有期雇用で雇用流動化は実現できる(専門業務に限る)

2019年1月23日水曜日

システム開発

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ITシステム開発業界では解雇規制緩和に関する話題が持ち上がっている。

この話題は特定の人や法人が主張しているわけではなく、業界全般に持ち上がっている話題である。

雇用契約の種類

一般に「正規雇用」「非正規雇用」と呼ばれているものは労働契約法では「有期雇用」「無期雇用」と呼ぶ。
有期雇用は五年以内の期間の定めのある雇用契約を結べる。
雇用契約期間中は解雇できないが契約雇用期間満了したら契約終了することができる。



解雇規制緩和がITシステム業界に必要と言われる訳

システム開発時とその運用時は必要とされる情技師(ITエンジニア)の人数が違う。
通常、システム開発時は沢山の情技師を必要とするがシステムが完成し運用に入ると少人数の情技師で運用することが出来る。

もし、システム開発時に必要な人員を全て無期雇用(正規雇用)で雇用してしまうと企業は運用時に余剰人員を抱えなければならない。
大半は運用期なのでこれは企業にとって大変な負担になる。

そこで日本ではSIerと呼ばれる受託開発業者が発達したと言われている。

ただ、SIerに置いても上記のユーザー企業と同じ事が当てはまり、開発案件が無いときは情技師が余剰人員になってしまう。
その為、派遣業やSES業者、常駐フリーランスのエージェント(仲介業)が発達した。
ただこれらは偽装請負の温床になり易く問題になってきた。

これらの問題の解消の為に「無期雇用の解雇規制緩和」を実施しユーザー企業が直接、情技師を雇用する。
情技師がシステムを開発し、運用期に入ったら解雇する。
情技師は他の会社のシステム開発に就職する。
プロジェクトごとに情技師が集まる。
このような流動的雇用が必要だと言われている。

解雇規制緩和と同じ情技師の流動的雇用は有期雇用でも実現できる

上記の流動的雇用は有期雇用でも実現できる。
現在の派遣やSES、フリーランスによって実現されている流動的雇用は、次のように同様のモノが実現できる。

現在の派遣業やSES業者がそのまま人材紹介業者に業種変更する。
有期雇用専門の情技師を紹介業者が登録し、システム開発を開始するユーザー企業へ紹介する。
契約満了した情技師は再び紹介業者に次のユーザー企業を紹介して貰う。
現在の派遣業やSESと殆ど同じだ。

派遣業やSES業者の収益は情技師の賃金からのマージン収入だが、紹介業者は紹介フィーを紹介先から稼ぐ。

情技師はユーザー企業に直接雇用されるので、中間マージンが抜かれることも無い。
労働法が適用されるので実質労働者のフリーランスの問題も解消する。
SIer業界で問題になっている多重請負問題も解消できる。

失業リスクがあるので有期雇用の賃金は無期雇用より高く設定すべきだろう。

これらが法改正なしの現行法で実現できる。

無能な従業員を解雇したいという要望も

解雇規制を緩和したい理由として「無能な従業員を解雇したい」というものがある。
これも有期雇用で対処できる。
新規、中途の入社組は当初三年ぐらいの有期雇用契約で雇用する(いわゆる試用期間)、三年後に能力が無いと判定したら契約解除すれば良い。
優秀なら無期雇用に転換する。

もしその後で「やっぱり無能だった」とすればそれは会社の人事担当の失敗である。

後で出世などで能力が発揮できなくなるなども、会社の人事と管理担当の責任だと思う。

無期雇用は解雇できないわけではない

現実には無期雇用も解雇されている。
最近は大企業の中でも50代の整理解雇が行われている。
中小なら普通に行われる。

辞めない場合も賃金を下げることは通常はできる。
規制はあるが解雇規制ほどではないし、同時に退職金増額の整理解雇の応募をだせば中高年の整理解雇は可能だ。
賃金引き下げは退職を考える強い動機になる。
無期雇用の解雇が難しいのは事実だが、まったく解雇できない訳ではない。
いくらでも合法的方法はあるばずだ。

