山本太郎の積極財政政策は法的に実施が難しい

2019年4月17日水曜日

経済政策

t f B! P L

最初に断っておくが、私はリフレ派の支持者で現在は安倍政権を支持している。

ただ、経済政策に右も左もないので、リフレ的経済政策は左派でも実行できる。
左派で初めてリフレ的経済政策を主張したのが山本太郎だ。

小沢一郎配下の自由党議員だが、先日離党を宣言し今後は単独で政治活動をするそうだ。


山本太郎は街頭演説などでかなり分かりやすく経済と財政のしくみについて説明して回った。
その内容はリフレ派やケインズ派(土建派)が今まで説明してきた事とほぼ同じだ。

山本太郎は反原発で選択的夫婦別姓を推進しTPPに反対している為、私は支持していないが、彼の経済政策はそれほど大きく間違っていないと思う。

山本太郎の現在の経済政策は、以下のような物だ。


(A)消費税は廃止
(B)安い家賃で住める公的住宅を拡充
(C)奨学金チャラ
(D)全国一律!最低賃金1500円「政府が補償」
(E)公務員を増やします。保育、介護、障害者介助、事故原発作業員など公務員化
(F)一次産業戸別所得補償
(G)防災庁を創設
(H)本当の国土強靭化
(I)デフレ脱却給付金・デフレ時のみ時期をみて

これら以外は経済政策ではないので省略する。

一つ一つの政策について論評する。

(A)消費税は廃止

デフレは需要不足なので減税して有効需要を拡大する必要があるので消費税減税は正しい。
消費税廃止も同様だ。
ただし、私は安倍政権も消費税増税を再延期または増税凍結を行う可能性は高いと思う。
太郎が消費税廃止を訴えるのは安倍政権と差別化する必要があるからではないかと思う。
そういう意味では減税ではなく廃止を選択するのは選挙対策の苦肉の策とも言えると思う。
消費税廃止は政治的に実現が難しい。

(B)安い家賃で住める公的住宅を拡充

これは消費者の需要拡大政策としては正しい。
空き家、中古マンション、団地を活用するそうなので、新規住宅を作るわけでもない。
住宅が余り住宅価格が下がっているので渡りに船といったところだろう。

(C)奨学金チャラ

これも需要拡大政策としては正しい。

(D)全国一律!最低賃金1500円「政府が補償」

最初は「全国一律で最低賃金1500円にしたら地方企業は倒産してしまう。雇用も減ってしまうだろ」と思ったが、「中小零細企業に影響がない様に、不足分は国が補填」するそうなので、実質はベーシックインカムみたいな所得分配政策である。

これは行政手続きが複雑になりすぎるので反対だ。
ベーシックインカムのように単純な分配の方が良いだろう。

(E)公務員を増やします。保育、介護、障害者介助、事故原発作業員など公務員化

これも需要拡大政策としては正しい。
さらにこれまで公務員を減らしすぎたので行政サービスが十分に提供できなくなっているので、行政サービスの充実の面から見ても公務員は増やすべきだ。

(F)一次産業戸別所得補償

農業や水産業はフォローしていないのでこれが正しいか分からない。
ただ個人的には企業の一次産業への参入による大規模機械化農業を推進した方が食料自給率は向上すると思っているので、所得保障は方向性として間違っていると思う。

(G)防災庁を創設

これは有っても良いと思う。
反対はしない。

(H)本当の国土強靭化

需要拡大政策として安倍政権の国土強靭化は支出が不十分だと経済クラスタではよく言われるが、私は現在の特別会計法42条の制約の中では、仕方がないと思っている。
また、人手不足の供給制約のなかでは公共投資を拡大しても業者が受注できない可能性も高い。
ケインズ派は「長期計画を立てれば企業は設備投資を拡大する」と主張するが、衆議院の任期は4年なので公共投資の計画は精々三年程度しか立てられない。

これは安倍政権が2013年に試みて挫折した政策である。

太郎が国土強靭化を拡大すると言うが私には出来るとは思えない。

(I)デフレ脱却給付金・デフレ時のみ時期をみて

一人あたり月3万円を給付するそうだ。
財政経由だと財政法4条と特別会計法42条の制約があって出来ないが、日銀が金融緩和で発酵した通貨を直接国民に分配すれば可能になる。
また、この政策は金融政策なので日銀がやるのが筋だろう。

