安倍政権は法制約の中で順当な財政支出をしている

2019年1月3日木曜日

経済政策 政治

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法改正を実施しなければ教育・福祉は削られる一方だ


先に書いたが、財政法4条は「公共事業費・出資金及び貸付金」以外の使途の財源に国債を充てることを禁じている。

近年、大学の予算削減が進んでいる。
学校教師の非正規社員化も進んでおり、教員の所得が低下していると聞く。
また、教員の労働時間などの待遇も悪化していると聞く。
デフレ対策中なのに何故か生活保護費は削られる一方だ。
デフレ対策としては教育や大学の予算、生活保護費などは全部増額して有効需要を増大させるべきなのだが、何故か逆の政策を実施している。
ここ4年ほど、これが不思議でならなかった。

財政法4条の条文読んで全て分かった。
現在の日本政府は過去のデフレ対策で累積債務が1090兆円ほど溜まっている。
「正しい経済政策」的にはこの国債はそのまま債券として流通させておけば良いので、返済する必要は無い。
しかし今の財政法4・6条と特別会計法42条は長期的な国債の返済を義務づけている。
法に従うと累積債務の1090兆円は長期的に返済しなければならない。
税収増加でプライマリーバランスが黒字になれば財政法6条に従って国債返済額を増やさなければならない。
つまり国債発行財源は教育福祉に使えないから教育福祉費は減らさなければならない。
プライマリーバランスが黒字になっても国債返済額が増加して教育福祉費に回せる予算が増やしにくい。
財政法4・6条と特別会計法42条を改正しない限り、教育福祉費は減らされ続けることになる。
教育・大学・基礎研究は国家の成長のエンジンであり採算度外視で投資を増やさなければならない部分である。
福祉・公的扶助・生活保護などは国民の最後のセーフティネットである。
教育が十分に受けられない雇用不安定な労働者は、所得と資金が枯渇して公的扶助の世話になる確率が高い。
公的扶助が十分に受けられない状況が増せば死ぬ確率が増す。
現行法は国民の死亡確率を教育と公的扶助を削ることで増大させている。

この二つの部門が今後数十年かけて少しずつ弱体化していけば、冗談抜きで日本は滅びると思う。
国債を全額返済したころには日本はどこかの植民地になっているかもしれない。

安倍政権は法制約の中で順当な財政支出をしている


安倍政権は2013年には大規模な公共投資で積極財政を試みたが人手不足の壁にぶつかり、予算を消化できなかった。
結果として2014年には公共投資を縮小した。
当初公共投資で有効需要を拡大しようとしたが人手不足で叶わず、その後鉄道など他の分野への投資を拡大しようとしたが、それも十分に拡大できず、その後財政出動が十分に増えなかったので、私は安倍政権は何故国債発行を増やして財政出動を拡大しないのか不思議に思っていた。
私は安倍政権の財政出動を「半縮財政」と呼んで批判していた。

しかし、財政法の条文を読んで考え方が反転した。
「正しい経済政策」的には国債は80兆円まで発行できる。
しかし財政法制約で国債総額が増えれば一般会計から返済しなければならない国債費が増え続ける。
また、国債を財源にできる使途は財政法制約で公共投資だけなので人手不足の中では十分な需要拡大政策が取れない。
入管法改正も何故「特定技能」を新設したかは、ここに関係があるのかも知れない。
入管法改正自体は流入外国人の入国制限の強化であり外国人労働者を増やす政策ではない。
2017年に19万人流入していた外国人を7万人以下に抑制するのだ。
(5年で34万人の上限のコト)
ただ完全に外国人の流入を遮断することも可能なのになぜ年間7万人の入国枠を設けたのか。
それは人手不足により公共投資を拡大できない状況を打破する必要があったからではないか。
人手不足は設備投資を促し生産性を上げるので人手は不足していたほうが良い。
だから経済クラスタは外国人労働者の入国許可に反対する。
しかし人手不足で公共投資出来なければそもそも有効需要を拡大できない。
有効需要が拡大しなければ企業は設備投資をしない。
公共投資は有効需要を増やす為の手段だ。
先に公共投資が拡大して後から有効需要が増える。
有効需要が増えたら売上上昇期待から設備投資が増えるのだ。
設備投資が増えると生産性が上がり労働者の賃金が上昇する。

