業務コミュニケーションで口頭伝達は効率が悪い、もっと非同期通信を使用すべき

2019年2月9日土曜日

システム開発 道徳常識

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企業組織の内部のコミュニケーションは相変わらず直接会話や電話など口頭伝達・口頭対話が主流だ。
SlackやChatWork などメッセンジャーツールが発達しているにもかかわらず、相手の時間に無理矢理割り込み、時間を無駄に奪い取る口頭伝達を使いたがる人々が多い。
時間を貴重な労働生産資源と考えるなら個々人の労働によって消費する時間は必要最小限であるべきだと思うが、サービス残業が当たり前になっていたデフレ時代の惰性なのか、労働時間を無駄に浪費することに罪や無駄の意識が無いのが日本企業の慣習になっている。

現在のようにSlackやChatWork などの非同期文書通信が高度に発達しているのだから、この技術を積極活用して個々人が無駄に浪費している時間を節約して、生産性向上に努めればよいのにやろうとしないのは何故なのだろうか。

(A) 直ぐに電話を掛けてくるタイプの人々に共通する点として、
   「相手の時間を浪費する事に罪の意識が無い」いわゆる「時間泥棒」タイプの人。

(B) 口頭伝達が非常に効率の悪いコミュニケーションであることが理解できない人。

(C) 文章を書いたり読んだりするのが苦手な、国語力に問題のある人。

(D)自分の時間を奪われるのは許さないが、他人の時間は奪って良いと考えるジャイアニズムタイプ(利己主義)の人。

の4種類に分かれると思う。
複数に跨がるタイプももちろん居るだろう。

(A)(B)(C)(D)何れのタイプも企業の「営利の追求」という存在目的から考えて、「営利に逆行」する存在だということが分からないだろうか。

一つ一つ検証してみたい。

時間泥棒が何故悪いかが分からない奴はバカである

こんなこと一々説明しなければならないこと自体、私には信じられないことなのだが、いくら説明しても「相手の時間を奪うことは、相手の金や物を奪うことと、同じである」ということが全く理解できない人々が一定数存在する。
一体何が分からないのか理解に苦しむが、一応説明しておく。

人は時間と労力を投入して生産活動を行う。
これを労働と呼ぶ。
労働時間はそのまま生産量に繋がる。
同じ働き方をすれば労働時間を増やせば生産される価値の量も増える。

企業社会では労働者の時間あたりの賃金が定められ、労働時間に応じて賃金が支払われる。
生産性はその組織や個々の労働者によって違うが、個々人単位では労働時間と生産量には相関関係があることを否定する企業人は少ないだろう。

同じ人であれば4時間働けば4時間分の価値を生産し、8時間働けば8時間分の価値を生み出す。
生産性は経営者や管理者の責任なので広義には個々の労働者の責任では無い。
個々人の努力不足により生産性が上がらない場合もあるが、それも含めて生産設備や計画・生産手法を考える監督者の責任だろう。ミスの監督も含めて。

仕事中に呼び止めて口頭伝達をする。
相手の都合も考えずに電話を掛ける。
特に課題も決まっていないのに直ぐに会議を開く。
定例会をダラダラと続ける。

こういった行為は関係者の労働時間を奪い、その奪った時間で生み出されるはずの価値を毀損している。
本来なら、その奪われた時間でより多くの生産活動ができたはずなのに、その分生産ができなくなっていることが何故分からないのか、理解に苦しむ。

「僅か数分の時間を呼び止めただけで、そんなに損失が発生しているわけないじゃん! 
大げさに考え過ぎんじゃ無いの ?」
と時間泥棒は言うだろう。

よく考えて欲しいのだが、組織や業界が丸ごと時間泥棒の価値観に染まっていたら、そこで無駄に浪費している時間と失っている生産価値はどれぐらいになるか計算してみて欲しい。

