人口減少社会なのに現在と同じインフラを維持しようとするからコンパクト化が必要になる。非接続型インフラを作れ

2019年2月16日土曜日

経済政策 時事 政治

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最近地方都市で「人口減少でインフラを維持できない為、居住区を縮小しなければならない」という話を頻繁に聞く。

私はこの話に違和感を感じる。
「何故コストのかかる現在のインフラを維持するのだ、昔のコストのかからないインフラに戻せば良いではないか」
と思うからだ。

私は札幌市の西部の出身で割と田舎だったため子供の頃は水洗便所すら普及していなくて汲み取り便所だった。
小学生のころ水洗便所になったが、汲み取り便所を体験している。
正直なところ特に不便というわけでもなかった。
便器に物を落とすと大変だが、それ以外は特に問題はなかった。

「人口減少でインフラを維持できない」のは「接続型インフラ」だからだ。
昔の田舎では「汲み取り便所」なのはインフラのコストが安いからだ。
人口密集地帯では下水道を引いた方がインフラ維持費は安いが、人口密度の低い田舎では「汲み取り便所」のような「非接続型インフラ」の方が維持費が安くなる。

現代のインフラは「接続型インフラ」ばかりになっている。
都市生活圏の生活インフラも「接続型インフラ」を維持することばかり考えている。
だから「コンパクト化」などという無茶な都市計画が出てくる。

コンパクト化は経済成長を阻む愚作

コンパクト化とは人口減少都市で、人々を都市の中央に引っ越しさせて都市の領域を縮小しインフラ維持費を削減する都市計画だ。

コンパクト化は現在の接続型インフラによる利便性を維持することを前提にした人口減少対策だ。
個人的には非常に愚かな人口減少対策だと思う。
折角、人口減少により少人数で広い土地を使えるようになるのにその可能性を自ら潰してしまうのだ。

人口減少社会において経済成長を維持する為には、一人当たりの消費(需要)を増加しなければならない。
その手段の一つとして、一人当たりが使用する土地面積の増加は一人当たりの消費を拡大する手段として有効だ。
使用できる土地が広ければ家具や家電製品も多く必要になるし自動車も二台買うかも知れない。
友人知人の宿泊往来も活発になるだろう。

コンパクト化はそういう住居面積拡大による消費の拡大の可能性を潰してしまう。
現状維持どころか縮み思考のセコイ発想だ。
創意工夫や創造性というものがまったく感じられない、只の現状維持だ。
少しは頭を使えと言いたい。

アメリカやオーストラリアの田舎や北海道のようにインフラを作れば良い

私は北海道の札幌郊外の出身で昔は接続型インフラが十分に普及していなかったので非接続型インフラがインフラの主流だった。

接続型インフラは水道と電気と電話だけだ。

子供の頃、便所は汲み取り便所で定期的にバキュームカーが糞尿を回収しに来ていた。
下水道が来たのは小学生のころだ。

ガスはプロパンガスで定期的に業者が大きなガスボンベを交換に来る。

暖房は灯油が主流で北海道の家では大きな灯油のタンクが設置されているのが普通で定期的に業者が灯油を補充しに来る。

食料などは生協のような通販が主流だ。
他に近くの農家が各家庭まで直接作物を売りに来る。
トウモロコシやスイカ、メロンなどは農家から安く購入していた。
ジャガイモなどは簡単に栽培できるので近所の空き地で地主の許可を貰って栽培したりしていた。

こんな感じで非接続型インフラで結構マトモな文明生活を営むことが出来ていたのだ。
上記の下水道以外は今でも非接続型インフラだ。

アメリカやオーストラリアなどはもっと広大な土地を使用しているので接続型インフラだけでは社会を維持できないだろう。
映画やドラマなどではアメリカの田舎の家にはよく大きな貯水タンクが設置されていることがある。

