経産省が警告する「2025年の崖」とは

2019年4月15日月曜日

DX システム業界問題

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以下の先日の記事、で経産省が把握しているIT業界(SIer業界)の問題点を解説した。


では続いてこのままSIer業界の問題を放置するとこれから何が起きるのか、経産省がどのような予測を立てているか紹介解説する。

経産省は「2025年の崖」と題して2025年ごろまでに以下のような問題が起きるだろうと推測している。

レガシーシステムのブラックボックス化

これまで日本の大企業や中堅企業ではパッケージソフトなど汎用ソフトウェアの活用があまり行われておらず、自社専用のシステムやパッケージを独自カスタマイズした製品を使用してきた。
諸外国では「業務をシステムに合わせる」形でシステムを導入してきたが、日本では「システムを業務に合わせる」形でシステムを導入してきたため、システムの中に個々の会社固有の業務ロジックが内包されてきた。
同時に日本ではシステム開発をSIerに丸投げにしてしまうケースが多く、システム内の業務ロジックはSIerが把握していて、ユーザー企業が把握できていないケースが少なくない。
SIerも多重請負で開発を下請けに任せてしまう為、「業務ロジックを誰も把握していない」状況に陥っている場合がある。
これが「システムのブラックボックス化」である。

新時代に備えて旧システムを刷新しようにも業務ロジックが分からない為、システムを作り替えることができない。
「業務をシステムに合わせる」「システムを業務に合わせる」ことと「システム開発を下請けに丸投げ」にしてきた弊害が現れつつある。

21年以上古い基幹系システムが6割に達する

2015年時点での調査では、企業のITシステムで21年以上使用している基幹系システムは2割存在する。
2025年にはこれが、6割に達する計算になるそうだ。

古いシステムは維持費も高く、システムの土台となるOSやミドルウェアも何れ消えてしまう可能性がある。
業務基盤となるシステムを維持・継承できなくなる可能性がある。
経産省の報告は、年々このリスクが増大しているのが現状だというものだ。

IT予算の9割がレガシーシステムの維持費に消える

これは将来の話ではなく、現在の時点で企業のIT予算の9割がレガシーシステムの維持費に使われている。
それだけ新技術への投資が削られるということだ。

IT人材不足が拡大し2025年には43万人不足する

2015年の時点でIT人材不足は17万人だった。
2025年にはこれが43万人に拡大する。
ちなみに現在のIT人材の総数は90万人弱である。
人材不足の規模が分かるだろうか。
現在のIT人材の総数の半分ほどIT人材が不足するのだ。
貴方の会社が20人のIT人材を雇用していたら、10人か 9人人材が不足する。

少子化で人材供給自体が困難になる。
若手は全て先端ITへ投入する必要があるので、古い技術を知る人材の供給は不可能になる。
古い技術は既存人材を活用する以外の手段がない。

これはシステムのレガシー化のリスクが増大することも意味する。

Windows 7 や SAP など旧型システムの土台ソフトウェアが消える

現在の業務システムの土台を構成するOSやミドルウェアが消滅する。

Windows 7 は 2020年1月にサポートを終了する。あと9ヶ月しかない。

SAP ERP は2025年にサポートを終了する。


多くの会社は Windows 7 の32bit版を使用しているのでアプリもシステムも32bitで稼働する。
しかし最新の Windows 10 は64bit なのでアプリもシステムも64bitに移行する必要がある。
レガシーなシステムをそのまま移行できない可能性がある。

SAPについてはオンプレミスからクラウドへの移行になり、SAP自体のアーキテクチャが変わるため、既存のアドオンやアプリなどをそのまま移行できない。
システムや場合によっては業務の刷新が必要だと言われている。


5G・IoT・AI など新技術の実用化

2020年からモバイルブロードバンドで 5G が開始される。
5Gはフェーズ1とフェーズ2の二段階の規格に分かれており、2020年にリリースされるのはフェーズ1になる。
フェーズ1の規格は2016年に制定されたもので、フェーズ2は推測だが2020年に制定される。
規格制定から4年後に実物がリリースされるため、フェーズ2のサービスリリースは2024年になることが予想される。

フェーズ1で通信速度の大幅な向上と、若干の遅延速度(反応速度)の向上が期待される。
また、IoTによる大量接続を念頭に置いているので、従来とはモバイルブロードバンドの活用の仕方が大きく変わる可能性が高い。
また、IoTにより大量のデータが発生するため、データを活用する技術者が大量に必要になる可能性がある。

データ集計・統計分析の為、AIが重要度を増す可能性も同一の理由である。

つまり、5G・IoT・AI はそれぞれの相互の影響で同時に需要を増加させることになる。

するとこれらの新技術の需要が急増する為、新技術IT人材の確保と技術の活用の両面で、多額の投資が必要になってくる。
レガシーシステムの保守にIT予算の9割を使用している現状では、これらの投資は難しい。

電力・ガスなどの法改正と規制緩和




2018年から2020年を目処に電力とガスの規制緩和が行われ、生活を支えるインフラシステムの大幅な刷新が行われる。
引用「法的分離の方式による送配電部門の中立性の一層の確保、電気の小売料金の 全面自由化」

これはITの分野でもシステム改修や開発需要の増大を招く。

2020年から本格的に始まるので、IT人材の確保がより一層困難になる。

2025年以降膨大な損失の拡大が生じる

経産省の試算では、以上の問題の発生と拡大により、2025年以降は最大で年間12兆円の経済的損失が生じると予測している。

これが「2025年の崖」である。

次回は、経産省が「2025年の崖」を避ける為に構想している「対策」と、「将来の日本のIT産業のビジョン」について解説する。

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オッサンです。実務経験は Windows環境にて C#,VB.NET ,SQL Server T-SQL,Oracle PL/SQL,PostgreSQL,MariaDB。昔はDelphi,C,C++ など。 趣味はUbuntu,PHP,PostgreSQL,MariaDBかな ?基本無料のやつ。

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