経験的に業務に関する相談は平均15分ぐらいの時間を浪費する。
一日15回コミュニケーションを取れば、225分つまり3時間45分の時間を浪費する。
一週間なら18時間45分、一ヶ月(20日)なら75時間の時間と生産価値を毀損していることになる。

一つ一つの浪費する時間は少ないかも知れないが、時間を大切にしない組織の中では、口頭伝達(会話・電話・会議)の頻度が多いので、浪費する時間の合計も多い。

これはサービス残業を当たり前に行っている企業ほど多い。
浪費した時間は従業員から搾取すれば良いと考えるからだ。

しかし政府はもはやサービス残業など認めない。
「働き方改革」を見ればわかるはずだ。
労働者は大半が消費者であり国民でもある。
消費者から奪った時間は消費そのものを減らし需要不足によるデフレを加速する。
国民から企業が奪った時間は「少子化」を生み物理的に国家の存続を危ういものにしている。
時間泥棒は、企業の収益を悪化させ、国家の敵と化している状態になっている。
いい加減に時間の浪費に対して真剣になるべきだろう。
そうしないと取り締まる側が真剣にならざる得ないことになる。

労基署や公取委が人員を増強し法規制は強化され、取り締まりが活発になっていることは知っているはずだ。

非同期文書通信は口頭伝達に比べ非常に効率が良い

口頭伝達派は口頭伝達の方がコミュニケーションの効率が良いと思っている。
しかしこれは間違いだと思う。
口頭伝達と非同期文書通信のメリットとデメリットを対比すると以下のようになると思う。

口頭伝達メリット(非同期文書通信デメリット)

番号
口頭伝達メリット
非同期文書通信デメリット)
S1
説明に手間と時間がかからない。
説明する度、文書を書かなければならない。
S2
思考を整理することなく思い付きで話すことができる。
思考を整理しないと文書が書けない。
S3
互いの感情や気持ちなど非言語的な情報が得られる。
感情など非言語的な情報を行間から読み取るのは難しい(不可能ではない)。
S4
プレッシャーをかけたり抗議したりし易い。

文書だけでプレッシャーをかけるのは難しい(不可能ではない)。
S4
話した証拠が残らないので誤魔化しが効く。
違法行為もやりやすい。
証拠が文書で残るので誤魔化しが効かない。
S5
恫喝と脅迫ができる。
恫喝・脅迫・侮辱・名誉毀損など違法行為は証拠が残るのでできない。

非同期文書通信メリット(口頭伝達デメリット)

番号
非同期文書通信メリット
口頭伝達デメリット
A1
対話相手と時刻と時間を合わせる必要がない。
相手と時間を合わせなければならない。
A2
履歴が残るので同じ事を繰り返し説明しなくても良い。
履歴が残らないので説明を繰り返す事が多い。
A3
説明の聞き手は短時間で文書を読める。
聞き手は話し手の説明時間だけ時間を拘束される。
A4
話し手も聞き手も対話の場所を選ばない、どこでも対話ができる。
対話の場所に集まらなければならない。
A5
聞き手が話を聞ける状態にあるか確認する必要がない。
聞き手が話を聞ける状態にあるか確認しなければならない。
A6
履歴と証拠が残るので「言った言わない問題」が起こらない。
証拠が残らないので誤魔化されたり騙されたりするリスクがある。
A7
パワハラ・セクハラなどが行い難いので、被害に遭いにくい。
証拠が残らないのでパワハラ・セクハラなどが行い易く被害に遭いやすい。

非同期文書通信と口頭伝達の長所と短所を比較してみたが、私には口頭伝達のメリットは殆ど無意味なものばかりに見える。
(S1)と(A2)と(A3)は互いに関連するが、口頭伝達は一見説明に時間を消費しない為、効率が良いように見える。
しかし、実際は聞き手の時間を無駄に浪費している為、会社組織が対話で浪費している時間は非同期通信より遙かに多い。

