改元とサマータイムに見られるシステムについての無知

2018年8月11日土曜日

システム開発 時事

t f B! P L
 最近、システム改変に関する制度改正が話題に上る。
 天皇陛下の譲位に伴う新元号への対応。
 サマータイムの導入。
 の二つだ。

 この問題はシステム開発に関わる人間なら無視できない話題だ。
 暦と時刻は全てのシステムに確実に影響し、システムの改修を必要とするからだ。
 そして、近年社会のシステム化が前例の無い水準で進んでいることから、新元号対応もサマータイムもシステムで対応できるかどうかでその正当性が議論されるようになった。
 新元号対応は天皇陛下が自身の体力低下による公務の履行に支障が無いようにとの配慮に加え、譲位に伴う元号などの制度変更による社会的負担を最小限にする為に、事前に実施することを、陛下が決断されたと認識している。陛下の御言葉にもそのように有ったと記憶している。
 しかし今回の自民党の新元号対応は改元による社会的影響を最小限にするどころか、仰々しく国民に改元の印象を残すため、逆に社会的影響を最大限にしようと躍起になっている。端的に言って「バカ」である。役にも立たないやらなくても良い仕事を次から次へと増やしていく典型的な「勤勉なバカ」である。
 しかも陛下の「国民の負担を必要最小限度に留めよ」という意志を裏切っている。この件に関しては自民党の対応は誰の為にもならない無駄でしかない。

 サマータイムをオリンピックまでに導入するという話も異常である。時刻や暦というのは全てのシステムに影響を与える重大な問題である。これらは変更してはならないものと考えるべきだ。2000年問題への対応にどれだけ時間を掛けて対応したか知らないのだろうか。今は当時より社会のシステム化が遙かに進んでいる。より慎重にシステムへの影響を考えなければならないというのに、まるでこの世にシステムなど存在しないかのように制度を改変しようとしている。
 しかも呆れたことに国民の過半数以上がサマータイムの導入に賛成しているという。
 「税金の無駄遣いするな!」という経済を悪化させる緊縮財政を無邪気に指示する大衆といい、システムへの影響も考えること無く安易にサマータイムを支持する点といい「国民の過半数以上は愚衆なのだな」と最近は確信しつつある。

 元号に関しては民間ではビジネスの都合上ほとんど西暦を使用しているので影響は無い。しかし官公庁は和暦を使用するので全システムが影響を受ける。現実には改元の2019年5月までに殆どのシステム改修は間に合わない為、改修できないシステムは平成のまましばらく運用を続け、改修出来るシステムだけ新元号に対応する。また、一部のシステムは西暦に対応するという。既に運転免許証などのシステムは西暦に対応することが決まっている。
 この対応はシステム屋から見れば最悪の対応である。現在のシステムというものは他のシステムと連携することが多い(十中八九連携します)。官公庁のシステムは全て他の官公庁のシステムと連携すると考えるべきである。つまり全ての官公庁システムは他のシステムと日付時刻データを交換するということだ。
 官公庁の新元号対応は「平成」と「新元号」と「西暦」が全てシステム内で共存することを意味する。他システムしの連携で全ての年号を変換できるように作らなければならない。これは最悪の選択肢だ。私なら全てのシステムの改修が可能な日まで、全てのシステムを「平成」まま運用することを選択する。システム改修が完了したら一斉に全てのシステムを「新元号」に変更する。「西暦」は採用しない。全システムの採用する年号は統一されている必要があるからだ。