しかし経済クラスタは有効需要が増える前に企業に設備投資をしろと言う。
公共投資は政府が予算を付けるだけでは実施できない。
企業が公共投資できて初めて有効需要の増加に貢献する。
人手不足で公共投資を受注できなければ有効需要は増えない。
有効需要が増え無ければ企業は設備投資をしない。
たから「特定技能」が必要なのだろう。

経済クラスタは公共投資から賃金上昇に至るまでの因果関係を逆さまに考えている。
公共投資→有効需要拡大→売上増加→設備投資→生産性向上→賃金上昇
の順番が正しいと思うが、経済クラスタは
公共投資→設備投資→生産性向上→売上増加→賃金上昇→有効需要拡大
と考えているように見える。
設備投資の原資はいったいどこから来るのだろう。

経済クラスタは財政法制約を知らない。
有効需要は公共投資以外の政府投資で拡大できると思っている。
「正しい経済政策」的にはその考えは正しい。
しかし財政法制約の中では公共投資は国債財源で出来る唯一の有効需要拡大政策だ。
公共投資が唯一になってしまうと、先に公共投資を実施しないと有効需要を拡大できない。
因果関係が重要になってくる。

他の投資が出来るなら別である。
国債を財源に定額給付を国民にばらまければ直ぐに有効需要は増大する。
しかし財政法制約の中ではそれは出来ない。

安倍政権の財政政策は財政法制約の中でギリギリ可能な最大の財政出動をしているのだ。
不十分に見えるのは全て財政法制約によるものだ。

財政法制約の中で唯一可能な有効需要拡大政策


財政法制約の中で公共投資以外に唯一可能な財政出動政策がある。
日銀が直接国民に新規発行通貨の一部を定額給付するのである。
国債を買い取った残りの通貨49兆円を分配すれば消費が増えてインフレ率が上がる。
日銀の通貨発行は政府の財政ではないので財政法の制限を受けない。
実務では日銀当座預金の残高を増やし、国民の市中銀行の口座残高を増やすだけ。
国民の情報は国税庁か年金機構から入手すればよいと思う。
簡単だと思うのだが。

安倍政権任期中に財政法改正は不可能だと思う


私の目から見ると財政の認識は3段階に分かれると思う。

(A)「正しい経済政策」が理解できていて財政法4条と特別会計法42条の存在を認識している人達。
(B)「正しい経済政策」が理解できているが財政法4条と特別会計法42条の存在を知らない人達。
(C)「正しい経済政策」すら理解できない人達。

失礼を承知で、(B)を「周回遅れ」と、(C)を「二週回遅れ」と呼ばせてもらう。

経済クラスタの大半が「周回遅れ」になってしまっている。
しかし彼らは財政法4条と特別会計法42条の条文を読めば理解できるはずなので、深刻な遅れではない。
気付けば良いだけだ。

問題は「二週回遅れ」の人々である。
彼らは「周回遅れ」に追いつくことも出来ない。
しかも「二週回遅れ」の人達は財政法4条と特別会計法42条の条文を読んでも、どこが悪いのか理解できない。
マトモな法律に見えてしまう。
「二週回遅れ」は「周回遅れ」に追いつかなければ財政法問題を理解できない。
財政法4条と特別会計法42条の条文は簡単に言ってしまうと「借金はできるだけするな。でもやむを得ず借金したときは時間をかけて全額返済しなさい」という法律だ。
企業や家計の道徳観としては極めて正しい内容だ。
しかし国家(マクロ経済)の視点から見ると明らかに間違っている。
国債は借金ではなく「第二の通貨」だからだ。
この説明は既にしたので略する。
「二週回遅れ」の人達に財政法改正の必要性は理解できない。
そして国会議員と国民の大半が「二週回遅れ」なのだ。
この状況で財政法改正は出来ない。
憲法9条改正の方がまだ、国民の理解が進んでいて実現性が高いぐらいだ。
それだけ財政法改正は難しい。
安倍政権任期中に財政法改正は不可能だと思う。

ポスト安倍で財政法・特別会計法の改正を目指せ


もし財政法を改正するなら、早くてもポスト安倍かまたその次の政権で実施することになると思う。
とても時間がかかると思う。
それまでは地道に財政法・特別会計法の問題を説明し拡散していくしかない。
何時になるかわからないが累積債務を返済してからでは遅いのは確かだ。

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オッサンです。実務経験は Windows環境にて C#,VB.NET ,SQL Server T-SQL,Oracle PL/SQL,PostgreSQL,MariaDB。昔はDelphi,C,C++ など。 趣味はUbuntu,PHP,PostgreSQL,MariaDBかな ?基本無料のやつ。

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