財務省が緊縮財政を進める理由

2019年1月3日木曜日

経済政策 政治

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財務省が緊縮財政を進める理由

財務省は何故、デフレを悪化させ日本経済を縮小しGDPを減らすことになる緊縮財政を頑なに実施しようとするのだろう?
何故、「正しい経済政策」の面から見て、返済する必要の無い円建ての国債を一般会計(税収)で返済しようとするのだろう。
国債は通貨や有価証券のように取引に使用されており、国債を返済する行為は通貨をシュレッダーにかけるに等しい愚かな行為だ。
一万円札や価値のある会社の株券を燃やしているのと同じだ。
通貨や債券、有価証券などを消し去れば、その債券を用いて行われていた取引や消費が無くなってしまう。
その分、取引市場が縮小してしまう。
何故、経済が縮小するようなマネを財務省はするのだろう。

その答えは「財政法4・5・6条」と「特別会計法42条」にある。
以下に条文を掲載する。
重要な部分を太字にした。


財政法

第四条 国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。
○2 前項但書の規定により公債を発行し又は借入金をなす場合においては、その償還の計画を国会に提出しなければならない。
○3 第一項に規定する公共事業費の範囲については、毎会計年度、国会の議決を経なければならない。
第五条 すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。
第六条 各会計年度において歳入歳出の決算上剰余を生じた場合においては、当該剰余金のうち、二分の一を下らない金額は、他の法律によるものの外、これを剰余金を生じた年度の翌翌年度までに、公債又は借入金の償還財源に充てなければならない。
○2 前項の剰余金の計算については、政令でこれを定める。


ご覧のように財政法4条は「公債・借入金を国の財源にすることを原則禁止」している。
但し例外が認められていて「国会の議決を経た金額の範囲内で、公債・借入金を財源にすることを認める」。
しかしその使途は「公共事業費・出資金及び貸付金」の財源に限られており、教育費・大学研究費や福祉、生活保護などの財源にすることは認められていない。
どうしてこの国が「土建国家」になったのか分かるような気がする。

財政法5条は日銀は政府から直接国債を買ってはならないと規定しているが、現実は政府が民間銀行に国債を買い取らせ、それを日銀が民間銀行から新規通貨で買い取っているので、実質意味の無い法律と化している。

財政法6条は税収が黒字会計になったら黒字を累積債務の返済にあてろ!と義務づけている。
こんな法律に従っていたら発行済み国債を長期的に全て返済することになる。
1090兆円の「第二の通貨」を燃やす為に。

次に特別会計法を掲載する。


特別会計に関する法律

第四十二条 第六条の規定にかかわらず、国債整理基金に充てるため、毎会計年度、予算で定める金額を、一般会計から国債整理基金特別会計に繰り入れるものとする。
2 前項の場合において、国債(一般会計の負担に属する公債及び借入金(政令で定めるものを除く。)に限る。以下この項及び次項において同じ。)の償還に充てるために繰り入れるべき金額は、前年度期首における国債の総額の百分の一・六に相当する金額とする。
3 前項の国債の総額の計算に際し、割引の方法をもって発行された公債については、発行価格をもって額面金額とみなす。
4 前三項及び他の法律の規定による繰入れのほか、国債のうち割引の方法をもって発行された公債については、前年度期首における未償還分の発行価格差減額を発行の日から償還の日までの年数で除した額に相当する金額を、毎会計年度、予算で定めるところにより、一般会計から国債整理基金特別会計に繰り入れるものとする。
5 前各項及び他の法律の規定による繰入れのほか、国債の円滑かつ確実な償還を行うために必要があると認める場合には、予算で定める金額を、一般会計から国債整理基金特別会計に繰り入れるものとする。
(剰余金の処理の特例)



国の歳入(税収と国債発行)から一年(会計年度)ごとに決算を必要とする予算を「一般会計」と呼ぶが、特別会計法42条では、発行済み国債総額の1.6%をこの一般会計から返済することを義務づけている。
財務省は年間15兆円弱を一般会計から国債の返済に充てている。
累積債務が1000兆円なら1.6%は16兆円である。
だいたい現実と一致している。


2019年1月7日追記(訂正記事)

上記の財政法4条の解説で
『しかしその使途は「公共事業費・出資金及び貸付金」の財源に限られており、教育費・大学研究費や福祉、生活保護などの財源にすることは認められていない。』
と書きましたが、この解釈は正しくなく、「特例公債法」という法律を毎回制定議決することにより歳入の赤字分を公債で賄うことが許されるそうです。
この法律は毎回名前が違うようで、今期の特例公債法の名前は
「平成二十四年法律第百一号 財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律」
となります。
イーガブで検索できないわけだ。