 私は以前から官公庁のシステムの年号は「皇紀」にするべきだとtwitter上で言っていた。民間企業なら海外企業との取引の都合もあるから「西暦」にすべきだが、官公庁はビジネスの都合とは関係ないので和暦にするべきだと考えていた。国の業務まで「西暦」にしてしまったらまるで日本が欧米の植民地にでもなったようではないか。何でもグローバル規格に合わせれば良いというものでは無いし、官公庁の業務をグローバル規格に合わせる理由がない。
 しかしだ、「元号」はいくら何でも利便性が悪すぎる。そしてシステムとの親和性が悪すぎる。まず「元号」はいつ改正されるか予想ができない。そして正規の制度では改元の日は突発的にやってくる。システムの暦の変更には数年の時間がかかる。今回は今上天皇陛下が事前に譲位なされるから若干の余裕があったが通常は今回のような余裕はない。今回の改元だって官公庁のシステムを全て改修するには時間が足りないのである。
 次の改元が行われる時には社会のシステム化・ロボット化は比較にならないほど進んでいる。そのとき一々全システムを改修できると思ってるのだろうか? そのとき使用しているソフトウェアが全て日本製である可能性は皆無と言っても過言ではない。
 ソフトウェアというのは世界スケールで競争しており一度世界のデファクトスタンダードになった製品には他の製品は太刀打ちできないものなのだ。そして世界のどの国の製品がデファクトスタンダードになるかは分からない。ビッグデータのHadoopのようにオープンソースソフトウェアが実権を握ることもある。
 おそらく未来には世界中の人々が共同開発したソフトウェアを世界中の人々が共同利用するようになる。私はグローバリズムが好きではないがソフトウェアの世界はグローバリズムがスタンダードなのだ。
 改元の時、世界のソフト開発者が一斉に改元対応してくれると思うか? ハッキリ言って無理に決まっている。元号のように不規則に期間が変更される制度はITシステムには向いていない。今はまだなんとか対応できるかも知れないが、次の改元は絶対に対応出来ない。
 しかし「皇紀」なら話は別だ。「皇紀」は改正されることが無い。「西暦」と同じで永遠に変わらない。ちなみに西暦2018年は皇紀2678年である。西暦と皇紀の変換は一つの規則で簡単にできる660加算するだけだ。しかもルールは永遠に変わらない。
 ルールが固定なら世界のソフトウェアも事前に国際化対応で「皇紀」に対応することはできる。
 改元のたびに全システムを改修する制度など非現実的なのだ。システム開発や改修を非ITエンジニアは簡単に考えすぎだ。

 「元号」についてはシステムで扱わないだけで制度としては存続させれば良い。神事や祭事、表彰や恩赦など特別な場面でのみ扱えば良い。

 サマータイムについては2年も時間が無い状態でシステムへ対応できるわけがない。
 少なくとも4年、出来れば6年は必要だと思う。2000年対応にどれだけ時間を掛けたか考えて欲しい。今は当時よりもシステム化が進んでいるのだ。
 ITエンジニアの数が不足しているということが分からないのだろうか。無駄な仕事を増やすなと言いたい。他の業務に技術者を回せなくなる。確実に供給制約が生じる。

 「欧米ではシステムがサマータイムに対応している日本で出来ないなんて嘘だ」という意見が聞こえてくるが、欧米では社会がシステム化する前からサマータイムが存在しており、初めから設計段階でサマータイムに対応している。途中から改造したわけでは無い。
 おそらく内部の時刻と表示用の時刻を分離していると思う。
 日本ではサマータイムが無いのでそのような作り方はしていない。内部時刻も表示時刻も同じだ。今から分離するともっと時間がかかる。

 2013年に積極財政で土木建設系の偏った公共投資をやり過ぎて、土建系技術者不足という供給制約が生じ予算を消化できず有効需要拡張に失敗したことを忘れたのだろうか?
 予算を消化できないということは予定を実施できないということだ。ITならサマータイムを実装できないということだ。
 ハッキリ言ってサマータイムなど「出来るわけ無い」のだ。

 ITに限らず、最近様々な分野で素人がバカな判断を行いそれに従って愚かな政策が実施されることが多いように見える。
 福島の原発、子宮頸がんのワクチン、アベノミクスのマクロ経済政策(緊縮財政・消費税増税)、どれも専門家から見たら「どうしてこんなバカな政策を実施しているのだ」と頭を抱えるような政策が実施されている。(バカ左翼にはわからないと思う)
 それぞれの専門家の意見が政策に反映されない政治構造的問題を抱えているとしか思えない。

 昔に比べて様々な分野のスペシャリストが非常に増えてスペシャリストの判断なしには社会が回らなくなってきている。
 日本企業のスペシャリスト無視のマネジメントのあり方含めて、社会全体でのスペシャリストの政策決定やマネジメントのあり方を見直すべき時代を迎えているのではないか。

 とりあえずサマータイム導入にムカついたので憂さ晴らしをした。

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オッサンです。実務経験は Windows環境にて C#,VB.NET ,SQL Server T-SQL,Oracle PL/SQL,PostgreSQL,MariaDB。昔はDelphi,C,C++ など。 趣味はUbuntu,PHP,PostgreSQL,MariaDBかな ?基本無料のやつ。

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