緊縮財政論も積極財政論もどちらも迷惑な存在だ

2019年6月23日日曜日

経済政策

t f B! P L

以前から言っているが私はリフレ派の支持者だ。

信頼しているリフレ派の先生方は主に以下の記事に登場する人々だ。

リフレ派によるMMTへの評価

他にも同様の考え方をしている人々は何人かいてその人々も支持対象にしている。
目立つところでは上念司さんも支持対象に含んでいる。

私も経済学は素人なので、リフレ派の先生方の考え方を十分に理解しているとは言えない。
しかし、世間の大多数の人々よりは理解できていると思っている。

そういう「リフレ派の支持者」の立場から言わせて貰えば、世間の「緊縮財政論」と「積極財政論」はどちらも迷惑な存在だと思っている。

その理由について書きたいと思う。

緊縮財政論の間違い


財源がないなど嘘っぱち


以前から財務省勢力を中心に「政府支出の財源がない」という意見を今でも主張している人は多いが、何度も言うがこれは嘘である。
財政支出には確かに上限があるが、それは断じて「財源がないから」でも「国債を発行しすぎると金利が高騰して破綻する」からでもない。
上限については後で説明するが、それは税収や国債発行のような「入口」の問題ではなく、歳出や政府支出拡大に伴う高インフレなどの「出口」の制約である。

財源に関してはデフレ(ディスインフレ)の間は、インフレ目標の2%を達成するまで貨幣と国債を発行し続けることができる。
デフレ(ディスインフレ)は市中貨幣(預金を除いた貨幣の総量)が不足していて貨幣価値が高騰しているので貨幣量を増やして、貨幣価値を下落させてインフレ(物価上昇)を起こす必要がある。
貨幣を発行すれば貨幣発行益を日銀が得るので、それを政府財源にすることができる。
試しに「中央銀行のない国」を想像してみれば容易に理解できる話だ。

日銀が獲得した通貨発行益を、現在は国債で政府が回収している。
国債は本来は民間から政府が借入する為の債券なので返済義務があり、これが通貨発行益の活用の障害になっている。
しかし、この問題は様々な回避手段があり、絶対的な問題ではない。

財政支出の入口の上限はM3を超えない国債発行額


国債の価値は、日銀の発行する日銀債(円・通貨)に対する相対的な「量」で決まる。
国債の価値は、日銀の発行する日銀債(円・通貨)の総量より少なければ、その価値が下落することはない。
日銀債は現在(マネーストックM3で)1370兆円ほど発行しているので、国債も1370兆円まで発行しても価値が下落し、国債金利が高騰することはない。

現在の国債発行額は1100兆円ほどなので、あと270兆円ほど発行出来ることになる。
デフレ対策の財源が不足する状況には無い。

国債発行の壁は特別会計法42条と財政法4条


国債発行の「入口」の障害は特別会計法42条と財政法4条という法律で、特別会計法42条は「国債総額の1.6%を一般会計から返済しなければならない」と義務づけている。
財政法4条は「原則として政府予算は公債や借入金を財源にしてはならない」と制限している。
財政法4条については特別公債法を国会で定期的に議決すれば、国債を財源に政府予算を組める。
しかし特別会計法42条にはそのような抜け道がないので、政府は毎年一般会計予算から24兆円ほど国債の返済に充てている。
これは本来必要の無い返済である。

日銀保有国債を政府硬貨で政府が買い取れば国債返済義務は消滅する


通貨発行益は返済する必要はないのだが、政府が日銀から通貨発行益を回収する手段として国債を使用している為に、返済義務が生じている。
もし、政府通貨(政府硬貨)などを使用して通貨発行益を回収すれば、返済の必要は無い。

例えば現在日銀が保有している450兆円ほどの国債を全て、政府硬貨で政府が買い取れば、450兆円の国債が消滅する。
発行した政府硬貨は日銀が金庫に仕舞っておけばインフレ率に影響しない。
金庫に仕舞った通貨(政府硬貨)は「発行されていない通貨」なので、政府通貨は国債買取時に一瞬だけ現れて、消滅することになる。
法的にも経済的にも何も問題は無い。

貨幣制度を改革すれば財政支出の入口の壁は消滅する


貨幣制度を改革して、特別会計法42条と財政法4条・5条・6条を改正し、政府が日銀から通貨発行益を合法的に回収出来る制度を作れば、財源の問題は消滅する。

例えば日銀が買い取った国債は返済不要な「永久債」にするとか、あるいは日銀しか買い取ることが許されない「政府特別通貨」を発行して、日銀債を政府特別通貨で政府が買い取ることができるようにするなどの方法が考えられる。


問題は入口ではなく出口


政府が日銀から通貨発行益を回収する方法などいくらでも考えられる。
「財源がない」など嘘なのだ。
インフレになったら貨幣発行を引締めなければならないので通貨発行益は利用できなくなるが、インフレ時は好景気で税収が増えて、財政が均衡してしまうので、分配の財源に困ることはない。
分配の原資を増やしたければGDPを増やし、税収を増やせば原資は確保できる。
現に今、GDPも税収も増えているのがその証拠である。

