左シフトするフィリップス曲線 - インフレ率が上昇しない理由

2019年5月8日水曜日

経済政策

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この安達誠司先生のニュースを見て、私は初めてフィリップス曲線がシフトするということを知った。
私は経済学は素人なので知らないことだらけだ。

だが世間やマスメディアなどは段違いに経済を理解していないので、私みたいな「下手の横好き」が世間の経済報道などの間違いを正すブログ記事を書いている。
それぐらい経済報道には嘘や間違いが多い。
財務省が繰り返し嘘を報道しているためだ。

前回話題にしたMMTなども実質嘘の説明だ。
私もしばらく気がつかなかった。
まさかインタゲもなく高インフレになったときの対策がないとは思わなかった。

こういった嘘の中に
「物価が上昇しないのは有効需要の不足から企業への市中銀行からの投融資が増えず、市中貨幣(なぜかマネーサプライと呼ばれている)が増加しないため。
財政出動拡大により有効需要を拡大して市中銀行からの投融資を増加しないと物価上昇しない」
というものがある。
私も最近までこの意見が正しいと思っていた。
また、有効需要の拡大が物価上昇に必要なのは事実なので、100%間違っているとも言えない。

だが安達誠司先生の説明を聞くと、「物価が上昇しないのは企業の設備投資の増加の結果、生産性が向上して物価が下がるから」というとてもシンプルな理由だったということが分かる。

内閣府のGDP統計を見ても民間企業設備投資は2016年にやや下落したのを例外に毎年4%ほど増加を続けている。



これだけ設備投資に金をかけているのなら、そりゃー生産性が向上するのは当然だ。
そして生産性が向上するから物価が下がるのだ。
金融緩和で通貨価値を引き下げても、その分生産性が向上して物価が下がっていたのだ。

また、設備投資は以前から盛んであり、市中銀行からの企業への投融資は以前から増加している。
当然のことながら市中の貨幣も増えているはずなので、「銀行投融資の不足が物価上昇しない原因」というのは間違いであることがわかる。

MMT陣営の話には本当にリアルな嘘が多すぎて混乱させられてしまう。

フィリップス曲線とは

フィリップス曲線とは、横軸に「失業率」を、縦軸に「インフレ率(物価上昇率)」の座標をとったグラフのことで、経済理論ではなく過去の「失業率」と「インフレ率」の記録である。

この記録の結果、グラフの線は「インフレ率」が高くなるほど「失業率」が下落する、右肩下がりの曲線になる。




通常は話を簡単にするため直線で書き表す。



こらんのように失業率が下がると、直線を遡ってインフレ率が上昇する。

フィリップス曲線の左シフト(下方シフト)

日銀の金融緩和が始まった当初、インフレ率(コアコアCPI:食品とエネルギーを除く消費者物価指数)は、-0.5%から一気に+0.9%まで上昇した。
これがその後0%まで下落し、今は少し上昇して+0.3%ある。

これに対し、失業率は金融緩和が始まってすぐ5%から3%まで下落し、その後も上昇することなく、ゆっくりと下がり続け、現在は2.4%付近で推移している。
就業者数は増え続け、就業率は年間1.5%増加している。
無業者を含めた失業率は現在5%程度だという。
これが下がり続けている。
ちなみに完全雇用は無業者を含めた失業率が2.4%ぐらいだそうだ。

つまり失業率が減り続けているのにインフレ率が上昇しない。
なぜこうなるのか経済クラスタでも疑問視されていた。

旺盛な設備投資の成果で生産性が向上し、物価が下がっているのならば、金融緩和(通貨発行)で通貨の価値を下落させても、通貨価値と一緒に物価が下がるので、インフレ率が上昇しないのだ。


ちなみに右下がり曲線なので「左シフト」と「下方シフト」は数学的に同じです。
同様に「右シフト」と「上方シフト」も同じです。

安達誠司先生のニュースで左シフトを知り、その後「フィリップス曲線の左シフト」で検索して調べてみると、一部界隈では「フィリップス曲線の左シフト(下方シフト)」について以前から指摘されていたようだ。