例えば5人のメンバーに30分の説明を行うことを考えてみよう。

全員を会議室に集めると全員に一度に説明することができる。
しかし話し手と聞き手共に30分の時間を拘束される。
会社が消費した労働者の時間は30分×6人で180分である。
労働者(ITエンジニア)一人の時給が4000円なら2000円×6人で12000円の浪費になる。
これで一人会議に欠席して、その一人の為に30分説明をやり直すと会社は話し手と聞き手合わせて60分の時間を消費する。4000円の浪費である。
合計すると14000円である。

これが非同期の文書による通信ならば、説明する側は文書作成に30分から一時間程度の時間がかかる。
文書を書き慣れた人間ならさほど時間はかからない。
今なら音声入力で文書作成もできるので、口頭による説明と説明文書作成にかかる時間は同じと考えるべきだろう。
説明を受ける側は口頭で30分程度の説明文なら10分程度で読めるはずだ。
大多数の人は話を聞くより文書を読む速度の方が比較にならないほど早いはずだ。
これにより会社が消費する労働者の時間は30分+10分×5人で80分である。
時給が4000円なら5334円の浪費だ。
仮に文書作成に60分かかっても110分で7334円である。
メンバーが遅刻することもないのでこれ以上かからない。

これがメンバー10人いれば、口頭伝達なら30分×11人=330分=22000円。
非同期文書通信なら30分+10分×10人=130分=8667円である。

このような差が一日5回から10回、毎日繰り返されるとすれば、仮に一回30分5回としても口頭伝達なら一ヶ月に一人20万円かかる計算になる。
労働者(ITエンジニア)が10人いれば200万円だ。

これが非同期文書通信なら5人へ一人が説明するケースで80分÷6人=一人平均14分消費するとして、これが一日5回起きるとすれば、一ヶ月に9万3334円かかる。
労働者(ITエンジニア)が10人いれば94万円だ。

現在のITエンジニアの単価は60万から80万ぐらいなので現実的な数字だろう。
コミュニケーションにどれだけコストがかかるかお解りだろうか。

口頭伝達で10人なら一ヶ月200万円、3000分の浪費。
非同期文書通信で10人なら94万円、1400分の浪費。
しかも浪費した時間は生産活動ができない。
どれだけ口頭伝達で無駄なコストを掛けているか分かるだろう。

効率だけでは無い、トラブル回避のメリット

非同期文書通信は「履歴と証拠」が残るメリットがある。

履歴が残ると、聞き漏らしなどがあっても、繰り返し説明する必要が無い。
一度聞いて理解できなくても繰り返し読んで見ると理解できたりする。
つまり同じことを何度も説明しなくて良くなる。
これによる時間の節約度合いはとても大きい。

また、証拠が残ることにより「不正行為」が全て行い難くなる。
詐欺や嘘はあとからバレるし誰の責任かハッキリ分かる。
パワハラ・セクハラなども証拠が残るし、そもそも文書ではやりにくい。
言った言わない問題のような誤解も生じにくいし、誤解が起きても誰のミスが明らかにしやすい。

「正確な仕事」がし易くなるのだ。

口頭伝達のメリットはまやかしに過ぎない

一方、口頭伝達のメリットに「説明しやすい、思考を整理することなく説明できる」というのがあるが、これは聞き手の側から見れば「いい加減な説明で誤魔化されてしまう」というデメリットでしかない。
会社組織の視点で見れば「不正確な説明」を許してしまう為、コミュニケーションの品質面から見てデメリットでしかない。
誤解による手戻りや損害などで赤字を生むだけだ。

プレッシャーをかけたり恫喝したりできるというのも、マネジメントの怠慢を許すデメリットでしか無いと思う。
大体、恫喝はパワハラに繋がりやすく、パワハラ禁止法が制定されればリスクになる。

相手の気持ちが分かりやすいという利点について言えば、「社会人なら自分の気持ちぐらい文書で説明しろ」と言いたい。
気持ちを相手に察して貰うという要求自体、現代の職業人には合わないと思う。
そして気持ちを相手に察して貰うことを必要とする組織は多くの場合「自由に言いたいことが言えない組織」である。
気持ちを察して貰うより、言論の自由を要求すべきだろう。

要するに口頭伝達には組織の利益の面から見て、何のメリットも無いのだ。
人を騙したり、失敗の責任を他者に押しつけたり、自分の失敗の証拠を消し去って誤魔化したりする不誠実な人間にとって、便利なだけだ。

文章書くのが苦手というのは職業人失格ではないか ?