財政支出の制約は「財源がない」などと言う、歳入や国債発行による金利上昇のなどの「入口」の話ではなく、財政支出拡大により起きる高インフレ時のインフレ抑制政策などの「出口」の制約なのだ。

財務省勢力の話は完全に間違っている。

積極財政論の問題点


無限に国債が発行出来るの虚偽


MMT派に代表される「積極財政派」は無限に国債が発行出来るかのように吹聴している。
多少、良心的な主張でも「1300兆円ぐらいまでは発行出来る」と主張している。
しかしこれは、「1300兆円ぐらいまでなら国債金利が高騰しない」というだけであり、本当に1300兆円も国債を発行出来るわけでは無い。

国債発行は政府支出の拡大を意味する。
財政を拡大すればインフレ率が上昇し、財政を縮小すればインフレ率が下落し、最悪はデフレになる。
財政規模はインフレ率に大きく影響する為、適度なインフレ率(2%から4%程度)になる財政規模に調節しなければならない。
1300兆円も国債を発行してその分財政規模を拡大したら4%を遙かに超える高インフレを招く。
国債価値が下落しなくても、高インフレという重大な問題が起きる。
これが積極財政派の主張の問題点である。

デフレ対策とは貨幣の増量である


アベノミクスや、リフレ派の主張、山本太郎の経済政策、MMT派の主張は全て「デフレ対策」であり、その経済政策のデフレ時の本質的な手段と方向性は皆同じである。

デフレ対策を一言で言えば「貨幣量の増加政策」である。

アベノミクスや、リフレ派の主張、山本太郎の経済政策、MMT派の主張の違いは、「現状認識の違い」と「高インフレ対策の有無」にある。

山本太郎の経済政策、MMT派の主張は前者とは「現状認識の違い」がある。
「アベノミクスは不十分であり、もっと財政拡大を進めるべきだ」という考え方になる。
山本太郎の場合はこれに「金融緩和も大胆に加速すべき」が加わる。

しかし私はこの現状認識に懐疑的だ。
私は安達誠司さんの解釈が正しいの思っていて、「アベノミクスは効果を上げている。インフレ率が上昇しないのは、旺盛な設備投資の効果により生産性が向上して、物価が下落しているからだ。金融緩和で貨幣価値は下がっているが、物価も同時に下落しているので、インフレ率が上昇しない」という認識を信じている。
「無業者を含めた失業率」が下がり続けているのにインフレ率が上昇しない現象がこれでスッキリ説明出来る。

もしアベノミクスが効いているのならば、山本太郎の経済政策、MMT派の主張は財政出動のやり過ぎになる。
私は賛成できない。
「消費税の5%への減税」や「教育無償化」程度の財政拡大なら賛成である。
両者の財政拡大は規模が大きすぎる。
高インフレが起きたら止められなくなるだろう。

現状認識で正しい経済政策の選択は変わってくる。

貨幣の増量には金融緩和と財政拡大の二つの手段がある


デフレ対策としての貨幣量増大政策には金融緩和と財政拡大の二つの手段がある。
アベノミクスや、リフレ派の主張、山本太郎の経済政策、MMT派はどれも、金融緩和と財政拡大の両方を使用することを主張している。
(正確にはMMT派は金融緩和に否定的である。主張の内容が場によってコロコロ変わるので金融緩和に対する主張が判然としない。財政に関しては一貫して積極財政である)

それぞれの違いは、金融緩和と財政出動のバランスである。

アベノミクスや、リフレ派の主張は「金融主導の財政補助」というスタンスを貫いている。

「財政拡大を主導でインフレを起こした場合、高インフレ時には緊縮財政でインフレを抑制しなければならない。豊満財政から財政の引締めに転じるのは政治的に難しい。金融政策ならインフレ時に容易に金融引締めできる」

というのがリフレ派の主張であり、アベノミクスが国債発行に消極的なのもおそろく、これが理由と思われる。
リフレ派は財政拡大に否定的なわけでは無く、高インフレが起きたときに金融引締めだけで高インフレを抑制できる範囲内で最大の財政規模を目指している。

財政拡大で貨幣を増やせば高インフレ時に財政を縮小しなければならなくなる


一部のいい加減なMMT支持者の中には、
「財政拡大で高インフレが起きれば、金融引締めでインフレ抑制できる」
とデタラメを吹聴している奴らがいるが、これは完全に嘘である。
理屈で考えれば簡単に分かる。

先に説明したようにデフレ対策は貨幣量の増大政策である。
貨幣を増やす手段は金融緩和と財政出動の二つの手段が使える。

財源は市中銀行の預金である。
預金は量的緩和で法定準備金の残高を増やせばいくらでも捻出できる。

金融緩和は主に低金利(マイナス金利)政策で企業への市中銀行融資を増やすことで、貨幣を供給する。
財政出動は政府が国債を発行し、市中銀行に買わせて預金を政府が回収し、その預金を政府支出として、公共投資や各種給付金や減税などで、国民に分配することで貨幣を供給する。