引用、

失業率に影響を与えるのは、主に、実現したインフレ率そのものではなく予想されたインフレとの乖離である。予想を上回ってインフレが進行した分が、失業率を低下させることになる。よって、実現したインフレ率と失業率のグラフにおいて、フィリップス曲線は期待インフレ率によって上下にシフトする。

フィリップス曲線上の動きと、フィリップス曲線のシフトとの区別は重要である。たとえば景気悪化局面においては、失業率の悪化とともにインフレ率の低下が起きるが、そのインフレ率の低下を受けて人々のインフレ期待も低下していくことになり、フィリップス曲線の下方シフトが発生する。その結果、実現したインフレ率と失業率の間には時計回りのスパイラルが描かれることになり、この時計回りの動きの中で左下がりの部分が観察される。



引用、


インフレ予想が強いときは、フリードマンが分析したように短期でみられるフィリップス曲線が上方シフトす る。名目賃金をインフレ予想が動かしているから、賃金と失業率の2つの関係がシフトするのだ。  反対に、デフレ予想が強いときは、短期のフィリップス曲線は下方シフトする。


その変化をさらに後押し すると、賃金は1~2%へと上昇ペースを高めるのだろうが、そこには上方硬直性があるように思える。春闘で ベースアップ率を1%以上も引き上げると、先々では大きな経済ショックに見舞われたときに人件費負担が収益 面での足枷になるという警戒感である。  そうした賃金上昇率の天井が意識されると すれば、失業率は低下しても、名目賃金上昇 率は低いままで推移することになる。これは 短期のフィリップス曲線が下方シフトを細か く繰り返しているのと同じことである(図表 5)。ここではフィリップス曲線が 2000~ 2004 年から、2008~2012 年へと下方シフト し、さらに 2012~2015年、2015~2018 年へ と随時下方シフトしてきたことがわかる。





世界石油価格上昇のような供給ショックはスタグフレーション(物価上昇&生産量減少)をもたらす。これは失業率を増加させ、物価を上昇させるので、フィリップス曲線は右方へシフトすることになる。もしも人々の期待インフレ率が変化しなければ、それは人々がこれを一時的なものとみなしたことを意味し、曲線はもとに戻る。しかしもしも期待インフレ率が上昇すれば、フィリップス曲線の右方シフトは継続する。



ただ、フィリップス曲線については経済クラスタの中でも混乱しているようで、いくつか間違った解釈が見られる。
その一つが「フィリップス曲線のフラット化」という話だ。
フラット化とはフィリップス曲線の傾きが浅くなってきているという話だ。

フィリップス曲線はシフトするとフィリップス曲線自体を読み取ることが難しくなる。
フィリップス曲線が左に移動すると、インフレ率の上昇傾きが浅く見えるため、フラット化したように見えるのはただ単にフィリップス曲線を読み違っている可能性がある。

シフトとインフレ率の変位を同時に読むのは素人目に見ても難しいと思う。

インフレ率は通貨価値と物価の相対的な差なので、通貨価値と物価が同時に下がる場合、通貨以外の何か絶対的価値基準でもないと、状況が分からないだろう。

左シフトのゴールは完全雇用

無業者を含めた失業率が2.4%ぐらいになると、それ以上労働者を供給できない「完全雇用」状態になる。
現在は5%程度なので、2.6%下がる必要がある。
そのとき左シフトが限界を迎え賃金上昇に伴う物価上昇が起きる。

アベノミクスは成果を上げている

安達誠司先生の話を聞く限り、15年のデフレのダメージは非常に大きく、そこから回復することに非常に時間がかかるということが分かる。
消費税増税を除けば、これまでの安倍政権の経済政策は正しいと言え、このままフィリップス曲線の左シフトの限界を迎えるときを待つのが賢明だ。

それまで物価は上昇しない。


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オッサンです。実務経験は Windows環境にて C#,VB.NET ,SQL Server T-SQL,Oracle PL/SQL,PostgreSQL,MariaDB。昔はDelphi,C,C++ など。 趣味はUbuntu,PHP,PostgreSQL,MariaDBかな ?基本無料のやつ。

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