経営が苦しければ整理解雇も可能である。

また解雇するまでもなく、直接本人と話合って退職を要請し、転職活動に協力して転職先が見つかったら自主退職してもらうということも不可能ではないと思う。
転職は好景気にはやりやすい。
むしろ現在はこのほうがスムーズに退職を促せるのではないか。

また、能力的に本当に問題あれば金銭解雇は可能なはずだ。
私の知る有る会社ではどう教育しても性格的に指導の難しい社員の解雇をするにあたり、社長がその社員の親御さんの家を訪問し、頭を下げて解雇することを謝罪し了承を得たそうだ。無論、会社都合の金銭解雇である。
ダメ社長はパワハラや虐待などで自主退職に追い込もうとするが、合法的に解雇は可能である。

解雇規制緩和の議論は乱暴である

解雇できなくなるのは、いきなり無期雇用で雇用するからだ。

最初は有期雇用契約で初めて、後から無期雇用にするか、技術人材は有期雇用専任にして二年ぐらいで別の会社へ渡り歩く体制にすれば、雇用流動化は実現できる。

現在の解雇規制緩和の議論は有期雇用の存在を無視している。
一般に非正規雇用と呼ばれる有期雇用は本来は「専門的知識等を有する人材」に適した雇用体制だと思う。
情技師にこそ相応しい雇用契約だと思うが、解雇規制緩和の議論をしている人々は有期雇用契約の存在すら調べずに「無期雇用契約の解雇規制緩和」を要求している。
はっきり言ってアホだと思う。

現行法をよく調べて、雇用流動化を可能とする法や方法が無いか調べてから議論しても遅くは無いだろう。
議論すらできないようだが。

現在の無期雇用契約の解雇規制緩和の議論は乱暴すぎる。

wikipedia 正規社員の解雇規制緩和論

<当日追記>
wikipedia 正規社員の解雇規制緩和論


これを読んで少し意外だったのが、経済学者のなかに解雇規制緩和反対派が意外に多いことだ。

解雇規制緩和賛成派

八田達夫
竹中平蔵

解雇規制緩和反対派

大竹文雄
原田泰
野口旭
田中秀臣
安藤至大
伊藤修
濱口桂一郎

反対派は解雇規制緩和による雇用の流動性拡大に疑問を持つ人が多い。
私も「雇用の流動化は完全雇用で実現する」で述べたように解雇規制緩和で雇用流動性はさほど拡大しないと思っていた。


解雇の困難性

引用

OECDから2013年11月に発表された『雇用保護指標(Employment Protection Indicators)』(2013年)によれば、日本の一般労働者の雇用保護(「解雇手続の不便さ(regular procedural inconveniences)」「解雇予告期間および解雇手当(notice and severance pay)」「解雇の困難性(difficulty of dismissal)」の総合指数は、34か国中低いほうから10番目、有期労働者の雇用保護は、低いほうから9番目とされている。
ロイター通信は「日本の雇用慣行の硬直性は、国際比較でも群を抜いている。世界経済フォーラムの2012年のリポートでは、社員の採用・解雇のやりやすさに関するランキングで日本は144カ国中134位」とした。

諸外国に比べて解雇規制が厳しいというのも誤解のようだ。


解雇規制緩和を主張する意見の前提には多くの嘘が含まれている。
日本は本当に諸外国に比べて解雇が困難なのか再確認する必要があると思う。
元になっているテータが間違っていたら正しい結論など出てこない。


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オッサンです。実務経験は Windows環境にて C#,VB.NET ,SQL Server T-SQL,Oracle PL/SQL,PostgreSQL,MariaDB。昔はDelphi,C,C++ など。 趣味はUbuntu,PHP,PostgreSQL,MariaDBかな ?基本無料のやつ。

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