しかし、特例公債による歳入赤字の補填が可能でも、まだ特別会計法42条の返済義務が財政負担になるのは変わらないので、このブログ議事の結論は変わりません。


財務省は法律を守っているだけ

財政法4条と特別会計法42条を見る限り、財務省は法律を守っているだけと言える。
「正しい経済政策」の視点から見て、法律が間違っているのだ。

財政法4条は日本経済が成長することを否定している。
日本政府は日本国という会社の経営部門だ。
日本経済が成長すれば資産も負債も両方増えるのは当たり前だ。
その時代の経済状態によって高度成長期のように企業が負債を引き受ける時代もあれば、デフレ期のように政府が負債を引き受ける時代もある。
今がまさにその時代だ。
財政法4条は政府が負債を引き受けることを認めていない。
また、特別会計法42条は発行した国債を返済によって消し去ることを義務づけている。
「第二の通貨」を燃やしてしまえと義務づけているのだ。
毎年、国債総額の1.6%という返済基準まで指定して。

会社の場合も売上が伸び利益が増えればバランスシートの資産と負債は両方増えて会社が大きくなる。

財政法4条は国家の経済成長を否定している。

このような法律があれば財務省の不可解な緊縮財政や財政均衡主義を頑なに執行する理由が理解できる。

財務省悪玉論が経済クラスタのTLを飛び交っているが、仮に財務官僚が本当に日本を緊縮で滅ぼそうとしている悪の組織だとしても、財政法4条的にはその行動は正しく批判することが出来ない。
私は別に財務省の弁護をする気は無いが、現在の財務省の緊縮財政は合法だ。

「税務署を年金機構と統合して歳入庁を作れ」とか「財務省を解体して各省庁にその機能を分散しろ」などの意見が聞かれるが、財政法4条と特別会計法42条を改正しなければ、歳入庁を作っても財務省を解体しても、後を引き継いだ官庁がまた法律に従って緊縮財政を実施するだけだ。

正しい経済政策を実施するには法改正が必要だ

「正しい経済政策」を実施するには財政法4・5・6条と特別会計法42条を改正しなければならない。
もしかしたら、その上で財務省の改革や解体が必要になるかも知れないが、財務省の内部のことは分からないので財務省を中心とした省庁改革には触れない。

少なくとも、法改正を実施しなければ「公共投資と出資金・貸付金」以外の財源に国債を当てることができない。
また、国債総額が増えれば増えるほど、一般債務からの国債返済額は増えることになる為、新規国債を発行し難くなる。

財政法4・5・6条と特別会計法42条は、「正しい経済政策」を実施できる内容に改正する必要がある。
改正の要点は、次のようになる。

・国債価値が下落しない範囲(金利高騰しない範囲)で国債を発行することが出来る。
・国債を日銀が政府から直接買い取ることができる。
・国債は日銀が優先的に買い取る。市中銀行は後回し。
・日銀の引き受けた国債は償還期限の無い「永久債」とする。
・市中銀行の引き受ける国債は現状と同じ「償還債」とする。
・現状の国債の返済義務は償還債にのみ適用され、永久債には適用されない。
・日銀の通貨発行は国民へ直接「定額給付」で実施する。

国債を発行しすぎると国債の価値が下がり金利が高騰する。
国債の価値は通貨の量に対する国債の量で決まるので、国債発行量が通貨発行量を超えなければ国債の価値は下がらない。
日銀が新規発行通貨で国債を全て買い取る形にし、それ以上国債を発行しなければ国債の量は新規発行通貨の量を超えることはない。
だから日銀が直接国債を買い取る制度に変更し、市中銀行には非常時以外は原則として国債を売らない。
非常時とは災害や戦争などで緊急に多額の予算が必要になった場合、一時的に通貨発行量を超える国債の発行を認める制度にする。
その場合、市中銀行に売った国債は現行法と同じで返済の対象とする。
長期的には市中銀行から国債は消滅する。
日銀が回収した国債は全て永久債にして償還はしない。
現在の金融緩和(通貨発行)は市中銀行の保有する国債を日銀が新規発行通貨で買い取ることで行っている。
これを「買いオペ」と言う。
この制度だと市中銀行から国債が消滅してしまうので買いオペが出来ない。
通貨発行するには日銀が直接国民に通貨を定額給付する必要がある。
市中銀行に通貨を配ることも出来るがこの場合、銀行には現預金が蓄積することになる。
銀行にとって現預金は負債なので銀行経営を圧迫してしまう。
国民への定額給付ならそのまま国民の所得増加になるので消費の増加に繋がる。
この方がインフレ率の調節もし易い。
日銀は通貨発行により国債を購入し残りの通貨を国民に分配する。
現在の日本に当てはめると日銀が80兆円の通貨を発行し、政府から31兆円の国債を購入し、49兆円を国民に定額で分配することになる。
一人あたり年額38万円強ぐらいの金額になる。

この考え方は私のオリジナルではなく、経済学者の井上智洋氏の考え方を参考にしている。
井上智洋氏は社会保障制度まで踏み込んだ大胆な貨幣制度改革を描いている。
この法改正案は井上智洋案の一部を借用して考えたものだ。

井上智洋氏の貨幣制度改革に興味があれば、以下の本を読むと良い。


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オッサンです。実務経験は Windows環境にて C#,VB.NET ,SQL Server T-SQL,Oracle PL/SQL,PostgreSQL,MariaDB。昔はDelphi,C,C++ など。 趣味はUbuntu,PHP,PostgreSQL,MariaDBかな ?基本無料のやつ。

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