日銀政策決定会合の結果を聞いて思うところ - リフレ派は怒っているが私は楽観している

2019年9月20日金曜日

経済政策

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現在、世界の中央銀行では景気の減速と物価下落圧力の高まりから緩和の加速を実施しつつある。

欧州中銀、量的緩和を再開 マイナス金利も深掘り

欧州中銀、3年半ぶり金融緩和検討 米利下げが連鎖

【中国の視点】米中:9月に同時利下げか、中国A株式市場への外資流入は加速も

中国人民銀行 預金準備率引き下げへ

韓国中銀、一段の利下げ行う余地ある=理事会メンバー


アメリカのFRBも一度、緩和加速を示唆したが、米連邦公開市場委員会(FOMC)の中で意見が割れている。

「景気減速なら追加緩和」 FRB議長、市場に配慮

我が国の日銀に至っては、何もしないことが決定した。

金融政策決定会合 緩和策の現状維持を決定 日銀

日銀、金融緩和策の現状維持決定 物価停滞を警戒


たぶん、このニュースを見てリフレ派とその支持者の方々は怒り紛糾しているだろう。

金融緩和の効果が薄らいでいるのか


ただ、私は個人的にあまり驚いていない。

現在の金融緩和は加速してもあまり成果が出ない可能性があることを安達誠司さんの動画解説で聞いていたからだ。

昨日、安達誠司さんが以下の記事でそのあたりの解説をしている。

日銀の「量的質的緩和政策」は本当に限界を迎えつつあるのか

この記事は長くやや難しいので簡単に解説すると、

日銀の金融緩和には量的緩和と質的緩和と金利政策がある。

量的緩和は日銀当座預金の残高を増やして預金残高(マネタリーベース)を増加させることで貨幣量を増大する政策である。
質的緩和は市中銀行から日銀が国債や株(ETFなど)を買取、貨幣を市中に供給することで貨幣量を増加する政策だ。
低金利政策は金利を下げて企業が市中銀行の融資を受けやすくすることで、融資量を増やし、貨幣供給する。

量的緩和はそれだけでは預金が増えるだけなので直接貨幣価値を引き下げる効果は薄いと言われる。(議論は分かれるが)
日銀当座預金はまだ400兆円もある。不足しているとは言えない。
これが500兆円になれば市中貨幣が増えるだろうか ?
(増えるかも知れないがなんとも言えない)

安達誠司さんの記事では、現在の5年から10年物の短期国債は金利が低いので、日銀が短期国債を購入しても貨幣価値が下がらないのではないか、と指摘している。
これはマネーストック広義流動性で考えると分かりやすい。
広義流動性は貨幣に日銀債(通貨)と国債と外債などを含む、もっとも大きな貨幣の枠組みだ。
これにより質的緩和を考えると、日銀の国債購入は貨幣(短期国債)と貨幣(通貨)を交換しているだけなので、貨幣(広義流動性)は増えていないことになる。
貨幣が増えないのなら、貨幣価値は下がらず、インフレも起きない。
短期国債の場合、金利が低く債券価値が低いので、同じく価値の低い通貨と交換しても、広義流動性貨幣全体の価値は下がらない。
だから短期国債購入はあまり効果がないと安達誠司さんは主張している。
ETFなど株も4割ほど日銀が保有しているので購入の拡大は難しい。

しかし、金利の高い20年から30年ものの長期国債ならば、質的緩和の効果があると説明している。
金利の高い長期国債と、価値の低い通貨を交換すると、広義流動性貨幣全体の価値が下がる。
価値の高い長期国債は日銀の金庫に仕舞われて、その分価値の低い通貨が市中に増加するからだ。

