

「家を買ってはいけない」の論理


少し前から「家を買ってはいけない」という言説がよく聞かれるようになった。

この話の根拠はロバート・キヨサキの著書「金持ちお父さん貧乏お父さん」という本に書かれた考え方が元になっている。
この本では「貧乏な人々は家を資産だと思っているが、金持ちは家を負債だと思っている」という意味のことが書かれている。
その後、マネーリテラシーの高い人々によってこの論は補強されてきた。

家を購入すると買った瞬間に価値が3割失わる。
家には固定資産税がかかる。
家は時が経つにつれ老朽化して少しずつ壊れていくので常に補修が必要となる。
家は時が経つほど価値が下がっていく。
家を買って30年も経つとその家には資産価値はない。
人口減少社会の中で不動産の需要は減り、価値も下がっていく。

「金持ちお父さん貧乏お父さん」が出版されるまでは「家は資産である」という考え方が主流であり、この考え方で家を買い資産運用で失敗している人の話を良く聞いた。
バブル期にローン家を買い、バブル崩壊で資産価値を失い、家を売っても債務を返済できないなどの話だ。

デフレ経済に突入し、最近人口減少社会に転じたため、家という資産の価値が大きく失われている。

高度経済成長期の「家は資産」という時代に合わない常識を正す上では「家は負債」論の登場は必要だった言える。

「家は負債」論は嘘では無い。
全て事実である。

しかし真実でも無い。

「家を買ってはいけない」論は便益を無視している


「家は負債」論には致命的な問題がある。
それは「家の便益」を無視している点にある。

家でも橋でもトンネルでも道路・鉄道・ダムでも全ての固定資産には便益と経済波及効果がある。
固定資産の費用と便益(経済波及効果)の収支が合わないこともあるだろうが、便益が無いということはあり得ない。
便益が無いなら作らないからだ。
全ての固定資産は便益を前提にして建設される。
計画に問題があって赤字会計になる固定資産もあるが、計画が失敗することもあるのは、事業でも同じだ。
「全ての計画は失敗する可能性がある」というのは当たり前すぎる真理でしかない。

固定資産を建設する場合、その費用(建設費・維持費・減価償却)と、便益(コスト削減便益・経済波及効果)を金額で比較して、便益が勝れば建設した方が利益になる。
費用が勝れば建設しなければ良いだけだ。
少なくとも、費用のことだけしか考えずに固定資産の価値を計るのは、考え方として間違っている。
費用と便益のバランスで考えるのが正しい。

「家は負債」論の問題点は費用(建設費・維持費・減価償却)のことだけしか考えていない点にある。
言い換えると固定資産(家)の金融資産としての価値しか評価していない。
固定資産(家)には必ず便益(コスト削減便益・経済波及効果)の価値があることを忘れている。

資産価値は金融的価値と便益の和で考えるべき


家は金融資産として考えると負債である。
しかし固定資産は通常、乗数効果的な便益があり富を生む。
この負債性と便益の差がプラスであるなら固定資産の所有は資産(利益)である。

例えば家族がいて子供がいる人で、子供を育て終の住処として家を買うならば、家を売却することは考えなくて良い。
減価償却で家に資産価値がなくなっても問題が無い。
問題になるのは固定資産税と補修維持費だけになる。
仮に賃貸で同様の住居に住んで、家賃が月12万円だとする。
年間144万円なので35年経てば5040万円になる。
30歳で家を買い65歳になるときは家を買った人は、その後固定資産税と補修維持費だけ払えば良い。
しかし賃貸に住んでいる人は、年間144万円払い続けなければならない。
90歳まで生きれば3600万円かかる。

この前提が成り立つ人は家を買った方が良いということになる。

もちろん離婚して家を売らなければならなくなったら大損である。
買ったときの値段では売れない。
ローンで買えば負債だけ残ってしまう。

他のパターンとして独身フリーランスの人で離婚を経験していて結婚を予定していない人がいるとする。
仕事は持ち帰りの請負仕事で都心へは打ち合わせと面談でしか行かないとする。
この人の場合、郊外に500万円ぐらいの安い中古マンションを買ってリノベして住んだ方が、利益になる。
仮に8万円の賃貸に住んだとすると年間96万円なので6年で576万円になる。
500万円のマンションなら6年で元が取れることになる。
その後そのマンションに住み続けても良いし、売り捨てても良い。
減価償却で価格がゼロでも既に元は取れているからだ。

「家は負債」という考え方は短絡的すぎるのだ。

繰り返すが、固定資産を考えるときは、費用(建設費・維持費・減価償却)と便益(コスト削減便益・経済波及効果)のバランスが黒字になるかどうかで考えるべきなのだ。

家を買うという行為は変化に対応できない選択なので、かなりしっかりした人生計画が立てられないと、選択できない選択肢だ。
大半の人は選択できない。

しかし、先の6年で元が取れる話のように、短期計画なら立てやすいし、長期でも成功確率が高いのなら購入すべきだろう。

「家は資産」という考え方が間違いなのは事実だが、「家は負債」という考え方が片面の論理でしかないことにも気がつくべきだ。

公共投資も同じだが、固定資産を考える時は費用(建設費・維持費・減価償却)と便益(コスト削減便益・経済波及効果)のバランスを考えるようにするべきだ。

このブログを検索

Translate

人気の投稿

自己紹介

自分の写真
オッサンです。実務経験は Windows環境にて C#,VB.NET ,SQL Server T-SQL,Oracle PL/SQL,PostgreSQL,MariaDB。昔はDelphi,C,C++ など。 趣味はUbuntu,PHP,PostgreSQL,MariaDBかな ?基本無料のやつ。

QooQ