オーストラリアなどは田舎の方では学校を設置できないので通信教育で子供の教育をするらしい。
あれだけ巨大な国土に分散して居住しているのだから広大な土地に居住する為の様々なノウハウがあるはずであり、インフラに関しては人口減少で土地が余っていく日本の役に立つ知識があるはすだ。

コンパクト化など考える前にアメリカやオーストラリアの田舎や僻地のインフラについて調べてみるべきだろう。
北海道ですら有る程度参考になるはずだ。

考えられる非接続型インフラ

現在実用化されている技術で考えられる広域非接続型インフラを考えてみたい。

上水道

これは先に紹介したように各家庭に「貯水タンク」を設置し定期的に給水車で飲料水を補充する体制にすべきだろう。
人口が少なく居住範囲が広いのならこの方がインフラの維持費は安くなるはずだ。
貯水タンクを大きくすれば給水の周期を減らせるはずなので採算ベースに乗せることは可能なはずだ。

下水道

これも汲み取り式にすれば解決する。
数十年前の日本で普通に運用されていた方法なので実現できないはすがない。
今の最新技術を駆使すればもっと効率と衛生面に優れた方法を開発できると思う。
例えば昔トイレメーカーが未来のトイレ構想を提案していて、それによると、トイレで排泄した時点で糞尿を高温の密閉容器で乾燥させて普通のゴミのように廃棄するというのがあった。
これだと糞尿の保管も衛生的になり容積も大幅に減る。
輸送も容易になりコストも下がる。

ガス

これは現在のプロパンガスで良いだろう。
技術も確立されており流通網も完成されている。
新しい技術を必要としない。

電力

土地の特性によるが非接続型電源として有力なのは太陽電池とガスを燃料とする燃料電池だろう。
太陽電池は現在電力会社に無理矢理買い取らせており非常に多くの無駄を生じている。
太陽電池は発電効率がお世辞にも良いとは言えず公衆電力網で流通させる電源に相応しいとは思えない。
公衆電力網で流通させるなら大規模火力発電と原発と場所を選ぶ地熱発電によって発電された電力が望ましい。

太陽電池の良いところは「どこでも設置できる」点にあり末端電源に使用するべきだ。
公衆電力網に繋ぐべきではない。

非接続型インフラ電源としては理想的な電源である。
電力の不安定はバッテリーで調節すれば良い。
スマホやモバイル機器や電気自動車の発達でバッテリーが非常に進歩している。
太陽電池とリチウムイオン電池の組み合わせで戸建ての電力は殆ど賄えると思う。

ちなみに太陽電池が設置できる土地なら風呂用のお湯は太陽熱を使用するソーラーシステムを使用するのが良い。50度程度なら冬でもお湯を作れるらしい。

気候などの問題で太陽電池が設置できない場合でも、ガスによる燃料電池が使用できる。
現在のガス燃料電池は都市ガスで使用するものだがプロパンガスを使用すれば完全に非接続型インフラが実現できる。
都市ガスとプロパンガスで大きく成分が違うわけでもないのでプロパンガス版の燃料電池は容易に開発できるはすだ。
もしかしたら既に有るかも知れない。

燃料電池は発電時に廃熱があるのでこれで風呂用のお湯を沸かせる。
これをコージェネレーションと呼ぶ。

通信

これはモバイル機器で使用するモバイルブロードバンドで良いだろう。
現在ならLTEと4G、数年後には5Gが主流になる。
放送も電話も通信もすべてモバイルブロードバンドで済んでしまう。
人口が少なければセル半径を大きくして基地局を少なくすることもできるのでコストも引き下げることが出来る。

買い物

通販で問題ないはずだ。
札幌郊外在住の私の両親は生協を使用している。
生協、アマゾン、楽天など必要なモノは殆ど通販で買える。
田舎では農家が直接販売に来たり、無人販売したりするのでそれらを活用することもできる。

公共交通機関

将来的には自動運転車による安価なタクシーやバスなどを運用できるようになるだろう。
今すぐは無理かも知れないが今すぐ急激に人口が減少するわけでもない。
人口減少による都市の縮小が顕在化するころには自動運転バスぐらいは実用化するだろう。

