常に優秀な人材ばかり求める経営者は無能だと思う

2018年8月31日金曜日

経済政策 道徳常識

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「優秀な経営者」と聞いたら誰を思い浮かべるだろう?
該当者が多すぎるので一人に定まらないだろうが、私はヘンリーフォードがまず頭に浮かぶ。
何故かと言えば理由は二つ。

自社の自動車が売れる為には人々が自動車を買えるだけの所得が無ければならない。と、考え自社の社員の給料を二倍にした。
結果としてフォードは爆発的に売れた。
ヘンリーフォードは経済がよく分かっている。「最近の若者は欲が無く車も買わない」と嘆く日本の財界人とは大違いだ。

もう一つは、「フォードは優秀な人材を集めて成功したわけではない。普通の労働者を集めて成功した」という事実だ。
当時自動車の製造は自動車の全てを知り尽くした職人によって手工業で作られていた。作れる人間が僅かしか居ないため希少性が高く自動車はとても高価な製品となっていた。
もしこの時代に現在の経営者が居たら優秀な自動車職人の奪い合いをやるか、自動車職人の促成栽培をやって質の悪い職人の量産をやることだろう。

ヘンリーフォードはベルトコンベアーによる流れ作業を初めて導入した。
特別な技能を持たない普通の労働者に自動車製造の一部分だけ教育訓練し流れ作業の一部だけを任せることにより短期間で必要な技能を持つ工場労働者を多数育成でき、圧倒的に低価格の自動車を大量生産できるようになった。

ITエンジニアの求人を見ると非現実的なスキルの持ち主を当たり前のように募集している。
酷いのになると「JavaとOracleとWebの実務経験10年以上でマネジメント経験豊富な二十代の若者を募集」という普通に考えたらあり得ない優秀な人材を堂々と募集していたりする。

優秀な人材をやたらに募集しているわりには日本のIT産業は世界的には存在感が無いのは衆知のことと思う。
なぜこうなるかと言えばソフトウェアというモノは皆で同じモノを使うから価値があるのたが、日本のユーザー企業は自社のやり方に固執して専用ソフトウェアを作りたがるから価格は高騰し他社は利用できないため生産性も利益率も向上しないのだ。

諸外国は汎用ソフトウェアを買ってきて業務をソフトウェアに合わせて運用する。だから価格競争力が付く。

財界人は「日本は人件費が高いから国際競争力が維持できない」と今まで言ってきたが価格は人件費だけで決まるものではない。技術が十分に経営に生かせていないのではないか。
もっとも現在の日本は決して人件費の高い国ではなく価格競争できない理由にはならない。財界人は次にどんな言い訳を考えるのだろう?

優秀な人材でなければ務まらないビジネスは優秀ではない


フォードの流れ作業を見て分かると思うが「優れたビジネスモデル」は必ずしも「優秀な人材」を必要としない。
ビジネスというモノは常に他社と競争している。優秀な人間の全社会に占める割合は一定だ。何故なら「優秀な人間」というのは平均値と比較した相対評価だからた。
仮に全体の二割が優秀な人材なら、企業はこの二割を高い報酬で取り合うことになる。
社員に高い給料払う為には生産活動の自動化率を高めなければならない。
高い給料で人材を取り合う競争は、同時に自動化競争になる。
すると必然的に生産活動の大半は機械が担うことになる。「優秀な人材」は生産の主体ではなくなる。企画計画を定める少数の指導者だけになる。

優秀な人材でなければ生産活動が務まらないビジネスがあるとすれば、その会社は機械との生産競争に負けて高い報酬を払えなくなりビジネスを継続できなくなるのではないだろうか?
今の日本企業がまさにその状態に見える。

だいたい優秀な人材を獲得するという行為自体が無駄に金がかかりすぎて生産性が低い。
八割の人材は凡人なのだから、凡人を雇って回せるビジネスを考えた方が利口だろう。
ヘンリーフォードが当にそういうビジネスで成功したのだ。