財源の問題

右派からは「そんな財源どこにあるのだ!」という批判が出ているが、私は財源は「通貨発行益」が使えると思う。
デフレは通貨の価値が上昇して、経済が萎縮しているのだから、通貨発行量を増やして通貨の価値を引き下げなければならない。
最近は金融緩和が萎縮しているが、2015年頃まで日銀は年間80兆円の通貨を発行していた。
国債発行量は30兆円程度なので、30兆円を日銀が買い取っても50兆円余る。
この50兆円が財源として使える。
またインフレ率が中々2%に届かないので通貨発行量をさらに増やすこともできると思う。

ただし、国債の発行には財政法4条と特別会計法42条の法律の制約があり、潤沢に発行できるわけでは無い。

財政法4条は原則として公債と借入金を財源に政府予算を組むことを禁止している。
特別会計法42条は国債発行総額の1.6%を一般会計から返済することを義務づけている。
現在でも一般会計から24兆円の国債が返済されている。
利払い抜きなら15兆円になる。
国債発行は毎年行うので国債発行総額は年々増えていく、現在は15兆円だが毎年50兆円国債を発行すると2024年には20兆円(利払い抜き)の国債を一般会計から返済しなければならない。
毎年80兆円国債を発行すると2021年には20兆円に達する。
2024年には23兆円になる。
20兆円を超える金額を一般会計で負担するとなると財政は圧迫される。

安倍政権が国債発行額を絞るのはこの負担の増加を遅らせる為と思われる。

国債を潤沢に発行出来るようにする為には、財政法4条と特別会計法42条を改正し、通貨発行益を政府が日銀から回収する範囲内においては、国債の返済義務を無くし、国債を政府予算の財源に使用できるようにしなければならない。

しかしその為には国会議員の半数以上の理解を得なければならず、現在の国会では難しい。

そもそも日本には政府が中央銀行から通貨発行益を回収する正規の制度が存在しない。
国債は本来、民間から政府が借入する為の債券だ。
通貨発行益を回収する為の債券ではない。
通貨発行益を回収する為の専用の債券が必要だ。
そしてその債券は日銀しか購入することが出来ず、返済義務がないものにする必要がある。

つまり潤沢な国債発行は経済学的には可能でも、法律的に不可能なのだ。
それをやるには法改正が必要だが、それも国会議員の理解が得られず難しい。

山本太郎の積極財政政策は一部極端なものを除けば、通貨発行益を国債で回収して実現できるが、現在の法制約では実施できない。
やるには法改正が必要だが安部総理でもできないことを山本太郎の政治力で出来るとは思えない。

安部政権と差別化する為の苦肉の策

それにしても山本太郎の積極財政政策の内容は極端すぎる。
正直、そこまでやらなくてもデフレ脱却は可能だろうと思う。

消費税減税と奨学金チャラと公的住宅を拡充で十分だと思う。
デフレ脱却給付金も日銀から直接給付なら可能なので、やっても良いかも知れない。
だが他は必要ない。

教育無償化が含まれないのは安倍政権がやるかもしれないからだろう。

ここまで極端な政策を立てるのは安倍政権との差別化が難しいからだと思う。

経済政策に右も左もないので、安倍政権と山本太郎はどちらもリフレ政策であり、方向性は同じなのだ。
だから山本太郎が選挙で票を集めるには、極端な積極財政政策を立てるぐらいしか差別化の方法がなかったのだと思う。

野党議員や左派に経済を理解させることもできない

山本太郎は今まで野党議員や左派に経済や財政を説明してまわっていたが、結局理解させることは出来なかった。
自由党を離党するのも自由党の中では経済重視の政策を実施できなかったからではないかと思う。
このまま、れいわ新撰組として政治活動をしていても野党議員には経済が理解できないし、支持基盤の左派もほとんど経済が理解できないので、飛沫政党として大した影響力は持てないと思う。
せいぜい野党議員と左派に経済を説明してまわるだけだろう。
左派の立場にいるので、右派の経済に明るい政治家と組むこともできない。
正直なところ八方塞がりに見える。

山本太郎の政治活動を見ていると野党議員と左派の経済音痴ぶりがあまりに酷いので呆れる。

山本太郎はしばらく浮上して来られないだろう。

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