ただ今すぐ必要になるものでも有る程度対処できると思う。
自動車に比べると鉄道は自動化が容易だ。
地方の公共交通機関として設置の容易な路面電車を設置し、最新技術で無人化すれば良いと思う。
センサーで障害物を検知すれば停止するようにしておけば問題は無いはずだ。
万が一の事故による賠償問題も行政が責任を取るので民間より導入が容易なはずだ。

暖房

既に紹介したが北海道では各家庭に大型灯油タンクが設置されており定期的に灯油を補充している。
これで間に合うはずだ。


非接続型インフラで居住面積を広げることができる

都市部の中央に行くほど地価は高くなる。
当たり前のことだ。
コンパクト化はわざわざ中央の地価の高い地域へ住民を移動させて高い土地で狭い住居に我慢して居住する愚かな都市政策だ。

非接続型インフラにより人口密度の低い都市を実現すれば地価は安くなり人々は広い家に居住することができるようになる。
国民が広い家に住めば消費も活発になる。
消費が活発になれば経済も成長する。
一人当たりの消費額の成長が人口減少率を上回ればGDPは成長する。
人口減少率はしばらくは0.2%程度で現在の実質成長率より大きく下回る水準だ。
成長を阻害するほどの影響はない。

人口減少をネガティブにしか捉えない言説ばかり吹聴されるが、人口減少にほ先人の資産を少人数の子孫で分け合えるメリットがあり悪いことばかりではない。
育児教育面での少子化対策は行うべきだとは思うが、少子化は世界の先進中進国の殆どで起こっている現象で日本だけが人口減少するわけではない。
仮想敵国の中国でも日本以上の少子化が起こっている。

少なくとも安全保障や経済成長の面でみれば緩やかな人口減少がしばらく続いてもさほど問題はない。
日本の人口は九千万人ぐらいまで減少するだろうがそれ以上減少はしないと思う。

永遠に人口が増え続けることも減り続けることもないからだ。
何れ増加に転じたり減少が止まるときは来る。
日本は現時点で1億2680万人ほどの人口を有しているのだから多少減少しても国力はさほど衰えない。
他の国も人口は減少するのだから国際競争上もあまり心配しなくて良いと思う。

そんなことより先人からより多く受け継ぐ資産を如何に有効活用するかを考えるべきなのだ。
コンパクト化は先人から相続した土地や建物をドブに捨てる愚かな選択だ。
相続した土地や建物は積極活用して豊かに使えば良いではないか。
なぜわざわざ貧しくなろうとするのだろう?
インフラの維持などこれまで説明した非接続インフラを構築すれば低コストで広範囲のインフラを維持できるはずだ。

また、コンパクト化の背景には「税金の無駄遣いをしてはいけない」という緊縮財政論があると思う。
過去の記事で説明したように、「政府の負債は民間の資産」なので政府が負債を減らせば民間の資産が減る。
GDP の一部は政府支出なので政府支出を減らせばGDPも減る。
GDPは三面等価の法則により、「国民の所得の合計」と「消費(支出)の合計」と「付加価値(利益)の合計」は全て一致する。
政府支出が減れば国民の所得が減るのだ。

水道法改正のようにインフラの経営に合理化が必要なのは理解できる。
しかしコンパクト化のように資産を捨ててまで行政支出を減らす緊縮財政政策は国民を貧しくする点で間違った政策だと思う。

国民は資産を捨て政府支出を減らすような緊縮財政論から離脱すべきだ。
経営の合理化と緊縮財政論は違うのだ。

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オッサンです。実務経験は Windows環境にて C#,VB.NET ,SQL Server T-SQL,Oracle PL/SQL,PostgreSQL,MariaDB。昔はDelphi,C,C++ など。 趣味はUbuntu,PHP,PostgreSQL,MariaDBかな ?基本無料のやつ。

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