今だにデフレマインドに捕らわれる企業人

デフレが始まったのは消費税増税した1997年とも言われる。
安倍政権以降インフレ率がプラスになったので15年デフレが続いたことになる。
デフレでは人材市場は企業が有利な買い手市場となる。2013年以降はインフレなので売り手市場だ。これが正常な経済である。
デフレというのは経済政策の失態が長期に及んだ異常事態なのだ。

デフレが15年も続いた為、企業人の中にはデフレ経済の常識しか知らない人も多いだろう。
しかし経済はインフレが基本でありデフレは異常な例外事例である。デフレ経済しか知らないということは「経済を知らない」と同義である。

デフレ経済下では雇う人材は選べるので優秀な人材を雇うことが当然と思われていた。また設備投資などしないで安い奴隷階級である派遣や非正規を増やすことで、安い単純作業を自動化することなく済ませてきた。
このような経済状況が長引くにつれ「生産性向上の努力をするよりコストカットを繰り返し人件費を削ることで利益率を引き上げる」ことが当たり前になってきた。「コストカットも立派な経営努力だ」と反論したくなるかも知れないが自動化したわけでもなく従業員の大半を派遣や非正規にして人件費を削る努力がマトモな経営努力だとは思えないしそれでAmazonやGoogle、Microsoft相手に競争して勝てるわけがない。
最近の日本企業はAmazonやGoogle、Microsoftなどを競争相手だと思っていないようだが、これは勝手に白旗を上げているだけで依然として競争相手であることに代わりはない。何時こちらの市場に参入してくるか分からない存在だ。気を許して良い相手ではない。この点ではまだ書店の方が危機感がある。SIer業界にはそんな意識はない。他も似たようなモノだろう。

つまり、本来企業というものは「特に優秀ではない普通の労働者」を雇って「経営努力」によって利益を上げる存在だったのだが、デフレマインドによって「コストカット以外の経営努力をしない」で「優秀な人材雇って仕事丸投げ」にするのが当たり前になってしまったのだ。

パワハラやセクハラが横行するのもデフレマインドだ。デタラメな計画や管理が横行するのも同様だ。

そしてそれがアベノミクスの金融緩和によって突然終わってしまったのである。

ユニクロの柳井正さんは歳の功かバブル経済を知っている為、アベノミクスが始まったら、真っ先に非正規雇用16000人を正規雇用に変更した。(ユニクロ自体はブラックで有名だがインフレになった途端に正規雇用中心に転換したのは正しい判断です)
インフレ経済下では正規雇用の職が増えるので、労働者は派遣や非正規の身分では辞めてしまい、正規雇用の職に就いてしまう。
今だに派遣や非正規をやっている人はその人自身がデフレマインドに捕らわれている。
また、インフレ経済ではフリーランスが増える。バブルの頃も会社員という働き方に疑問を感じフリーランスという生き方を模索する人は多かった。フリーターという言葉もバブルのころ生まれた言葉で当時は現在のプロブロガーやノマドのような自由人として肯定的に捉えられていた。

インフレ配下では人を雇うのが難しい。このことはインフレとデフレの区別も付かない人には分からない。
そしてそのこと自体が経営者として企業人として致命的に無能だということにならないだろうか?

そしてマクロな経済状況を理解できない経営者がマクロな変化を乗り越えていけるとは思えないのだ。

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昨日と同じ。


今日の記事は屋外でスマホとEvernoteを使って時間のスキマに書いた。
かなり快適に作業できた。
ブログ執筆ぐらいならスマホだけで寝たきりになっても出来そうだ。


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オッサンです。実務経験は Windows環境にて C#,VB.NET ,SQL Server T-SQL,Oracle PL/SQL,PostgreSQL,MariaDB。昔はDelphi,C,C++ など。 趣味はUbuntu,PHP,PostgreSQL,MariaDBかな ?基本無料のやつ。

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