だから、安達誠司さんは日銀が緩和加速するなら長期金利を購入すべきだと説明している。

金融緩和は本当に効いていないのか


以前、安達誠司さんの動画記事で「フィリップス曲線の左シフトが起こっている」という内容をこのブログでも取り上げた。

左シフトするフィリップス曲線 - インフレ率が上昇しない理由

この話がもし正しければこれまでの日銀のYCCは効果を上げていることになる。
インフレ率がなかなか上昇しないのは、設備投資の増大により、生産性の向上が起き、物価が下落しているからだ。
つまり、金融緩和で貨幣価値が下がっているのだが、同時に生産性向上で物価も下がるので、インフレ率が上昇しないということだ。
この説明なら金融緩和でインフレ率が上昇しないのに、雇用だけが増加している現象が説明出来る。

これが正しければ、これまでのYCCによる金融緩和は効果を上げていることになる。

インフレ率は少し上昇している


現在のコアコアCPI(食料とエネルギーを除く消費者物価指数)は +0.6% になっていて、以前よりは高くなっている。
2019年初頭は 0.3% 程度だったし、2018年は 0.1% 程度だったので、以前より良くなっているのは事実だ。

日銀が説明する通り、純粋にインフレ率から見ると、緊急に緩和を加速するべき状況ではない。

問題は為替の円高である。

消費税増税の円安効果


来月10月には消費税が10%に増税される。

私はもちろん消費税増税に反対だ。

しかし消費税増税を決定したのは政府であり、日銀ではない。

マンデルフレミングの法則というのがある。
金融緩和を伴わない国債発行による財政の拡大は、市中通貨を減少させるので、通貨価値が希少性から上昇し、円高になる。

という法則だ。

単純に「財政拡大すると円高になる」法則と言える。

消費税増税は財政縮小政策である。

マンデルフレミングの法則に従えば、「増税による財政縮小で円安になる」と考えられる。
実際、国債発行額が変わらず、金融緩和の速度も変わらない状況で、増税だけ行えば、政府予算が増えて再分配額が増えるので、市中貨幣量は増える。
貨幣量増加によって貨幣価値が下がるので、円安になる。

実際に円安になるかどうかは投機マネーの影響もあるのでわからないが、円安圧力になるはずである。

消費税増税は消費を削減してしまうので、消費の面からGDPを削減してしまう効果がある。
しかし一方で財政支出拡大により貨幣量を増大し、円安圧力を生じる。

これは消費のアクセルを少し緩め、円高のブレーキも同時に緩めていることになる。

これだと増税後に為替が円安になるか円高になるか、わからない。

FRBの金融緩和も効かないかも知れない


先ほどの安達誠司さんの記事によるとFRBの金融緩和も効果がないようである。

引用、「FRBの金融政策は見かけよりもかなり強い引締め効果を発現し続けていることを意味する。」

欧州の金融緩和は既に金融緩和が決定しているのにそれほど円高が進んでいないようだ。

サウジの石油掘削施設のテロの影響もあって多少乱高下しているが。

もしFRBの金融緩和も欧州中銀の金融緩和も効果が薄いのなら、日銀が何もしなくても、それほど円高にはならないかもしれない。
それどころか、消費税増税のマンデルフレミング効果で円安になるかもしれない。

私は楽観している


まとめると、

(1)これまでの日銀のYCCを中心とした金融緩和は効果を上げている。
(2)長期金利国債の買取を除けば金融緩和加速の効果は薄い
(3)消費税増税で円安圧力がかかる
(4)インフレ率は +0.6% で良くなってきている
(5)消費税増税により消費面からGDPが削られる可能性がある

というのが現在の状況である。

(1)(3)(4)は良い要素、(2)(5)は悪い要素である。

全てが悪いわけではないので、私は為替とインフレ率による日本経済の先行きを、楽観している。


そのうちどうにかなるだろうー

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オッサンです。実務経験は Windows環境にて C#,VB.NET ,SQL Server T-SQL,Oracle PL/SQL,PostgreSQL,MariaDB。昔はDelphi,C,C++ など。 趣味はUbuntu,PHP,PostgreSQL,MariaDBかな ?基本無料のやつ。

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