高インフレは貨幣を過剰に供給しすぎた時に起きる。

金融緩和で高インフレが起きれば、貨幣供給は主に銀行融資で行われているのだから、ここを金融引締めで絞れば、貨幣量を減らすことができる。
供給しすぎた貨幣も準備金比率を引き上げれば回収できる。

しかし、財政出動主導で国債発行額を増加することで、貨幣を供給している場合、金融引締めで銀行融資を減らしても、主な貨幣の供給元は「国債発行と政府支出」なのだから、ここを引締めなければ貨幣量を減らすことはできない。
準備金比率を引き上げても国債や政府支出が減るわけがない。

財政出動主導で貨幣供給を増加した場合、高インフレ時に貨幣量を減らすには緊縮財政に転じるしかないのだ。
積極財政から緊縮財政へ急に政策を変更するのは難しい。
これをやった政権は選挙で政権を失うだろう。
おそらく政治的に緊縮財政を実施できず、高インフレを止められない。

過去のデフレ期に行われた緊縮財政は何十年も時間をかけて行われた。
高インフレ時の緊縮財政は1年2年という短期間に行わなければならない。
できるわけがない。

高インフレを抑制する為に増税すれば税率100%の社会主義統制経済になる


MMT派は「高インフレが起きれば増税することでインフレ抑制ができる」と主張していると聞く。
しかし、これが本当なら益々問題だ。
財政拡大主導でインフレを起こし、高インフレが起きれば「増税」でインフレを抑制する。
財政支出は縮小しない。
これを繰り返せば日本はどんどん税率と分配の比率の高い国になり、やがて「税率100%」の社会主義経済の国になってしまう。

MMT派は新手の社会主義者


私はMMT派は新手の社会主義者だと思う。
デフレ期の財政拡大は経済政策として正しい。
その「正しさ」に便乗して「合法的社会主義改革(革命)」を進めようとしているように見える。
あくまで推測にすぎないが、やろうと思えば可能である。

国家主義と社会主義は矛盾しない


MMT派の人々の政治的主張を見る限り、右派の愛国者のようである。
右派の定義を緩やかな「国家主義」とするならば、彼らは左翼のような「反日」でも「無政府主義」でも「反国家主義」でもない。
「右派の愛国者」であることは否定しない。

しかし、社会主義は国家主義と矛盾しない。
資本主義を否定する社会主義は十分に成り立つ。

つまりMMT派は「右翼であると同時に左翼でもある」と思われる。
そしてそれは既存の左翼と違い「反日」ではない「愛国の国家主義」に近い。

MMTを警戒しろ


愛国右派と反日左派の対立とは別次元で、資本主義を支持する人々はMMT派を警戒する必要があると、私は思っている。
私も確証はないが、「MMT派は新手の社会主義者」だと思っている。
「愛国右派」であるが故に敵として分かりにくい点が、問題である。


緊縮財政派も積極財政派もどちらも迷惑な存在だ


インフレターゲット政策はリフレ政策である。

インフレターゲット政策はデフレ時には金融緩和と財政拡大を、高インフレ時には金融引締めと財政引締めを行う経済政策である。

MMTのデフレ対策はリフレ政策と同じである。
しかし、高インフレ時にどうするのか判然としない。
MMT派の主張するように財政拡大したら、高インフレ時にインフレを止められないか、増税により社会主義経済になるように思える。
マトモな政策とは思えない。

財務省勢力の緊縮財政論もデタラメで迷惑な存在である。

彼らの「ゼロサム論」を信じている人はとても多い。
「ゼロサム論」は「税収の歳入分だけしか政府支出することができない」という考え方で完全にデタラメである。

デフレは市中貨幣不足により貨幣価値が高騰している状態なので、貨幣発行の増加が必要である。
貨幣を発行すれば通貨発行益を統合政府が得られる。
この通貨発行益は政府予算に使用できる。
したがってデフレ期には政府歳入は政府支出を下回っていても問題ない。
2%を超えるインフレになれば税収が増えて政府歳入が政府支出に追いつくので、通貨発行益は必要無くなる。
ゼロサム論はこの事を完全に無視している。

アベノミクスが始まってから7年も経つのにまだ、「国債を発行し続ければ国債金利が高騰して日本は破綻する」と言っている人がいるが、この7年間に国債金利が高騰しただろうか?
高騰するならいつ高騰するのか聞かせて欲しいものだ。

先に説明したように財源は潤沢にある。
政府支出の上限は財源などの「入口」ではなく、財政拡大に伴って起きる高インフレ時のインフレ抑制が可能な範囲という「出口」の制約にある。

緊縮財政派も積極財政派もどちらも間違っており、どちらも信じてはいけない存在なのだ。

リフレ派の先生達の話に耳を傾けるべきだ。


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オッサンです。実務経験は Windows環境にて C#,VB.NET ,SQL Server T-SQL,Oracle PL/SQL,PostgreSQL,MariaDB。昔はDelphi,C,C++ など。 趣味はUbuntu,PHP,PostgreSQL,MariaDBかな ?基本無料のやつ。

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