他の理由で口頭伝達を求める人間は「文章書くのが面倒くさい」「文章が苦手」という人間だろう。

私は仕事を進めるときは必ず、一度簡単な文章に書き起こしてみて、考え方に矛盾が無いか、漏れが無いかを考えてから、仕事を依頼したり相談したりする。
だいたいその時、そのメモを見せながら相談する。
だからあまり相手にメモを取らせることもない。
文書にすると効率が良いのだ。

文章を書かずに仕事を進めるタイプの人間は大体よく考えないで仕事を進める人が多く、依頼や指示の内容が間違っていたり矛盾や漏れが多く「もっとよく考えてから相談しろ」と相手に言ってしまうような仕事の進め方が多い。
相手が傲慢な性格だとそのまま強引に要求を通そうとするが、私はこういうとき遠慮することなくケンカすることにしている。
無理に要求を受けても失敗し責任を押しつけられるだけだからだ。
若く気が弱かったときはこれで相当損したこともあるが、さすがに私も学習した。
他人の失敗の尻拭いはしてはいけない。
失敗した本人に責任を取らせなければならない。
それが顧客であってもだ。

「文章書くのが面倒くさい」「文章が苦手」という人間と仕事をしてはいけないし、そういう人間は職業人失格だと思う。

文章のトレーニングぐらいブログやSNSで楽しみながら簡単にできるのだからやれば良いでは無いか。

自分の時間を奪われるのは許さないが、他人の時間は奪って良いと考えるジャイアニズムは論外だ

この手のタイプ、実は企業社会にはとても多い。
デフレの影響で「お客様は神様です」という価値観が蔓延してきた為、「正確な仕事」をする上でボトルネックになるような無駄な階級のようなものが、企業社会に沢山出来上がってしまった。
正規雇用と非正規雇用、元請けと下請け、派遣と社員など、あらゆるところに固定的な階級が形成され、上の階級がジャイアニズムで仕事を進めるようになった。
金融緩和による雇用の改善を見れば分かるように、デフレと違い今は働き手や受託者側がかなり有利になってきている。
少なくとも「売り手と買い手は原則対等」と主張しやすくなってきている。
営業やマーケティングなども個人でできるようになっているので、ジャイアニズムに染まった顧客は切り捨てれば良い。
新しい顧客を探した方が楽だろう。
一度ジャイアニズムに染まった組織は自浄するのは恐らく無理だ、下請けが離れていくだけだろう。
組織の遺伝子は簡単には変えられないのだ。
業務改革には大変な努力が必要だ。
下請けや派遣などに甘えていた組織にそんな努力はできない。

口頭伝達に頼るのは甘えでしかない

口頭伝達に頼る仕事の進め方が一部に広がっていて、その中に設計書作成にパワポだけを使い文書を書かないSEがいる。
パワポは図を書くには便利だが、設計書は基本的に文書であるべきだ。
そいう文書を書かないSEはどういう仕事の進め方をするかと言えば、設計書を渡し開発をする担当者ごとに一々設計書の内容を説明するのだ。
読んだら理解できる設計書を書けば良いではないか。
文書を書かずに図だけで済まそうとするからそういう無駄が生じるが、本人は無駄とも思っていない。

口頭伝達に頼る仕事の進め方は結局のところ「堕落」しか生まないと思う。
口頭伝達文化の弊害に気付くべきだろう。

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